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彼女はくノ一! 第六話 (138)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(138)

「……んー……」
 香也は、一目見るなり樋口明日樹の顔色が優れないことに、いち早く気づいた。
「大丈夫?」
「ん。大丈夫。たいしたことない」
 その朝は、孫子の顔色もあまり芳しいものではなかったが、孫子の場合はどちらかというと精神面に原因が求められるものであり、明日樹の場合は……。
「ちょっと……緊張して、あまり眠れなかっただけで……」
 今回の試験の結果で、ある程度、進路が絞られてしまう……というほど大げさなものでもなかったが、基本的に真面目で小さなことも気になってしまう気質の明日樹は、いよいよ「受験」が近づいてきた、という実感を得て、少し神経過敏になっていた。
「どうせ眠れないのなら、あきらめて、徹夜でお勉強でもしておけばいいのに……」
 からかうような口調で半畳を入れるのは、明日樹の弟の大樹である。
「……ヘンなところで小心なんだよな、姉貴は……」
 明日樹は、言葉ではそれに答えず、代わりに無言のまま、大樹の頭を平手で軽く叩いた。
「……んー……」
 香也は、軽く顔を上に向ける。
「……そう……」
 妙に言葉が少ないのは、香也が受験とか進路のこととかを、まだ一度も真剣に検討したことがなく、全然実感も沸かなければ、深刻さも理解できないためであった。香也にとってそうした将来の事柄は、対岸の火事以上の、それこそ、遠い異国の戦争のように、他人事に思えている……。
 そこまで実感が沸かない以上、下手な慰めの言葉をかけるのも、おかしい……と、香也は思う。第一、もともと香也は弁が立つほどでもないので、このような際、どういっていいのかよくわからない。
「才賀さんは、大丈夫なの?」
 明日樹は、同級生である孫子に声をかけてみた。
 荒野や舞花も同級だったが、二人は向こうで栗田も交えて、なにらやらじゃれ合いまじりの雑談を交わしている。特に珍しい光景ではなく、むしろいつも通りの様子、ともいえるのだが……明日樹にしてみれば、あそこまでマイペースを保てる人たちが、うらやましい。
「普段から、やるべきことをやっておりますので……」
 孫子は、どちらかというと素っ気のない返答をした後、明日樹に聞き返す。
「学校の勉強なら、あなたも、普段からしっかりやっているのではありませんか?」
 なにしろ、同じクラスなのだ。
 通常の授業態度などから、おおよよその成績は想像がつく。
 孫子にいわせれば、努力に応じた成績がとれるのは当たり前のことであって……普段、真面目にやっていない連中が土壇場になって騒ぐのは、まだしも理解できるのだが……明日樹のように、ちゃんとやっている者までが、不必要に神経質になる……という心理が、理解できない。
 孫子の推測するところによれば、明日樹の成績は、そんなにおびえるほど悪いとは思えなかった。
「理屈では……そう、なんだけれどもね……」
 明日樹は、少しうなだれる。
「それでも、緊張するよう……」
 そういうもんなのか……と、一連の会話をみていた香也は納得することにした。
「……よう」
 大樹が、今度は、香也に話しかけてくる。
「お前は、自信ないだろ?」
 もともと、「一年生の不登校気味生徒」として香也と並んでいた、ということもあり、香也を自分と同じ劣等生である、と断定してきていた。
「……んー……」
 香也は、少し首を傾げるながら答える。
「自信は、ないけど……やれることは、やった……」
「……なっ!
 おま……」
 香也の静かな口調の中に、確固としたものを感じた大樹は、上体をのけぞっらせて驚いた後、
「このぉ、裏切りものっ!」
 香也に、詰め寄った。
「……あほ……」
 すぱぁーん、と、小気味のよい音をたてて、明日樹が大樹の後頭部をはたいた。

「……ちょ、ちょっと待ってっ! 見捨てないでっ!
 まぁーくん!……」
 教室にはいると、柏あんなが違うクラスの堺雅史の腕を引っ張って、自分の席から離すまいとしているところだった。
 二人を指さして、香也は、先に来ていた矢島と牧田に向かって、小さく首を傾げてみせる。
「これはこれで、腹が立つ光景ですわよね……」
「……やってらんないっつうか……」
 と前置きして、二人は香也に、「試験に自信のない柏あんなが、ぎりぎりまで堺雅史を拘束して教えを乞うている」といった意味の説明をしてくれる。
「……そんな、寸前にあわてるくらいなら、もっと前からしっかりやっておけばいいのに……」
 ぶつくさ小声で文句をいいながらも、律儀にあんなにピンポイントで出題されそうな問題を教えている、堺雅史だった。
「なんだかんだいって、仲がいいからねー……」
「だからこそ、より一層腹がたつっていうのはあるけど……」
 柏あんなに聞こえる音量で、矢島と牧田がそんなことをしゃべっている。柏あんなの方は、そんな二人に構っている余裕はないようだった。
「は、は、は……」
 なんとリアクションしていいのかわからず呆然と見守るだけだった香也の代わりに、楓が乾いた笑い声を、お義理で、といった態であげていた。

 各人各様の反応をみせて始まった期末試験も、実際に実施されてみるといつもの授業風景とあまり変わらない。強いていえば、教室内がいつもよりもずっと静まり返っていることくらい、相違点ではあった。
 香也は、他の同級生たちと同様、答案用紙を埋めるのに余念がない。以前と比べて特に手応えがある……とも思わなかったが、以前よりは、解答を書き込める問題が、着実に増えている。前は、そもそもなにかしらの答えを書き込める問題自体が、かなり少なかった。
 やはり……やればやっただけ、身につくんだな……と、香也は、他人事のような感慨を覚える。特に、充実感などは、感じなかったのだが。むしろ、あれだけの時間を費やしたのだから……あれだけ大勢の人たちが自分のために時間を割いてくれたのだから、この程度は出来ないと申し訳が立たない……とさえ、思う。
 仮に、今回、香也の成績が上がっていたとしても……この文だと、ほぼ確実にそうなりそうなのだが……それは、香也一人の努力の成果、というよりも、香也のために頑張ってくれた人たちのおかげだ……と、香也は、本気で思っていた。


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