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彼女はくノ一! 第六話 (128)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(128)

「どちらも本気で、相手を殺すつもりでいきたまえ。
 でないと、自分が死ぬから」
 この対戦をマッチメイクをした「最強」は、にこやかに物騒なことをいい放つ。
「じゃ、はじめちゃって」
 と、ことなげに開始を宣言する。
 同時に、ジュリエッタが一足に距離を詰める。

「……速ぇ……」
 自身、野呂に属する高橋君が、うめいた。
「縮地、か。
 歩法も使うか、あの女」
 仁木田が少しだけ、目を細めた。
「見かけによらず、器用なことだ……」

 速い……と感じたときには、ジュリエッタは目前に迫っている。
 風圧が……前から、ではなく、左右から、楓に迫る。
 双剣。
 考えるよりも前に、楓は、前方に、跳ぶ。
 ぶぅん、と、両側から迫る長剣二振りの間をかいくぐり、楓は、ジュリエッタの懐に飛び込む形となった。
「ほっ」
 ジュリエッタは、自分に向かってきた楓の体を膝で蹴りあげる。
 真上に。
「……ひゃっ!」
 ジュリエッタの懐に入りクナイを振るおうとしていた楓は、不意に下から蹴りあげられた。楓は気の抜けた吐息を漏らしながらも、下から突き上げられたジュリエッタの膝を、自分の臑で受け止めている。
 楓の体が、不自然に上に浮く。
 胸元に突き立てようとしていた楓のクナイは、ぎりぎりジュリエッタの肉には届かず、刃先はジュリエッタの胸元わずかに斬りさき、顎をかすめただけだった。
 楓が体制を立て直した時には、ジュリエッタは楓から距離をとっている。
 ジュリエッタノ衣服の胸元ハ大きく避け、下着と白い肌が丸見えになっていた。
『……流石に……』
 師匠が、本気でいけ……というだけの相手ではある……と、楓は思う。いや、そんなことは、昨日のうちにわかっていたことだ。
 師匠がいっていた通り、油断をすれば……殺される。

「見えたか? 今の?」
「見えた。かろうじて」
 太介と高橋君の会話である。
 ごく一瞬の出来事だった。
 二人の目には、その場にいた大半の人々の目には、二人が迫って、離れた……としか、見えてない。
「なに、まだまだ手調べの、挨拶みたいなもんだ」
 仁木田が、口を挟む。
「いい機会だから、よく見ておけ。
 お前等の教材には、ちょうどいいかも知れん。
 それに……下手すれば長引くぞ……これは」

 楓が、姿を消す。
「気配を……」
 絶った。
 多くの術者が、息を飲む。
 一般人相手ならともかく……大勢の術者たちの視線をかいくぐり続ける……などという芸当は、そうそうできるものでもない。
「……はははははっー……」
 何が楽しいのか、ジュリエッタが、大降りな動きで両手に持った長剣を振り回す。
「カエデ、楽しいねー……」
 金属音とともに、長剣に弾かれた六角が四方八方に弾きとばされ、見物をしていた一族の者たちが軽い悲鳴を上げながら「流れ弾」を回避にかかる。
 そうなったことではじめて、姿を消したままの楓が、ジュリエッタに向け、多方向から六角を投擲している、ということが知れた。

「……楓おねーちゃん、マジだよ!
 マジすぎるよ!」
 ガクが、自分の前に飛来する六角を、シルバーガールズの手甲の部分で受け止めながら、叫ぶ。楓の六角は、複合素材の装甲に、次々とのめり込んでいく。
 みれば、ノリも、六節棍を振り回して届く範囲内の「流れ弾」を、無駄のない動作で弾いていた。
 初っぱなの体幹部、次に、気配を消した状態での飛び道具使用……どちらも、命中すれば相手の命を奪いかねない攻撃だった。つまり楓は、リーサル・ウエポンを解禁した状態で、ジュリエッタを「狩り」にいっている。
 テン、ガク、ノリたちを相手にするときは、ここまで危険な攻撃は行わない。また、孫子を相手にしている時のように、感情的になっているわけでもない。
 今の楓は、冷静な判断力を持って、ジュリエッタを「しとめる」ため、効果的な手段を選択していた。

「わはははははは……」
 その楓の「本気の攻撃」を、ジュリエッタは、楽しそうに笑いながら受け止めている。

「……うーん……」
 テンは、流れ弾の回避はガクやノリに任せ、じっと目を凝らし、ジュリエッタの動きを観察していた。
「無造作なように見えて、動きに無駄がない……」
 その場に留まって両手に持った剣を振り回すジュリエッタの動きは、一見したところ緩慢なようにみえるのだが……その実、背後や死角から飛来するものも含めて、楓が投擲する六角をすべて、弾いている。
「……剣が長いから、守備範囲も広くなっているけど……その分、小回りも利かなくなっている筈で……」
 にもかかわらず、ジュリエッタの動きにブレはないし、空振りもない。
 まるで、楓の攻撃を先読みしているかのような、確実な動きだった。
「イヤな扇風機だな、あれは」 
 仁木田が、ぽつりといった。
「少なくともおれは、あんなのを相手にしたくねぇ」

『……ああっ……』
 心中で、楓はため息をつく。
 先ほど、ジュリエッタの蹴りを受け止めた臑の部分が、ずきずきと熱を発している。初っぱなに、「足」を殺された。今のところ、足は、思うように動いてくれているが……すぐに、今のように動くことは出来なくなるだろう。
 最初に、ジュリエッタの接近を許したのは楓自身の油断であり、ミスであった。
 ジュリエッタのような、近接戦闘で分が悪い相手と相対している時に、機動力をそがれる……というのは、致命傷にもなりかねない。
『……六角も……』
 もう、残り少ない。
 そもそも、楓の投擲攻撃は、重い。通常の相手なら、仮に受け止めることが出来たとしても、手が痺れて握力が利かなくなる。ジュリエッタのような剣客相手には、効果的な攻撃……の、筈だったが……。
『……もう、弾切れになるのに……』
 楓の投擲攻撃を、ことごとく弾いているジュリエッタが、ダメージを受けているようには見受けられなかった。
 それどころか、息ひとつ、切らしていない。
 規格外の握力とスタミナがあるだけではなく……ジュリエッタの筋肉は、全体に、柔軟でもあるのだろう。でなければ、立て続けに楓の六角を受けて、その衝撃を逃がし続ける……などという芸当が、出来る筈もない。
 ジュリエッタの身体能力は、他の一族と比べても、抜きんでているようだった。
 おそらくは、荒野や荒神に匹敵する……とまではいわないまでも、迫るクラス。
 荒神があえて楓との対戦をしくんだ意図も、今では理解できるような気がした。


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