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2006-08

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(53)

第六章 「血と技」(53)

 平穏な日常を……という荒野の希望は、表面上は、叶えられていた。流石に授業中は普段通りの風景が展開されたが、休み時間になるとどっと荒野の方によってくる。そして、「ニンジャらしいことをなにかやってみせろ」とせがむのであった。
 楓と違って武器を持ち歩く習慣はない。せいぜい、指弾に使用するパチンコ玉を、歩くのに邪魔にならない程度、ポケットに忍ばせている程度で……それも、今朝のように所持品検査に遭遇すれば、周囲に気づかれないようにさっさと遺棄する。そのようなことが可能な量しか持ち歩かないし、また、パチンコ玉など捨てても一向に惜しくない、いくらでも補充が効くものだった。
 だから、荒野は……生徒たちにせがまれるままに、教室内で、軽くトンボを切って見せた。室内、それも教室内で飛び跳ねることには抵抗もあったが、校庭や体育館で耳目を集めるよりは遙かにましに思えた。荒野にとっては「技」というほどのことでもない動きだったが、それでも荒野が軽々と身を躍らせる度に、生徒たちは感嘆の声を上げ、休み時間になる度に、せがまれることになった。
 ただし、給食を食べ終わると、荒野は「ちょっと用があるから」といって教室を抜け出した。午前中の休み時間にさんざん実演したみせたこともあり、生徒たちは割と鷹揚な態度で荒野を開放された。
 単なる抜け出しすための口実、ではなく、実際に玉木や有働たちと、昨夜の会食の際、知り得た情報について話しておきたかった。

 荒野は最初、放送室に向かったが、予想に反してそこには玉木や有働の姿は見えず、昼休みの放送を担当していた生徒たちが、「二人なら、パソコン実習室の方にいる」と教えてくれた。
 それでパソコン実習室に向かうと、玉木と有働だけではなく、堺雅史や斉藤遙、楓などのパソコン部員、それに徳川篤朗、茅と孫子までが集まっていて、かなり賑やかなことになっていた。
 末端の前で猛然とタイピングしている茅と徳川、それに楓の三人の周囲に、パソコン部の面々が集まっている、という恰好だった。
「……やっぱり、凄いですよ、この三人……」
 近くに寄っていった荒野に気づくと、堺雅史が荒野に耳打ちする。
「今までのコード一瞥しただけで、いきなり修正パッチ分担して書きはじめっちゃって……
 うちの部員……みんな、毒気抜かれちゃってます……」
「……加納茅と松島楓、この二人と共同作業をするのは、初めてではないのだ……」
 堺の囁きを耳に留めた徳川が、首だけ荒野の方に向けて話しはじめる。
 指は相変わらずの速度でキーボードをタイプしていて、完全な「ブラインド・タッチ」だった。
「……二人とも、癖はあるものの、端正なコードを書くので、やりやすいのだ……」
「……コメント文、省略しないでかなり詳しく書いてくれますよね。後で見るぼくたちも、かなり助かってます……」
 堺雅史が、徳川の説明にそうつけ加える。
「……荒野……」
 茅が、徳川と同じように首だけ荒野の方に向けて、話しかけてきた。
「……今日の放課後、みんなで徳川の工場に行く予定なの」
「あ……ああ……」
 不意に話しかけられた荒野は、少しまごついた。
 楓や孫子が徳川の工場に行く、というのは、昨日までの「補給物資の確保」という話しの流れで理解できたが……茅まで同行する必要が、荒野には理解できなかった。
「それは、いいけど……みんな、って?」
 それで、荒野はそのように聞き返した。
 朝、登校時に茅たちが話していた時、舞花と会話していた荒野は、内容を聞き漏らしていた。
「楓、孫子、それに、ガクとテン」
「あと……放送部のクルーも、何人か……」
 玉木が、荒野に向かって軽く手を振った。
 ……何が起こりはじめているんだ……と、荒野は不可解な思いに捕らわれた。
「茅……楓に、体術を習うの」
「才賀とは、共同出資で新しい法人を起こすことになりそうなのだ。
 手始めに、うちの工場内を修練の場と兼ねた射撃場を作るのだ」
「今日は、その打ち合わせのため……じっくりと詳細を固めるつもりですの」
 荒野の心境をしってか知らずか、茅、徳川、孫子が次々にしゃべり出す。
「で……わたしら放送部は、その記録をとるって寸法ですよ、旦那……」
 そういって、最後に玉木珠美が、荒野の肩を叩く。
「……誰が旦那だ、誰が……」
 荒野は玉木に向かって憮然とした顔を向けた。
「いや……だいたいの所は、分かった……」
 事態はもはや、自分のコントロールできる範囲を越えたらしい……と、荒野は認識する。
 茅も、楓も、孫子も……それに、徳川や放送部、パソコン部の面々も……それぞれに、自分の意志で動きはじめている……。
 で、あれば……荒野としては、その妨げになるような真似はすべきではない、とも、思った。
「茅……それに、楓……」
 荒野は、二人に確認した。
「昨日の夜、判明した情報を……この場にいる人たちに、話してもいいかな?」
 一旦信用すると決めたら……とことん信用するべきだ、と、荒野は判断する。
 それは……茅自身の出自を公然と明かす、ということでもあったが……茅は、あっけなく思えるほど、間髪を入れずに、頷く。
 続いて楓が頷くのを確認してから、荒野は、その場にいた生徒たちに、諄々と話しはじめる。
「この場にいる人たちは、多かれ少なかれ、聞いていると思うけど……」
 話しはじめてから、この場にいるパソコン部の大多数が、昨日の説明会では顔をみなかったことに、荒野は初めて気づいた。
 だから、荒野は一番基本的な部分から、説き起こす。
 第一、この場に集まった生徒たちのほとんどは、なんらかの形で土曜日の一件に関係している。詳しい事情を聞く権利がある、と、荒野は思う。
「……いろいろ噂になっているように、おれは、いわゆるニンジャの子孫ってやつで、現在、現役で動いているニンジャは、六主家と呼ばれる六つの流派……血族……によって、構成されている。
 おれはそのうち、加納って呼ばれている流れの本家筋で……」
 荒野が、茅の出生の秘密を明かしたところで、昼休みの終わりを告げる予鈴がなった。
「……っと、今日は、ここまで、だな。
 本当は、土曜日、学校に乱入してきた一味の事まで話したかったけど……それは、また今度な……」
 荒野がそういって話しを締めくくろうとすると、堺雅史が、片手を上げた。
「今の話し……あまり、大ぴらに広めない方が、いいですよね?」
 と、堺雅史は、荒野に確認してくる。
「……いいや、君たち、一人一人の判断に任せる」
 だが、荒野は首を横に振った。
「虚実取り混ぜて、吹聴したいなら、そうしてもらっても構わない。
 そういうリスクも含めて、君たちに情報を開示している……」
 尾ひれがついておかしな噂が広まったとしても……それはそれで、荒野には、やりようがあるのであった。

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彼女はくノ一! 第五話 (136)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(136)

「……年末からこっち、いろいろあって十分に顔が知られていたのに加え……」
 例によって商店街から合流してきた玉木珠美は一同にそう解説してくれた。
「……ご本人さんたちの承諾もめでたく得たところですし、商店街のイベントもまずは順調。昨日の説明会で、ボランティアの参加希望者も膨れあがり、校内の希望者だけでももう少しで三桁に届きます。
 映像素材は確保しているし、この勢いを消さないうちに、早め早めに手をうった所でして……」
「……随分と楽しそうだな、お前……」
 荒野は玉木に、憮然とした表情で答える。
 文句はいいたい。けど、こちらから頼んだことを忠実に実行してくれているだけなので、面と向かって文句をいうことは出来ない……というジレンマが、ありありと表情に表れていた。
「そりゃあ、もう……」
 玉木珠美はケラケラと笑った。
「おかげ様で放送部員一同、多忙を極めておりますが、全員はりきっております!」
「……そのエネルギーを、もっと学生らしいことに燃やせよ……」
 面と向かって文句をいえない手前、荒野は、はっきりしない小声でボソボソと呟く。
「……その、学生らしいこと……なんですがね……」
 玉木は、不意に真面目な顔になった。
「この間、ちょっと話しがでていた自主勉強会、本当にやれないっすかね?」
「学校使って……って、やつか?」
「そうそう。
 ぶっちゃけ、放送部員の中にも、わたしをはじめとして成績に不安がある人多いし、ちゃんと勉強もしているんだぞ、ってポーズを学校側に示すことにもなるし……理系はトクツー君、英語は楓ちゃん、総合的な所では茅ちゃん……あたりに観てもらえれば、かなりいい感じになるかな……と。
 あと、皆さん、結構身内で固まっていることが多いから……気にかかっているけど、声をかけずらいって生徒さんたち、多いんっすよ……。
 そういうニーズにも、応えておきたいな、と……」
 荒野は楓や茅の方を振り返った。
 茅の表情は相変わらず読みにくいし、楓は、困ったような顔をしている。
「……まあ……悪いことではないと思うけど……。
 それぞれの都合もあるから、個別に口説いてみれば……」
 そういって荒野は、二人の方を指さした。
 自身の判断は保留し、玉木に下駄を預けた形だ。
「……ではでは……さっそく……」
 玉木珠美は揉み手しながら、二人の方に向き直る。
「茅は、構わないの。
 でも、今日の放課後は、もう予定があるの」
「あ……わ、わたしもです……。
 今日は、茅様や才賀さんと一緒に、徳川さんの工場に行く予定で……」
「……あー……。
 そっかぁ……今日は、そっちか……」
 茅と楓の返答を聞くと、詳しい事情をきく前に、玉木は一人で納得のいった顔をした。
「じゃあ、勉強会の方は、明日以降ってことで……。
 わたしを含めた放送部何人か、ついていってもいいっすか?」
「……ビデオカメラ担いで、っていうことかしら?」
 孫子が、玉木に確認する。
「……そういうこってす」
 玉木は、孫子の言葉に頷いた。
「すぐに公開できないかも知れませんが……有働君は、ボランティアの立ち上げにてんてこまーいって感じなんで、代わりに、素材は確保しておきたいな、と……」
 有働は、荒野たちの動向を記録し、いずれ発表したいと希望している。その有働が身動きできない間は、玉木が代わりに動く……というのが、玉木の中では、当然の発想になっているようだった。
「その映像……公表する前に、ちゃんとこちらに確認してくださいね……」
 そういって孫子が頷くと、茅と楓もそれにならった。
「ええ。そのへんは、もう……」
 玉木も、頷く。
「でも、お前……あのポスターの話しは、事前に聞いてなかったぞ……」
「……えー?
 ……そうでしったっけ?」
 荒野が町のあちこちにに貼られているポスターについて確認すると、玉木は頭を掻いてごまかしはじめた。
「……でも、撮影する時、こういう利用のされ方をするって説明は、あったわけでしょ?」
「……ま、いいけどな……」
 荒野は、深々とため息をついた。

 写真を撮り逃げ去る団体に何度か遭遇しながら、ようやく校門前に着くと、人だかりができていた。
「……ああ……抜き打ちの、持ち物検査だな……。
 ……そうか、バレンタインが近いから……。
 もう、そんな時期か……」
 と、飯島舞花が説明してくれた。その途端、楓の顔色がさっと青ざめた。
「……も……持ち物検査って……」
「校則では、学校での活動に関係のないものは持ち込んではいけない、ってことになっていし……ほら、今日発売の少年ゼンブとか、普段は黙認だけど、今日はあんだけ取り上げられているだろ?
 携帯なんかは、防犯上の都合もあるから許可されているけど、MPプレーヤーなんかは、みつかったらアウトだな……」
 荒野と「バレンタインが~」どうこうと話しはじめた飯島舞花に変わって、玉木が楓に解説してくれる。
「あれ? 楓ちゃん、顔色悪いけど……ひょっとして、なんか校則に触れるようなの、持っている?」
「あれ? どうした、楓ちゃん……青い顔して……。
 まさか、チョコ持ち込んだんじゃ……」
 楓の顔色の変化に気づいた舞花が、玉木と同じように楓に聞いてきた。
「……い、いえ……チョコは、ないんですけど……」
 楓は、心持ち震えた小声で、そう答える。
「……ちょっと……校則に引っ掛かりそうなものを……」
 楓は踵を返して逃げようとしたが、後ろにはすでに他の生徒たちがぎっしりと列を組んで並んでおり、一度抜け出したら確実に遅刻しそうな案配だった。
 楓が、持ち物で引っかかるのと遅刻とを秤にかけている間に、前の生徒たちの検査が終わり、早々と楓の順番が回ってくる。
 楓は観念して、自分の鞄を開いて差し出した。

 楓の鞄から次々と無骨な金属片……六角やら、手裏剣やらが出てきて、文字通り山と積まれるのを、女子の所持品検査を担当した岩崎先生は、目を丸くしてみていた。
 真面目だ、と思っていた楓の鞄から、一目で凶器と分かる物品が大量に出てきたことで……最初、目を見開いていて驚いただけの岩崎先生は、段々、顔から血色を無くしていった。
 異変を感じて、他の先生方や生徒たちも、楓の周辺に集まって、鞄から出てきた武器の山をみている。
「……松島君……」
 集まってきた教師の一人、大清水先生が、首を振りながら、楓に尋ねた。
「……これは……なんなのかね?」
「ええっと……だ、大丈夫ですよ!
 どの手裏剣も、刃渡りは極めて短く、銃刀法にひっかからないように作られていますから……。
 あは。あははははは……」
 大清水先生は、なにもいわずにじっと楓の目をみる。
「……これ……わたしの、武術の道具でして……し、知ってますか?
 手裏剣術って、歴とした武術の一種で……」
 二、三の問答の後、大清水先生は、楓が所持していた武器を全て没収する、と告げた。
 楓は、没収された自分の持ち物を、自分の手で、職員室に運ばねばならなかった。

 この日から、松島楓は、校内で「くノ一ちゃん」のニックネームを奉られることになる。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(52)

第六章 「血と技」(52)

 校門前の持ち物検査で引っ掛かったのは、結局、楓だけだったが、順番待ちをしている間に、荒野は、いやというほど他の生徒たちから好奇の視線を浴びることになった。週末のことを考えれば、無理はない……とは思うのものの、幼いころから「目立たないように」と躾けられてきた荒野にしてみれば、居心地が悪いくて仕方がない。
 土曜日の件で正体を暴露したのは荒野だけであり、視線は主として荒野だけに集中している。
 楓、茅、孫子あたりにも別の意味で男子生徒の注目を集めている、これは彼女らの容姿が原因となった不純な好奇心によるもので、以前と変わらない反応であり、無視しても構わない。
「……あのぅ……」
 そうこうするうちに、たまたま近くにいた二人連れの女生徒が、声をかけてきた。より正確にいうのなら、寄り添うように立っていた二人組の女生徒のうち一人が、おずおず、といった感じで荒野に声をかけてきた。
 どちらも見覚えない顔だが、ネクタイの色をみると、一年生だった。
「加納先輩……ニンジャって、本当ですか?」
「本当」
 荒野は、できるだけさりげなく、頷く。
 昨日の説明会で正式にカミングアウトしているとはいえ……こうして、一般人に白昼堂々と身元を認める……というのも、慣れていない荒野にとっては、奇妙な感覚を呼び覚ますのであった。
 荒野の返事を聞くと、二人組の女生徒は、「きゃー!」と黄色い声をあげながら去っていき、後ろの方にいた十人ほどの一年女子の団体に合流する。
「やっぱ、本当だって……」
「あの人、前々からただものじゃあないって思ってたのよね……」
「……ネコミミでガイジンのニンジャですか!」
 などと、その集団の方から声が聞こえる。
「……まあ、おにいさん……。
 あんま、気にするな……」
 一部始終を目撃していた飯島舞花が、ポン、と荒野の肩に手を置いて、そう慰めてくれた。
「ああ……どうせ、ああいうのもすぐに飽きると思うし……」
 荒野は舞花にそう返して、肩をすくめる。

 何分か待たされた後、ようやく校門を通過してからも、荒野の姿を認めた生徒たちのうち、少なからぬ者が、荒野を指さして何事か囁きあっている。荒野はなるべく気にしない振りをして、自分の教室へ急いだ。
 孫子や明日樹とともに教室に入ると、それまで騒然としていた教室内が、瞬時に、しん、と静まり返ってしまった。
 この程度の反応は予測していたので、荒野は平気な顔をして、自分の席につき、最初の授業の準備をはじめた。
「……加納君、加納君……」
 クラス委員の嘉島が、荒野の席に近づいて来る。
「……いろいろあると思うが……できるだけ、力になるから……。
 運動部の関係者は、だいたい、君の味方だ……」
 そう、いってくれた。
 嘉島は、部活の関係でも付き合いのある。クラスメイトの中でも比較的会話をする機会の多い嘉島がそういってくれたので、荒野はかなり気が楽になった。
「……なに? 加納君……なにかあったの?」
 一緒に登校してきた樋口明日樹が、いまさらながらにそう聞いてくる。
 そういえば……明日樹は、昨日の説明会にもきていなかったし……登校時も、荒野から少し離れたところで、香也とばかり話していたような気がする……。
 同じく、説明会に来ていなかった弟の大樹は、どこからか噂を仕入れて来たようだったが……明日樹は、そういう噂話をわざわざ伝えてくれるような友人に恵まれていないのか……あるいは、週末は家に籠もって勉強でもしていたのかも、知れない。
「ええと……」
 荒野は、それなりに親しい明日樹を前にして、どのように説明すべきか、しばらく思案して……結局、事実を淡々と伝えることにした。
 周囲の生徒たちが、静まり返って荒野の返答を待ち構える気配を、ありありと感じる。
「おれ……実は、忍者の本家筋の者で……。
 週末、いろいろあって……その正体が、学校のやつらにばれちゃったんだ……」
 荒野はできるだけさりげない口調でいったが……。

 樋口明日樹が反応する前に、周囲で聞き耳を立てていた生徒たちが、「……うぉおぉぉぉおぉぉおっ!」と、どよめいた。
「聞きました、奥さん、あのさりげなさ!」
「あれだけのこのことをして……いろいろあって……で、すませているよ、この人!」
「前々から思っていたけど……謙虚だよ!」
「あれだけのことをして、身を呈していて……いろいろあって、だって!」
 ……ここにきて……荒野は、土曜日の自分の行為が、一種の美談、として伝わっているのを、知った。昨日の説明会の……特に、徳川の説明……の、効果なのだろう……と、荒野は推測する。
 いつの間にか、教室内の生徒たちが、荒野に注視していた。
 男子生徒は羨望、女子生徒は憧憬……を込めたまなざしで、荒野に視線を注いでいる。
 顔を売り、一人でも多くの地元住人の好感度をあげる……という方針の通りの成果をあげつつある訳だが……やはり、荒野は、こういう雰囲気は苦手だったし、それに、こうした突発的な熱狂は……醒めた後の反動も、怖かった。

「……い、いや……だいたい、事情は、飲み込めたし……信じないわけには、いかないようだけど……」
 一方、樋口明日樹の方は、引きつった顔で荒野にいう。
 なにしろ明日樹は、忍装束の楓が香也の上に降ってきた時から、荒野たちとつき合っている。身近な存在であるわりに、荒野たちの事情を全く知らされていなかった……というのが、樋口明日樹の立場であった。もっとも、明日樹の性格であれば、いきなり非現実的な説明を受けたとしても、素直にそれを理解できたとも思えないのだが……。
 今まで、機会に恵まれないせいもあって、詳しい事情は話していなかったものの……不審を覚えてきた細々とした事柄を、頭の中で反芻し、整合性を検証しているているのだろう……と、荒野は、複雑な表情をしている明日樹をみて、その心情を推察した。
「詳しい話しは……またの機会に……。
 もうすぐ、朝礼だから……」
 与えられた情報をどう消化したのか、しばらく硬直していた明日樹が小さな声でそういうのと同時に、朝のホームルーム開始五分前を告げるチャイムが鳴った。
 月曜の朝は、ホームルームの代わりに朝礼がある。
 生徒たちはばらばらと廊下に出て、冬の間、朝礼の会場となる体育館へと向かいはじめた。

 校長先生の談話は、いつもと同じく、内容が薄いわりには長々と続く。その週以降も、その校長先生の談話と同じく、退屈ではあってもとりたてていつもと変わらない平穏な日常がいつまでも続くことを……荒野は、祈った。

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彼女はくノ一! 第五話 (135)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(135)

 その後、楓とガクが放課後、徳川の工場に行って、投擲武器の量産化についての打ち合わせもかねて、工場内でさっそく体術の習練を行う、という。
 この近辺で人目につかず、ある程度の広さがある場所、というのは限られており、楓や孫子はまだ足を運んだことはないが、徳川の工場は、条件的に適合している、という。
 居間でその話しを聞いていた孫子は、それなら自分も一緒に工場へのいきたい、と申し出た。
 近場に射撃場を確保する、という問題についても徳川と話し合いたいし、それ以外に、場合によっては孫子は個人名義の資産と徳川の持つ技術力を使って、新しい事業を起こせるかもしれない。
 ボランティア活動も、掛け声だけで終わらせるつもりはなかったし、だとすれば、確実な資金源は必要である。徳川と孫子が手を組めば、寄付に頼らず、合法的な方法で資金源を構築することも可能に思えた。
 そのためにも孫子は、徳川が投資するに値する能力を持っているのか、事前調査をしておきたかった。
 ここ数日、毎日のように工場に出入りガクとテンは、工場への出入りは既にフリーパス状態であり、楓や孫子に関しても、「徳川に一声かけておけば、特に問題ないだろう」、ということだった。

 孫子は朝食を終えると、メールで徳川に「放課後、工場を見学したい」という希望を伝え、同時に才賀家の執事、渋谷に連絡し、今動かせる孫子自身の資産の具体的な金額と、それに起業や特許関係に強い弁護士のリストアップすることを命じて登校の準備をした。
 資金と法律の専門家は、現在、孫子が考えている事業を実際にはじめる際に必要となるものであり、特に後者は、ある種の専門馬鹿の気がある徳川にとって、大きな助けになる筈であった。

 登校の準備を終え、いつものようにマンション前に集合すると、狩野家の人間以外は、まだ誰も集まっていなかった。狩野家の三人も普段はもう少し遅くまで家にいるのだが、どうした加減か三人とも、今朝に限っていつもよりかなり早く目を覚ましている。
 それでも五分も待たないうちに飯島舞花と栗田精一、樋口明日樹と樋口大樹の兄弟、それに、加納荒野と加納茅が顔を見せた。
 樋口明日樹は来るなり香也に近寄ってきて、「風邪、ひいていたんだって? 体調、もういいの?」と声をかける。
 飯島舞花は荒野と、茅は楓と、なにやら話し込んでいる。
 週末にいろいろあったが……どうやら、いつもの通りの登校風景だ……と、孫子は安心した。

「……え? 茅様も、体術を……ですか?」
 顔を見せるなり、茅が近づいてきて、楓にとって予想外の依頼をしてきたので……楓は、思わず聞きかえした。
「そうなの。
 基礎体力はだんだんできて来たから、初歩的なところから、少しづつでも、教えてもらいたいの……」
 茅は、そういって、楓に頷いてみせる。
「……お、教えるのは、構いませんが……」
 楓は、飯島舞花と話し込んでいる荒野を横目でちらりと見る。
「加納様は、知っていらっしゃるんだろうか?」、という疑問とか、あるいは、「やってみるは構わないと思うけど……成果を出すのは……」とか、いろいろ思うところはあったが……とりあえず、楓は、引き受けてみることにした。
「……今日の放課後、徳川さんの工場で、ガクに稽古をつける予定なのですが……茅様も、見学、してみますか?」
 と、いった。
 見学するだけなら……特に実害はないだろう。それで、あきらめるかもしれないし……。
 ごくごく軽い気持ちで、楓は引き受けた。
「……わかったの。
 今日の放課後、一緒に行くの」
 茅も、楓の言葉に頷く。

「風邪、ひいていたんだって? 体調、もういいの?」
 顔を合わせるなり、樋口明日樹は心配そうな顔をして、香也にそう尋ねてきた。
「……んー……」
 香也はいつもの癖でそう前置きを置いてしまう。
「……大丈夫……」
 もともと、一晩ゆっくり寝た程度で復調する程度の軽度の風邪だった。他の同居人が騒ぎ過ぎるくらいで……と、思いかけ、香也は慌てて自分の思考を打ち消す。
 みんな、自分を心配してくれているのではないか、と。
「……そう……よかった……」
 香也の返事を聞いて、樋口明日樹は、目に見えて安心した顔をした。
「本当に、よかった……」
 ふ、と……香也は、思い出す。
 一年前、今の学校に入学したばかりの頃……自分をこんなに心配してくれる友人は、いなかった。
 今は……どうした加減か、こんなに多くの人に、囲まれている。
 この差は……一体、どういうことなんなんだろう?
 いつもの面子でぞろぞろと学校に向かう集団の最後尻で、談笑しながら歩く皆の背中を見ながら、香也は思う。
 いつの間に……自分の周囲には、人が増えて来てしまった……と。この集団の一員として、当然のような顔をしてここにいる自分……というを、香也はひどく不思議に思う。
 少し前なら……まったく、想像もできないことだ……と。
 しかも、この集団は……ひどく、人目を集めていた。
「……気のせいか、と思ったんだけど……」
 樋口明日樹が、声を潜めて香也に囁く。
「いつもにも増して……今朝は、注目されているんじゃない?」
「……んー……」
 香也は、明日樹の意見に同意した。
 年末のイベントは別にして、学校がはじまってからの事を思い返しても……加納兄弟がケーキ屋のCMビデオに出演したり、孫子の囲碁勝負をネット中継されたりで、この集団は、地元では割りと顔をしられている。
 だから、集団で通った後、指さされたり、ひそひそ噂話をされたりすることは、珍しくはないのだが……。
 今朝は、その頻度が、いつもの二倍以上になっているような気がするし……それ以上に、普段、投稿する時の倍以上の人が、自分たちを待ち構えているような気配がしていた。
「……なんだ、ねーちゃん……知らなかったのか……」
 樋口大樹が、塀に張ってあるポスターを指さして、香也と明日樹の疑問に答えてくれる。
 大樹の指先には、アニメかゲームかなにかのキャラクターを模した、けばけばしい色彩の衣装を着た荒野、茅、楓、孫子、テン、ガク、ノリ……の写真が大写しになっていた。
 商店街も協賛している、地元活性化ボランティアのポスターだった。
 その後、香也たちの集団が通りかかると、勝手、かつ唐突にシャッターを切って逃げ出して行く集団にも何度か遭遇し……「自分たちは注目されている」という気配が、「気のせい」ではないことも証明された。

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暗闇で、いきなり手首を掴まれて…… (2)

 おれが息を呑んだのが伝わったのだろう。
「……やっぱり、こういうの……駄目?」
 不安そうな声をあげ、女が、上目遣いにおれを見た。
「わたし、もう……普通の人と、普通にえっちできないのかなぁ……」

 女の陰部をひとのみにしようと大口を開けている蛇の頭部は、鱗の一枚一枚まで、克明に描かれた刺青だった。色合いからいっても、描写の克明さからいっても、最近流行りだした西洋風のTattooではなく、純和風の……それも、しっかりした腕のある彫り師の手によるもの……に、見える。
 おれにしても別に、そっちの方面に詳しい知識がある、というわけではないのだが……しみ一つない女の真っ白い肌の上で、黒々とした陰毛に向け、口を開けている蛇は、素人目にも鮮やかな出来に見える。

「……さっき……なんでもするっていったよな……」
 おれは、かすれた声で、言った。
「それから……やばい病気もない、って……」

「う、うん……」
 女は、不安そうな顔のまま、頷く。
 必死になっておれの表情を探ろうとしているのが、わかった。

「じゃあ……おれのを、勃たせてみせろよ……。
 今、すぐに……」
 おれがそういうと、女の表情がいきなり明るくなった。
「そうしたら……ここに、ぶちこんでやる……いやというほど……」
 そういっておれが女の陰毛の中に指を突っ込むと、女は鼻を鳴らして身をよじりながら、おれの股間に手を伸ばす。
「早くしろよ……。
 こんな狭い場所に、長居したくないから……」
 女は狭い個室の中で苦労して床にひざまずき、ジッパーを開けて取り出したおれの陰茎を口に含んだ。
 それなりに経験はあるのだろうが、お世辞にも熟練している、という咥え方ではない。
 女がこれまでどんな人生を辿ってきたのか……おれは、考えることを止め、女が咥えている部分の感触に、神経を集中させた。
 女は音をたてておれの陰茎をしゃぶっている。しゃぶりあげている。
 狭い個室の中で跪き、おれの股間に顔を密着させ、懸命に下と頭を揺り動かす。その様子はまるで、何かに祈っているような真摯さがあった。
 やがて、女はおれの腰をさり気なく肩で押して向きを変えさせ、おれを、蓋をしたままの便座に座らせる。座らせて、ベルトをはずし、おれの下半身から衣服をはぎ取る。
 おれのを咥えているうちに女もその気になってきたのか、頬が上気している。
 おれは女の胸に手を伸ばして、まさぐった。
 案の定、乳首が勃っている。
 おれが服の上から乳首を強く摘むと、女は「あん」という甘えたような声を出した。
「……お前も、脱げよ……」
 おれはそういって、女の肩に手をかけて、服を上に引っ張る。
 女は腕をあげて、おれのされるがままになった。
 これでおれは下半身が裸、女は上半身ブラだけにミニスカ、という恰好になる。 
 女は一旦身を起こしておれのズボンをドアについているフックに引っかけ、自分の上着もその上にかけた。
 それから、
「……もう、十分、硬くなっているけど……」
 と、おれのものを指さす。
「どうする? すぐにいれちゃう?
 それとも……」
「脱げよ、これも……」
 そういっておれは、女の乳房をブラの上から鷲掴みにすると、女は、
「……っんふっ!」
 と媚態とも苦痛の声ともとれる呻きをあげる。
「見たいんだよ、お前の刺青……」
「……いいけど……。
 脱いだら、本当にやってくれる?」
「いやらしい女だな。そんな、何度もしつこくせがむなんて……」
 いいながら、おれは、そのまま、女の胸を揉みしだく。
「……あんな強引な誘い方をして……そんなに男が欲かったのか……」
「……やっ!
 ……んっんっ!」
 おれの乱暴な揉み方に声を上げながら、女は、いきりたったおれのものを強く握る。
「そう……なの……。
 暑くなると、これが欲しくなるの……」
 いいながら、女は、左手を背中に回し、ブラのホックをはずす。
 おれがさんざん乱暴に揉みしだいていたため、かなり緩んでいた女のブラは、ホックをはずしただけで、簡単に下に落ちる。
「……みて……」
 下半身を丸だしにして便座に座っていたおれの腿の上にかがみ込むような姿勢をとっていた女が、そういって立ち上がり、剥き出しなった乳首を誇らしげにおれの目の間につきつける。
 女の乳房にも、蛇がいた。
 左右から顔を見合わせるようにして、二匹の蛇が下から大きく口を開け、下から釜も首をもたげて乳首を食べようとしているように、見える。
 女の肌は白く、写実的に描かれた蛇の鱗が、汗に濡れていた。
 乳首と乳輪は、小さくて色が濃い。
 おれは、その突起のひとつにむしゃぶりつき、軽く歯を立てる。
 んっ……と、女のうめき声が、頭上から聞こえる。
 女の体臭が、少しきつくなったような気がした。
 そのまま腰を抱き寄せと、便座に座った体制でいきり立ったおれの先端に、女のスカートが触れた。
 女は両腕でおれの頭を抱いて引き寄せ、自分の乳房におれの顔を押しつけてくる。

「そのまま、座れよ」
 おれがいうと、女は、右手を下に回しておれの逸物の位置を調整し、その上に、座り込む。
 んっ、んっ、んっ、といいながら、女は、おれの太ももの上に徐々に体重をかけ、おれのものを飲み込んでいった。

 女のそこはすでに湿っていて、きつく、おれを締め付けながら、飲み込んでいく。 
 女が体重をかけ、腰を沈めていく。
 まっすぐに上を向いたおれ自身が、女の肉を貫いていく。
 ……んっ、くっ、くっ、と、呻きながら、女は腰を降ろしきり、ふうぅ、と、満足そうにため息をつた。
「……これ、大きくない?」
 向き合って、おれの膝の上にのっかった女は、なぜか不満そうな表情をつくる。
「それに、んっ、硬いし……中で、反り返っている……」
 話すたびにおれの顔に女の息がかかるほど、至近距離でにらみ合っている形だ。
「……知らんよ……」
 おれはわざと素っ気なくいい、身じろぎをすると、女は、「……んっ、んっ、んっ……」と鼻息を荒くする。
 結合部から漏れた液体が、おれの腿に滴り落ちはじめた。

「ちょ、ちょっと、タンマ!」
 女は、おれの肩に手をついて、上体をそらす。
「ちょっと、休ませて……。
 具合、よすぎ。少し休んだら、自分から動く……。これだと、すぐにいっちゃうよ……」
 女は、ぺろりと舌をだした。
 その表情をみて、はじめて女を可愛いと思った。
「……少し休んだら……たっぷりサービスるから……」
「駄目。休ませない……」
 いって、おれは女の尻の肉を両手で鷲づかみにし、下から激しく突き上げ始める。腰だけではなく、腕の力も使って女の体を上下に揺さぶり、その動きと腰の動きを連動させる。
 こういう力業はやる方としては非常に疲れるのだが、結合部の擦れ具合がダイナミックになる分、感じる物もそれだけ大きくなる。
 自分の体重もかけて、奥の奥まで入り込む度に、女は、のけぞって「がはっ」とか「ぐはっ」とか息を吐いた。もちろん、結合部からは、女の愛液が大量におれの股間にしたたりおちてきている。
 しばらく、激しく女の体を揺さぶると、流石に腕がだるくなってきたので、激しく動かすのはやめ、代わりに、手で腰を抱くようにして、結合部を中心にゆっくりと回転させる。おれのモノを包んだ女の粘膜が、ひくひくと複雑な伸縮をしている。すっかりいきりたったおれのモノは、かえって刺激に鈍感になっているようで、女の肉の蠢きを泰然として受けている。
 女が喉をのけぞらせたので、おれは汗に濡れた女の喉に舌と唇を這わせる。
 女の背を腕で支えながらさらに反らせて空間を作り、音をたてて乳房にも食らいつく。
「もう……強引なんだから……」
 ようやく呼吸を整えてきた女が、荒い息の下から、そう囁いた。
「……お前が、いうか……」
 おれは苦笑いをしながら、答える。
 そしてまた、腰と腕を動かしはじめる。
 すると、女は、
「……だ、駄目……」
 などといいだした。
「そんなに激しくされると、声、でちゃう……」
 ……そういえばここは、映画館のトイレだったな……と、いわれて初めて、おれは思い出した。
 とはいえ、上映は始まったばかりであり、そもそも、客の入り自体、さほど多くなかった。もうしばらくは、誰かがこのトイレに入ってくる頻度は、そう多くはないは筈だ。
 しかし、おれは、女には、あえてこういう。
「今にでも、誰かが入って来るかもしれな……」
 すると、女は、 いやいやをするように首を振った。
 おれが激しく腰をうちつけると、亀頭の先が女の奥にあるいき止まりの部分にぶつかり、女が、声をたてまいと口を硬く結びながら、それでも、
「うっ!」と声を漏らす。
「……なんだ……こういうの、感じるのか?」
 おれはそういって、なおさら激しく腰をうちつける。
 女は、体中をびくびくと大きく振るわせた。
「映画館でみず知らずの男にいたずらしてくる痴女だもんな!」
 女の耳元で囁いて、女の中をわざと乱暴な動きで円を描くように、動く。
「……誰かに見つかるの、期待しているのかもな!
 こういうの、好きな変態なんだろ! お前!」
 女の耳元で囁きながら、おれはさらにグリグリと腰を蠢かせる。
 女は下唇を強く結んで、懸命に声を上げまいとしている。
 おれは女の中に根本まで押し込みながら、これみよがしに、ことさら先端を中で円を描くように動かしてやる。
 女は眉間に皺を寄せながら目を閉じ、おれの背中にしがみつきながら、首を振る。
「……よし……。
 じゃあ、絶対に声を立てるなよ……」
 おれも意地になってきた。
 女の腿を両手で抱え、大きく股を広げさせると、すぱん、すぱん、すぱん、と小気味良い音をたてて女の中を蹂躙する。
 女は、おれにしがみつきながら、いつの間にかおれのネクタイを口に強く咥え、強く瞼を閉じて、必死になって声を出すまいとしている。
 そうするとおれもなおさら意地になってさらに激しく動くようになる。
 次第に俺にしがみついてくる女の重量が邪魔に思えてきたの、どうせならば、と、女の尻を両側から掴み、よっこらしょ、と、繋がったまま女の体をもたあげた。
「……んんっ!」
 目を閉じていた所でいきなり持ち上げられた女は、驚いた顔をして両目を大きく見開き、両手両足にさらに力を込めて、おれにしがみついてくる。
 おれは、女が状況を把握する暇も与えず、そのまま激しく上下にがくん、がくん、がくん、と女の体を揺さぶりはじめた。
 女は、振り落とされる恐怖に顔をひきつらせながら、おれの体にしがみついてくる。だが、何度もおれが上下に揺さぶるうちに、今までとは違った角度に深く突き刺さるため、女の顔は、明らかに愉悦によって歪んでくる。
 ここぞ、とばかりに、おれは女の体をさらに激しく揺さぶった。
 女が汗まみれの乳房をおれのワイシャツにおしつけ、大きく頭をのけぞらせて白い喉をおれに見せる。
 女は、肌の上に玉の汗を無数に浮かべており、それは顔から喉、それに、精緻な蛇身がとぐろをまいてる乳房にまで続いている。
 おれが女を揺さぶる動きにあわせて女の胸に渦を巻いている蛇も身悶えする。おれの腕は不慣れな重労働ですぐに痺れてきたが、緻密な絵が入った女の肌をまじまじとみつめるうちに、そんな痺れも意識の外に置くことができた。
 刺青の方に目がいっていたので今まで気づかかなかったが、よくみると、女の乳首はつんと上を向いており、大きさも形も申し分がなかった。
 おれは、腕が痺れてきたのと女の乳首にむしゃぶりつきたい衝動に駆られたのとで、乱暴に体の向き反転させ、女の体を便座の上に降ろした。
 そして、女がないか反応する前に素早く女の乳房に飛びつき、乳首を強めに甘噛みしながら、あいた手で片方の乳房を鷲掴みにして、力を込めて揉みしだく。
 おれが便器に座る半裸の、というよりは、辛うじてスカートを腰の周りにまとわりつけただけの女にのし掛かり、パンパンパンパン、という肉と肉を打ち付ける大きな音がするのにも構わず腰を激しくピストン運動させながら、乱暴に女の乳房を揉んでいる。女は必死になって声を押し殺しておれの背中に爪を立て、口を硬く結んで頭をのけぞらせていたが、おれのほうにしてみれば、ここまでくればもはや痴漢扱いされることもあるまい、という気持ちがあったので、人目を気にする気持ちはない。むしろ、女を責め立てて反応させ、そのせいで他人に気づかれたら、いったいこの女はどう対応するのだろうか? という嗜虐混じりの妄想を持ちはじめていた。おれが腰を打ちつけ、乳房を掴んだ手に力を入れる度に、女は体や手足をビクビクと振るわせ、首を、いやいやをするように左右に振る。おれの手の中で、蛇がとぐろを巻いている女の乳房が歪む。女の皮膚が、汗でじっとりと湿りはじめる。
 どうせ、もう生で挿入しているんだから……このまま中で射精しようかな?
 と、おれは思いはじめる。
 射精感が高まってきている、ということではなく、女の反応が良好すぎるため、かえっておれの意識は冷静になっていたりするのだが、この女を困らせたい一心で女の子宮におれの精液を注ぎ込みたい欲求に駆られる。
「……おい……」
 おれは、便器とおれの体に挟まれ、体をくの字型にしてひくついている女に、声をかけた。
「このまま、中にだしちまっても……いいか?」
 女が困惑する様子をみたかったので、わざと口に出してそういい、女の返事を待たずにさらに腰をうちつける。
 女が返事をしようと口を開いたところで、おれは女の股間の、おれとの結合部の上にある突起を親指で押しつぶす。女の陰核を指で押さえ、女の中にあるおれのものと指で押しつぶしながら、さらにおれは女の中を掻き回す。
 女は「うひっ!」とか「うひゃっ!」、みたいに聞こえる声をあげる。
「……返事がない……っていうことは、このまま出しちゃっていいんだよな……」
 そういっておれは、女の腿と手首を両手で抱え、女が大股開きになるように、女の足を高々と掲げる。そのまま、女の腹に女の足を折り曲げるようにして密着させた体勢で女の動きを制限し、じゃ、じゃ、じゃ、と、激しく腰を動かし続ける。
「イクからな! このまま中でイクからな!」
 と譫言のようにいいながら、ついにおれは女の中に長々と放出した。
 おれの熱い白濁液を体の奥に受け止めた女は、
「……うふぁっ!」
 と、小さく叫んでのけぞり、そのまましばらく硬直してから、
「……あっ……熱い……のが……中に……」
 と、うっとりとした表情で目を細め、ビクビクと体を細かく痙攣させていた。
 女の呼吸に従って上下する胸と腹の表面では、青黒い蛇たちが女の呼吸にあわせて鱗を振るわせている。
 気づけば……女もおれも、全身に汗をかいて、体全体がじっくりと湿っている。ほとんど裸の女は皮膚の表面が濡れている程度だが、上半身はワイシャツのままだったおれは、濡れたワイシャツがべっとりと肌に張り付いている状態になっている。
 動きを止めてしばらくすると、肌に張り付いたワイシャツが冷房で冷え、悪寒を感じるようになった。射精して気分が落ち着くと、おれは、女と抱き合っている理由もなくなって、女から身を離し、いそいそと身支度を調えはじめる。身支度を調えながら横目で女をみると、両脚を広げてぱっくりと開いた陰部を丸出しにしながらトロンとした虚脱した目つきで、荒い息をついて休んでいる。女の肌を今になって良く確認すると、青刺の蛇が数匹、女の胴体に絡まっており、緻密、かつ、迫真の描写と、汗に濡れていることなどが相俟って、まるで本物の蛇が女に巻き付いているような錯覚さえ、覚えた。
「……ねぇ……」
 おれと目が合うと、女が、いきなりそんなことをいって、黒い物体を取り出した。
「……これ、なーんだ……」
 女は、いつの間にか、おれのパスケースを手にしていた。
 その中には、定期券、免許所、社員証などが入っている。
 おれが、女の掲げるパスケースを取り戻そうと身を乗り出すのと同時に、女は、パスケースを持っていない方の手で、携帯電話を素早く操作し、おれのパスケースを開いて、その中にあった定期券、免許証、社員証などを撮影しはじめる。
 おれが、パスケースを取り戻そうと女に身を寄せると、そのままおれの首に抱きついて、おれたち二人が顔を密着させているショットまで撮影した。
「……はい……これで、メール送信、っと……。
 これで、携帯の写真消してもどうしようもないし……もう、逃げられないから……」
 おれの顔のすぐ横で、笑いを含んだ、女の声がした。
「……こんな恰好のわたしとツーショットの写真とってたら……誰にも、いいわけは、できないと思うし……」
 女は、おれに晴れやかな笑顔をみせて、
「……一度きちんと時間を作って、今後のことを話し合いましう……」
 と、いった。

[完]

■初出: ウラネコの徘徊
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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(51)

第六章 「血と技」(51)

「いやぁ……荒野さん、やっぱり、ただ者じゃあ、なかったんですねぇ……」
 マンション前で顔を合わせるなり、樋口大樹が荒野の方にすりよってきて、今にももみ手を始めるんじゃないか、と思えるくらいに低姿勢で荒野にそういってきた。
 昨日の説明会の場に明日樹と大樹の姿は見えなかったように記憶しているが、説明会に参加した友人に、なにやら吹き込まれたようだった。
 樋口明日樹は、大樹とは対照的に、荒野と視線を合わせるのを露骨に避け、香也の方の近くに身を寄せていた。
『……ああいう方が……』
 むしろ、普通の対応だよな……と、荒野にとっては、明日樹の態度の方が、かえって納得がいく。
 昨日までのクラスメイトとして接していた人間が、常人以上の能力を持つ怪物だったといきなり判明したら……やはり、普通は引くだろう、と。
 玉木たちのノリの良さや、大樹の追従の方が、どちらかというと例外的だ。

「……おそらく、気のせいだとは思うんだが……」
 いつもの面子でぞろぞろと登校する途中、荒野は誰にともなく、そう呟く。
「……おれたち、いつもにもまして注目されていないか……」
 土曜日の件と日曜日の説明会があったから、同じ制服を着た生徒たちに注目されることは、荒野も覚悟していた。
 しかし、今朝は、「たまたま通りかかった人が、荒野たちに注目している」というレベルでは、なくなっているような気がする……。
「……やだなぁ、おにーさん……」
 そういいながら、飯島舞花は近くの塀にデカデカと貼られているポスターを指さした。
「……昨日から、あれ、町のあちこちに貼ってあるから……それで、なんじゃない?」
 荒野や、茅、楓、孫子、三人組などが、盛装……というよりは、荒野には「仮装」にしか見えないトンチキな衣装を着て、こちらの方をみて、ポーズをとっている写真が、ずらずらと並んでいる。
 背後には、「環境を、守ろう」とか「地域のために、戦う」とかいうお題目が大きな活字で踊っており、ポスターの隅の方には、「商店街協賛」という文字と、ボランティア関係のサイトのurlアドレスが記載されていた。
 舞花の言葉を裏付けるように、前の曲がり角からいきなり飛び出してきた、高校生制服を着た五、六人ほどの女の子の集団が荒野にカメラや携帯のレンズを向け、立て続けにシャッターを切ったかと思うと、「きゃー!」とか盛大な嬌声をあげて脱兎のごとく逃げ出していった。

 校門前まで着くと、普段とは違い、生徒たちの人だかりができていた。
 何事か、と、荒野が人だかりの前の方を覗き込むと……なにやら、生徒たちの鞄の中身を、教員が順番に改めているようだった。
「……ああ……抜き打ちの、持ち物検査だな……」
 例によって、舞花がさりげなくこの学校の風習を説明してくれる。
「……そうか、バレンタインが近いから……。
 もう、そんな時期か……」
 舞花の話によると、毎年この時期になると、チョコレートを持ち込む女子が増えるため、抜き打ちの持ち物検査が行われているらしい。
「……だって……バレンタインは、来週だろ?」
 荒野が舞花の説明に疑問を呈する。
「だからさ……一種の、デモンストレーションだよ……。
 当日、いきなりやって、いきなりチョコ取り上げるよりは、いくらか親切だろ……。
 ……一応、校則では、学校の勉強に関係無い物は持ち込んでは行けないことになっているし……たいてい、女子の方も、これがあることを知っているから、チョコは学校外で渡すのが恒例になっているんだけど……」
 実は、この検査が恒例になっていることが、学校の男友達に義理チョコをやらないでいい口実になっているため、女子の方もこの検査は、おおむね歓迎しているという。
「ま……本命相手なら、呼び出すなり家に行くなりして、どうにかするしな……。
 あれ? どうした、楓ちゃん……青い顔して……。
 まさか、チョコ持ち込んだんじゃ……」
「……い、いえ……チョコは、ないんですけど……」
 楓は、心持ち震えた小声で、そう答える。
「……ちょっと……校則に引っ掛かりそうなものを……」

 楓のいう「ちょっと……校則に引っ掛かりそうなもの」が何であるのか……は、すぐに判明することになった。衆人環視の中、楓の鞄が改められ、そこから、明らかに文具や教科書など、学校内の活動では使用することがない物品が、次から次へと取り出された。
 それらは、要するに手裏剣や六角など、楓が外出時に通常持ち歩いている武器だった訳だが……たまたま女子の検査を担当していた岩崎硝子先生は、刃物を含んだ夥しい無骨な金属片が楓の鞄から次々と出てきたのを、最初、驚嘆のまなざしで見つめ、次いで、取り出しても取り出しても次から次へと出てくる「量」に圧倒され、蒼白な顔をして、押し黙った。
 楓と岩崎先生の周囲に、異変を感じた生徒や教員たちが集合してくる。
「……松島君……」
 押し黙ったままの岩崎先生に代って、大清水先生が楓に尋ねた。
「……これは……なんなのかね?」
「ええっと……だ、大丈夫ですよ!
 どの手裏剣も、刃渡りは極めて短く、銃刀法にひっかからないように作られていますから……。
 あは。あははははは……」
 楓は、問われてもいないことを答え、笑ってごまかそうとしたが、当然の事ながら、大清水先生には通用しなかった。
 大清水先生は、表情も変えずに、楓の目をじっと見つめる。
「……えっとぉ……」
 ごまかしきれないな……と観念した楓は、近くにいた荒野の顔をちらりと伺う。
 荒野は、顔の前で手のひらを振っていた。
 ……できるだけ、内情を離すな……ということ、らしい。
「……これ……わたしの、武術の道具でして……し、知ってますか?
 手裏剣術って、歴とした武術の一種で……」
「……その、武術の道具を、学校に持ち込まねばならない理由は?」
 大清水先生は、相変わらず、むすっとした表情で楓に再度、質問する。
「……ありません……」
 楓は、うなだれて、そう答えた。
「……大体のところ、想像はつくのだが……規則は、規則だ……」
 大清水先生は、楓の標準武装をすべて没収した。
 しかし、没収した武器の総重量はかなりのものになる。そのため、教員たちではまともに持ち運ぶことができず、楓自身がまとめて職員室に運び込むことになった。

 この出来事以降、学校内で松島楓のニックネームは「くノ一ちゃん」で定着してしまう。
 初っ端から、決定したばかりの方針……荒野以外の戦力は、匿名で動く……に水を差された格好の荒野は、ひそかに頭を抱えた。
 これで……以後、この近辺で忍装束の少女が活躍すれば……この学校の関係者は、真っ先に楓の存在を思い出してしまうだろう。

[つづき]
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彼女はくノ一! 第五話 (134)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(134)

 そんな長話をするうちにいい時間となり、羽生は楓と孫子に、庭のプレハブにいる香也を呼びにいかせる。そろそろ、外に走りに行ったテンとガクがかえって来る時刻であり、二人が直接プレハブに行くよりは、その前に香也を呼びに行かせた方がいい、と、羽生は判断する。さらにいえば、楓と孫子、どちらか一方だけを行かせれば、今度は残された方に不満が残るのだった。
『……なんだか、まあ……』
 カッコいいこーや君の方も大変だけど……こっちはこっちで、こーちゃんをめぐって、なかなかに難しいことになっているよな……と、羽生は思う。
『こーちゃんは、一体どうするんだろう……』
 と、思いかけ、羽生は慌てて、
『……どうにも、しないか……』
 と、思い直す。
 現在の香也は……誰も、自分からは求めていないように思える。
 あの年齢の男子としてはかなり奇異な事だが……今の香也は、異性よりももっと強い興味を持っているものがあり……。
『でも……そうとは……はっきり言わないんだろうな……こーちゃんは……』
 と、羽生は一人で結論をつける。
 以前よりは他人に関心を持つようにはなってきているが……香也は、まだまだ「意識的に対人関係を築く」という事に、なれていない。
 まだまだ……他人との距離を詰めることを、怖がっている。
『……難しいよな……いろいろと……』
 羽生は、そんなことを考えながら立ち上がり、朝食の支度を整えるために台所に向かう。支度、とはいっても、おおかたの作業はすでに終わり、ほとんど仕上げと配膳を残すのみになっているので、手間も時間も、さほどかからない。

 例えば……出て来る女の子が軒並み主人公に気が合って、場合によっては入れかわり立ちかわり主人公と性交渉を含めた関係を持つ、という、ご都合主義極まるストーリーの「型」が、日本のあるジャンルには定着している。
 思春期のユーザーをターゲットとしたマンがから派生した、「世界は自分を中心として回っている」という願望を従属させるための「型」は、現在はアニメとかゲーム、それにラノベにまで蔓延している。
 ままならない現実から逃避するためのフィクションとしては、そういうのもアリではあるだろう……と、自身、同人誌でその手の作品を手掛けた羽生も思いはするのだが……その主人公が、異性、どころか、他者全般をあまり必要としておらず、群がって来るヒロイン候補たちとあまり積極的にかかわって行こうとしない、超マイペース人間だったとしたら……。
『……ギャルゲーとかエロゲーだったら……誰とも結ばれないまま、バッドエンドに直行だよな……』
 羽生は、現在の香也の状況を、そのように分析する。
 必ずしもヒロインを必要としていない、ハーレムタイプ・フィクションの主人公は……現実には、いったい、どのような末路を迎えることになるのだろうか?
 ……と。

 香也は、プレハブの中に楓と孫子が入っていっても、そのことに気づかなかった。
 プレハブの入り口が開いて冷たい空気が入り込んでも、こちらに顔を向けようともしない香也を目の当たりにして、楓は「……あ。また入っている……」と思い、孫子は「集中していますわね……」と思う。
 いったん集中しだすと、香也は周囲のことに極端に無頓着になるし、また、二人がそういう香也を見るのはそう珍しいことではない。
 外界の変化に少しも意識をそらさず、目前のキャンバスに向かっている香也の背中を見ることは、二人にとっても好ましいことだった。そうしている時の香也は、外界を拒絶している……というよりは、背景に完全に溶け込んで、自身が静物と化している……ようにさえ、みえる。
 朝食のため、香也を呼びにきたのだが楓と孫子はそのまま十分以上も立ち尽くして、香也の背中をみていて……結局、ランニングから帰ってきたテンとガクがプレハブに入ってくるで、その状態は持続した。

「……おにーちゃん……朝ごはん、だって……」
 背中から声をかけられて振り返ると、楓、孫子、テン、ガクが揃って自分の方をみていた。
 テンとガクは、トレーニングウェア姿だった。
「……んー……」
 香也はそう返事をして振り返り、いそいそと画材を片付けはじめる。楓が手を延ばして、筆の始末などを手伝ってくれる。
「……これ……新しい作品ですの?」
 孫子は、ついさっきまで香也が手をいれていたキャンバスをしげしげと見つめながら、そういう。
「……んー……。
 そう……」
 香也は道具を片付けながら、そんな返事をしてした。
「……土曜日の午前中見た、ゴミの山。
 寝ている間、なんだか無性に、描きたくなって……」
 絵の題材としては……珍しいのでは、ないか。
 しかし、まだ、ざっと輪郭線が描かれただけのキャンバスからは……孫子は……今の時点でさえ、何か、異様な迫力を感じていた。
「……まだ……手をつけはじめたばかりのようですけど……」
 孫子は、描きかけの絵から、目が離せなくなった。
「……なんだか……力のある絵に、なりそうですわね……」
 孫子の言葉に、テンとガク、それに楓の目が、描きかけのキャンバスに注がれる。
 香也が、静物や風景を描くのは珍しいことではないが……この絵からは、孫子のいうとおり、今までの香也の絵とは違ったものを……見ていた者は、感じていた。
 それまでの香也の絵が、技術だけで描かれたもの、だとすれば……今の絵は、その技術を駆使して、香也を内側から迸る「なにか」を、キャンバスにぶつけているような気がする……。
「……んー……」
 道具を片付け終わった香也が、描きかけの絵を見つめていた四人に、声をかけた。
「……まだ……手をつけはじめたばかりだし……どうなるのか、わかんない……」
 香也を含めた五人は、朝食を摂るためにぞろぞろと居間に向かった。

「……それでねー……。
 ボクも、体の方が本調子になるまで、トクツーさんの方を手伝いうことになると思うんだけど……」
 朝食の席で、ガクが元気な声で告げる。
「……へー……。
 ガクちゃんも、プログラムとか組めるのか?」
 羽生はガクの言葉に、素直に感心している。
「うん。じっちゃんに、基本的な教養だってしこまれた。ノリも、ボクぐらいはできるよ。
 本当なら、その手の頭脳労働はテンの土壇場なんだけど……」
「……孫子のおねーちゃんの弾薬や、楓おねーちゃんの投擲武器の生産ラインの確立とか……それに、ボランティアに使えそうな装置の試作品の手伝い……。
 ボクはボクで、やることが、山ほどあるから……」
 テンも、ガクの言葉に頷く。
 テンの説明によると、徳川はしばらく新製品の開発に専念したいから、既存品のコピーを生産するためラインの整備、などの面倒な仕事は、できるだけテンに押し付けようとしている……と、いう。
「……ま、それだけ、ボクの事を信用しはじめている、ってことなんだけど……。
 それでも、トクツーさん、あれでコスト管理とかにうるさくてさ。少しでも製造にかかるお金、削減する方法をもっと工夫しろって、煩いの……」
「……ことに、大量生産が前提だと……そうした意識は必要だし、疎かにはできませんわ……」
 孫子が、テンの言葉に頷く。
「……そう……徳川も、そんなに忙しいの……」
 孫子はなにやら考え込む顔になった。
 考えて見れば……徳川篤朗は、普段から学業と事業、の、二足のわらじを履いている。そこにさらに、イレギュラーな仕事を新たに背負い込んだ形であり……。
 たしかに、どう考えても……暇ではありえないだろう。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(50)

第六章 「血と技」(50)

 茅に淡々とした口調で諭されたのが奏功したのか、その朝、テンとガクはやけに大人しくなった。ガクの場合は、まだ傷口がふさがっていないので、軽いランニングていどしか出来ない、という事情もあったが。
 茅、テン、ガクと一緒に走りながら、荒野は茅のことを考えている。
 ついつい記憶力や佐久間的な能力のほうに注意がいきがちだが……茅の観察力と、そこから細々としたことを推察する能力は、かなり得難い資質なのではないだろうか? こうした能力は、遺伝などの先天的な資質で決定される事ではない。また、茅自身もそれを心得て、必要がない場合は、あまりひけらかさないようにしている節も、ある……。
 荒野の場合は茅と一緒にいる時間が長いので、それだけ、今朝のように、茅がその資質を発揮する場を、目の当たりにする機会にも恵まれることが多い、のだが……例えば、学校の同級生などは……。
 と、そこまで考えて、荒野はあることに気づき、
「……茅……」
 はっとして、肩を並べて走っている茅に、声をかけた。
「学校で……同じクラスで、仲良くしている子とか……結構いるのか?」
「楓。柏あんな。絵描き……」
 荒野ほど心肺機能に余裕があるわけではない茅は、ぼつぼつと単語を並べて答える。
 つまり……学校に通うようになってから、新しくつきあい始めた友達は、いない……ということか……。
 と、荒野は思う。
 楓あたりから、茅がクラスで孤立している、という話しも聞いたことはないので、それなりにうまくはやっているのだろうが……代わりに、取り立てて親しい友達も、できていない、と……いうことか……と、荒野は納得する。
 茅は、表情の変化が読みにくく、独特のしゃべり方をするし……級友たちからみれば、確かに、親しみやすい性格ではないのかも知れない……とも、思う。
「……茅……できれば、でいいんだが……」
 荒野は、慎重に言葉を選びながら、茅にいった。
「学校の中に、少しでも多く、親しい友達を、作ってみないか?
 これからの事を考えると……やはり、信頼できる人は、多ければ多いほど、いいんだ……」
 ……そして、普段から浅い付き合いしかない相手は……やはり、心の底から、は、信頼されないだろう……。
 荒野は必ずしも楽天的な性格ではないので……自分の正体がすでにばれてしまった今、これから、茅も含めて、自分たちが学校で孤立していく……という展開も……当然、荒野は予測している。
「……わかったの……」
 数秒間、考えこんだ顔をした後、茅は短く、そう答える。
 荒野の意図を理解した、表情だった。

 荒野たちの敵は……昨夜の会食で話題が出た襲撃者たちだけ……では、なく……もっと身近な人々の心情や偏見、差別意識……なども、含む。
 どちらかというと……撃破すべき相手がいない、際限のない、不特定多数の、悪意のない人々の意識の方が……相手にする場合、厄介なのではないか……と、荒野は思う。
「人間が人間である限り……差別は、なくならないのです……」
 といった有働勇作の声が、荒野の脳裏に蘇った。

 週末のごたごたが嘘のように、茅は、先週までと同じように淡々とメニューをこなし、その間、荒野とテン、ガクの三人は、今後のことについて、具体的な打ち合わせを行った。ガクがまだ本格的な運動はできないので、どのみち手持ち無沙汰であり、そうでなくとも早朝のこの時間は、三人組と荒野が定期的に情報を交換する時間、でもあった。
 テンやガクにしてみても、島を出てから多くの知り合いを作ったこの町に居続けたい、という希望はあるので、荒野には、協力的だった。
「……基本的に、学校にいっている間は、おれたちは動けないわけだから……」
 荒野は、二人にいった。
「……しばらくは、学校外に関しては、お前らが主体になって警護するわけで……」
「……そのこと、なんだけど……」
 テンが、荒野の言葉を途中で遮った。
「手製の警戒網、ということについて、幾つかトクツーさんが早速アイデアを出してくれて……そのうち、半分くらい、もう試作品の製作に取りかかっているって……メール、あった……」
 試作品、ということは……いずれ、徳川らしい機械、なのだろう。
 確かに、無人で不審者を早期発見できる警戒網が広範囲に設置できれば、荒野たちにとっても便利この上ないのだが……。
「そんなもん、設置する金……どっから、でるんだよ……」
 荒野は憮然とした口調でいう。
 広範囲に設置する、ということになると、やはりそれなりの資本が必要となる。
「……ボランティアの方面の試作品でも、あるんだって……。
 そのうち製品化して市場に出すための試験でもあるから、後から回収できる、とか……詳しいことは、直接学校で聞いたら?」
「そうしよう……」
 荒野は、頷く。
 徳川は勝手に動いていて、テンと徳川は頻繁に連絡を取り合っている……ということが分かっただけでも、荒野にとっては収穫だった。
「あとねー、あとねー……」
 今度は、ガクが元気よく片手を上げる。
「……玉木おねーちゃんが、ボクらのヒーロー化計画を、本格的に進めてくれているみたい。
 今日の放課後も、いろいろ撮影したいってメールきてた……」
「……女性の場合、ヒーローじゃなくて、ヒロインだ……」
 これまた、荒野は憮然として答える。
 玉木も……徳川と同じく、荒野が何かいう前に、勝手に動いている……。
 これは……本来なら、喜ぶべき所なのかも知れないが……なんか……自分が知らない所で、どんどん事態が進行しているような感触があって……荒野は、素直に感謝する気にはなれなかった。

 徳川にせよ、玉木にせよ……必ずしも、将来、目論見通りの成果を上げるとは、限らないのだが……。

 それ以外に、徳川やテンが開発中の、武器や装備のテスト、それに、真理不在中は、狩野家の家事なども比較的手が空いている二人が負担しなければならず、荒野たちが学校に行っている間も、二人ともそれなりにやることはある、ということだった。
 そうなると、荒野としては、
「出来る限り携帯を持ち歩いて、連絡が取りやすい状態にしていろ」
 というくらいしか、二人にいうべき事はなくなってくる。

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彼女はくノ一! 第五話 (133)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(133)

 香也が射精した瞬間、テンとガクは発射された白濁液を求め、反射的に顔を動かしていた。テンが空中に飛び出した分を求めて首を伸ばせば、ガクが発射源である香也の亀頭をくわえ込み、ドクドクと止めなく放出される分を頬を凹ませてすすり上げる。テンは、常人離れした対応速度を活かして香也の精液が空中にあるうちにその全てを口で捕らえることに成功し、続けて、香也の陰茎に零れた分を舌で掃除しはじめる。香也自身の根本から上の方へと舐め上げていき、最後には、亀頭を咥えていたガクと二人で頭を並べ、香也の鈴口を境界として左右から舌先で香也の亀頭を清めはじた。
 湯船の中で立っていた香也は、射精し終わるとその場で膝をつき、それにつれて、香也の足元に左右に取りついていたテンとガクが、香也の両肩に体を寄せてくる。二人のあるかないかの胸の膨らみを押しつけられ、香也はこの期に及んで二人に「異性」を感じはじめた。つまり、それまでは、もっと直接的な快感を感じていたので、「異性を意識する」云々よりもそっちの感覚に意識をとられていた。
 テンとガクは、香也の左右から身を寄せて、くすくす笑いながら「飲んじゃった……おにいちゃんの……」とか「変な味……」とかいいあっている。羽生譲までが、香也の背にもたれかかってきて、香也はその場にへたり込みながら、依然として三人に三方から押さえ込まれている形だった。
 しばらく息をはずませていた香也は、段々落ち着いてくると、
「……んー……」
 と唸り、
「そろそろ、出る……あんまり長湯すると、治りかけた風邪、悪化しちゃうし……」
 と、何事もなかったようにボソボソとした、はっきりしない口調で告げた。
 すると、香也の背中にもたれかかっていた羽生譲が、ビクリと体を震わせて香也から体を離し、テンとガクにも、香也から離れるようにいった。
 雰囲気に呑まれてしまったが、羽生譲にも常識的な判断力はあり、未成年の異性にこうして三人がかりで襲っていいとは、決して思ってはいない。
 テンとガクは不満そうな顔をしながらも、香也の体調を理由にされると、羽生譲の言葉に従わないわけにはいかなくなり、しぶしぶ、といった様子で香也から離れた。
 すると、香也は意外に素早い動作でたちあがり、湯船から出て脱衣場の方に向かった。
 その後ろ姿を見ながら、羽生譲は「……こーちゃんが大げさに騒ぎ立てなくて、良かった……」と思った。
 香也が、こんな目に遭いながらも、いつもの通りの平然とした様子を崩さずにいたことで、羽生はかなり救われた気持ちになっている。
『……さて……』
 と、羽生は思った。
 あんな事があった直後に……テンとガクに、「こーちゃんにああいうことは、しちゃ駄目だぞ……」と、説明しても……説得力、ないよなぁ……とも、思った。

 結局、羽生は二人にそのことを切り出せないまま、三人は風呂から上がった。

 風呂から上がった香也は、丁寧に体を拭いて水気を払い、いつもよりよほど厚着をしてから、玄関から外に出て、プレハブに向かう。態度にはあまり出ていなかったが、香也も当然、かなり動揺しており、そして、精神的に不安定な状況を鎮める効果的な方法は、香也はたった一つしか知らない。
 香也は、手慣れた動作で灯油ストーブに点火し、キャンバスを準備しはじめた。登校の準備をする時間まで、まだ二時間ほどあるし、それに、丸一日以上絵筆を握っていない、というのは、香也にしてみれば珍しいことで、はやく手をならしておきたかった。
 体調も、流石に万全とは言い難かったが、かなり復調していたし、これ以上寝込んでいると……かえって、いろいろな事が悪化する……ような、気がした。

 香也は、朝食の準備が出来て、母屋から呼び出しが来るまで、キャンバスに向かっていた。

 結局、羽生はテンとガクを諫める言葉を思いつかないまま、風呂から上がった。
 テンとガクの二人は、そのままトレーニング・ウェアに着替え、いつものランニングに行く、といって、家を出た。
 二人を見送ってから、羽生は、香也の部屋をそっと覗き、そこに香也がいないことを確認する。そして、少し考えて、窓から庭を覗くと、プレハブの窓から光が漏れていた。
 ……なるほど……、と、羽生は納得する。
 あそこは……確かに、香也が気持ちを落ち着けるのに、相応しい場所だ……。それに、ここ一、二日、絵筆をとっていないから、香也もフラストレーションを溜め込んでいたのだろう。
 邪魔しちゃ悪いな、と思った羽生は、そのまま、台所に向かう。
 まだ、かなり、早い時間だが……早めに、朝食の準備をはじめよう。

 羽生が台所で朝食の支度をしていると、楓と孫子が前後して起きてくる。二人とも、自分自身で朝食の支度をするために、早めに起きだしてきたらしい。
 そういえば、真理がいない間の食事の支度について、きちんとした順番を話し合っていなかったな、と、羽生は思い、その日の朝食の分に関しては、三人で分担して支度をすることにする。もっとも、朝食であり、たいして手間がかかる料理は作るつもりはないので、三人で取りかかったら、必要な作業はすぐに終わった。
 そこで、三人で居間に移動し、お茶にする。
 その場で、ここ二、三日の詳しい話しを、羽生譲は二人の口から交互に説明されることになった。土曜日、ガクが入院する原因になった話しなどは、断片的な情報としていくらか聞かされてはいたが、学校での出来事や、その他、楓たちも昨夜知ったばかりの過去の経緯なども含め、包括的な話しを、羽生はここで初めて聞くことになる。
「……ふぁー……」
 楓と孫子から交互に詳しい内容を聞かされた羽生は、そんな間の抜けた声をあげた。
「……どうにも、こう……。
 スケールが大きすぎて、イマイチ、実感が湧かないっていうか……」
 それが、羽生の正直な感想だった。
「実は……わたしも、同じようにあまりリアリティは感じていないんですが……」
 楓は、羽生の言葉に、頷く。
「……でも、現に、茅様や、テン、ガクは、ここにいるわけですし……」
「それに……この町が……加納たちが、未知の敵の脅威に晒されていることも……動かしようのない事実ですわ……」
 孫子が、つけ加える。
「……さらに、いうなら……わたくしたち以外、対処のしようがない敵、が……」
 孫子は「わたくしたちでも、対処できるか分からない敵」という寸前で、慌ててそのように言い直した。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(49)

第六章 「血と技」(49)

「例えば……」
 荒野に話しを振られた茅は、トコトコと荒野に近づき、ぴたっと抱きついた。
「……荒野と茅は、らぶらぶなの」
「……知っているよ、そんなこと……」
 ガクが、茅の言葉に口唇を尖らせる。
「荒野と茅はらぶらぶだから、えっちをしてもいいの。
 するのが、自然なの」
 ガクの反抗的な態度は無視して、茅は先を続ける。
「でも……絵描きは……。
 テンと、あるいは、ガクと……らぶらぶなの?」
 茅はそういうと、大きな黒目がちの目で、テンとガクの顔をまともに見据える。
 茅に見据えられたテンとガクは……途端に、居心地が悪そうに、もぞもぞと体を揺すり、茅の視線を避けはじめる。
「……お、おにーちゃんは……」
「そ……そういうタイプじゃない、って……知っているじゃん、そっちも……」
 二人は、しどろもどろに、そんないいわけをしはじめる。
「……そう……」
 茅は、二人の言葉に、大きく頷いた。
「二人も知っているように……絵描きは、まだほとんど……他人というものに、あまり関心を持てないでいるの……」
 茅は、そこで少しの間黙り込む。
 テンとガク、それに荒野は、茅の言葉がそこで終わるとは思っていなかったので……辛抱強く、茅が続きをしゃべりはじめるのを、待った。
「絵描きは、前に……他人が、恐い……と、いっていたの。
 でも、それは少し、違うの……。
 より正確にいうのなら……あの絵描きは、それまであまり、他人……他者という存在のことを、深く気にとめていなかった……。
 それまでは、他人が自分をどう思うが、気にとめなかったの。
 でも、最近になって……自分が、周囲の人間にどう思われているのか……意識するように、なった。
 だから……それまで恐くなかった他人が……急に、恐くなりだしたの……」
 絵描きは……香也は、こと、対人関係を結ぶ人格としては……ひどく未熟で、未完成な存在だ……と、茅は語る。
「テンとガクが……あの絵描きのことを、大事に思うのなら……。
 もう少し、彼との接し方を、考えるべきだと思うの」
 テンもガクも……それに荒野も、茅の、香也に対する人物評に、反論できなかった。
「……茅……」
 それでも、荒野は、茅に確認せずにはいられなかった。
「それは、彼を……香也君を、読んで、分かったのか?」
 佐久間流の意味で、香也を「読んだ」のか……と、荒野は茅にただす。
「……違うの」
 茅は、ゆっくり、首を横に振る。
「今までの、絵描き自身の態度……それに、周囲の人々から聞いた話しから、整合性のある仮説を組み立てただけなの。
 絵描きは……樋口明日香が呼びに来るまで、学校に行くことさえ、重要視していなかった。
 それ以前の絵描きには……おそらく、社会性などの観念が、あまり身に付いていなかったと思うの。
 それに……羽生や真理の、絵描きに対する態度や、証言を考え合わせると……絵描きは、ごく最近まで……」
 家族や身の回りにいる少数の人々以外とは、ほとんど交渉がなかったのではないか……と、茅は推測する。
 いわれてみれば……荒野は、香也が、昔から付き合いのある友人……に、あったことがない。小学校の時分からこの土地に住んでいれば……近所の子供や同級生の知り合いが何人かいても、おかしくはない筈だったが……荒野が知る「香也の同年配の友人」は……樋口明日樹が、一番古株であり……それ以外は、だいたい、荒野や楓、茅たちがこの土地に来てから知り合った人々に限定される……。
 これは……改めて指摘されてみると……香也の年頃、としては……かなり、異常な事なのではないのだろうか?
 テンとガクも……自分たちの記憶をさらって、荒野と似たり寄ったりの結論を出したのに違いない。
「……そういえば……おにーちゃんって……」
「ボクたちが来てから、いつも賑やかだったから、気がつかなかったけど……おにーちゃん自身の友だちって……」
「いわれてみれば、極端に少ないような……明日樹おねーちゃんぐらい?」
 ボソボソと小声で、そんなことを言い交わしている。
「おそらく……」
 テンとガクが静かになるのを待って、茅はさらに先を続けた。
「それまでの絵描きは……自我を閉じて、紙に向かうことで……それなりに、充足していた。
 でも……その、充足した自閉状態を、少しづつ開いていったのが……真理であり、羽生であり……樋口明日樹であり、楓であり……荒野であり、才賀であり、茅であり……その他、現在つきあいのある人々、なの……。
 絵描きは、現在、自閉的な人格から、社会的な人格へと変容している途上であり……そのような時期に、不用意に不特定多数と性的な関係を持ち、なおかつ、自分と関係を持った異性が、自分を巡って争うようなことが起こったら……」
 社会的な人格、としての絵描きは……歪むか、壊れるか……するの……。
 と、茅は、ひどく冷淡な口調で告げる。
「……絵描きが抵抗らしい抵抗をしなかったとすれば……それは……」
 香也が、自分の意志を明言することで、他者の意志を挫くこと……自分が、他人の要求を満たせない、という事実を認めることを、ひどく恐れているせいではないか……。
 とも、茅は、つけ加えた。

 そういえば……よほどのことがない限り……香也は、他人の頼みをはっきりと断らない……という事実に、荒野ははじめて思い当たる。
 なにかというと「……んー……」と呻って結論を先延ばしにする香也のあの癖は……優柔不断、は、優柔不断なのだろうが……はっきり断ると、角かたつ……他人との間に少しでも溝が入る、のを……香也自身が、無意識裡に嫌っているから……。
 一種の、精神的な自衛手段、なのか……。

 茅の推測を聞くうちに、テンとガクは、視線を宙にさまよわせ、ひどく落ち着かない様子になってきた。
「テンとガクが、絵描きを歪めたり壊したりしたければ……好きに扱えばいいと思うの……」
 茅は、二人に追い打ちをかけるように、そう断定する。

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彼女はくノ一! 第五話 (132)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(132)

「……えへへ……先っぽ、舐めちゃった……。
 変な味……」
 テンは香也の亀頭を浅く口に含んだだけで、すぐに顔を放す。
「……ボクもボクも!」
 そういってガクは、香也の竿の根本から先の方に向けて舌の先を這わせる。
 二人は、競い合うようにして、ぴちゃぴちやと水音をさせながら、香也の男性器を、口と舌で弄びはじめた。香也の亀頭の先から陰嚢までが二人の唾液にまみれ、香也の腰が何かに耐えるようにがくがくと動きはじめる。
 香也も何度かの性行為を経て、現在では快楽を堪えるコツみたいなのをつかみかけていた。ほんの少し前の童貞の時だったら、数秒も保たず、射精していただろう。
 テンとガクの方も、異性の性器を口で愛撫する、という自分たちの行為自体に明らかに感じるものがあるようで、頬を上気させ、恍惚とした表情で香也に奉仕している。熱心に舐め続けるうちに、時折、二人の舌が触れたりするのだが、そんなことにも構わず、むしろ、起立する香也の性器を挟んでテンとガクが濃厚な接吻を交わしているようにも見える。

「……うわぁあ……」
 香也の背中越しにテンとガクが香也の逸物を舐めあげる様子を覗き込んでいた羽生譲は、思わずそう呻いていた。
 テンとガク……年端もいかない少女二人が、グロテスクな男性器に左右からyとりついて不器用かつ熱心に舌や口を使っている光景は……淫靡、としかいいようがない……。
『……今度の同人誌のネタにしよう……』
 羽生譲は不謹慎なことに、そんなことを思っていた。
 ……いや、三人がやっていること自体、もともと不謹慎といえば不謹慎な行為なんすが……。
『……でも、こんなの間近にみていると……』
 背後から香也の体を縛めている羽生は、自分の体温が上昇し、動悸が速くなっていることを自覚する。
「……こーちゃん……ごめん……」
 本当は……こんなことにならないように……監督しなければならない立場なんだが……とか、思いながら、羽生譲は香也の耳に熱い息を吹きかけるようにして、囁く。
「……わたしも……なんか、変な気分に、なってきた……。
 ちょっと……こーちゃんの、指……貸して……」
 香也の返事を待たず、羽生は後ろ手に回した香也の手首を握り、その中指を、自分の股間へと導く。
 香也の中指が、羽生の手に導かれ……羽生の陰毛をかき分けて、ぬるぬるする湿った箇所に、触れる……。
 と。
 香也の肩が、びくり、と小刻みに震えた。
 中指が触れたのが羽生のどの部分か、そこが何故湿っているのか……悟った、のだろう……。
『……軽蔑、されたかな……』
 そんなことも脳裏をよぎったが……香也の背中と全裸同士で密着しながら、目前でこんな扇情的な光景を見せつけられている羽生の方も……ぼちぼち、適当に発散しておかないと……。
『……こーちゃんに、むしゃぶりつきたくなっちゃうもんな……』
「……ごめんな、こーちゃん……」
 羽生はそういって、自分の局部に添えた香也の指を上下に動かしはじめる。
 最初はゆっくり……と、思っても、香也の指が女陰の上部に位置する陰核に触れただけで、感電したように体が震えてしまう。
『……なんで……こんな。
 ちょっと、触れただけで……』
 異常な状況……は、羽生の精神にもそれなりに影響を与えていた。

『……うわっ、うわっ……』
 なんで……こんなことに……と、先ほどから香也は思っている。
 いや、それをいいだしたら……一昨日、楓や孫子と繰り広げた痴態……いやいや、もっと以前、楓と初めてあった日の夜、この風呂場で初めてしちゃった日から……。
『……どーして……こーなる?』
 と、香也は思い続けて現在に至る。
 困るのは……楓にしろ孫子にしろ……それから、現在、香也に張りついている三人にせよ……必ずしも、香也との性行為を「目的」とする色魔などではなく……むしろ、みんな、普段は頭の回転が早く、それぞれ違った魅力を持った異性であり……憎んだり嫌いになったりすることが、難しい存在で……。
『でも……だからといって……』
 これはないよなぁ……と、香也は、意外に冷静に、現在、自分が置かれている状況を分析する。
 テンとガクは、左右から香也の太股に抱きつくようにして、香也の中心に対して口による奉仕を行っている。最初のうちは、「香也の大きくなったアレが苦しそうだったから、楽にしてあげる」という名目ではじめられた行為だが、今では、二人は、自分たちの行為自体に淫して恍惚としているようにも、見えた。
 香也の方はといえば、前述のようにこうした肉体的な接触に多少の慣れができはじめていたので、最初の衝動をなんとか堪えると、今度はこうして理路整然とした思考が可能な程には、冷静になってきている……。
 だが……それも、あまり長くは続かなかった。
「……ごめんな、こーちゃん……」
 背後から香也に抱きついていた羽生が、唐突にそんなことをいって……香也の手首をとって……導く。
 香也の指が、ヘアに触れ、そこをかき分ける感触。
 続いて……じっとりと湿ったスリットに、押しつけられた。
 そこが羽生のどの「部分」か悟った香也の肩が、ビクン、と震えた。
 羽生は、「ごめん、ごめん」と香也にあやまりながら、香也の指で自分の性器を慰めはじめる。
 香也のうなじから肩にかけて、羽生の熱い吐息が、かかる。
 香也の指を動かしながら、羽生は、硬くなった乳首を香也の背中に擦りつけてくる。
『……うわぁ……』
 このシュチュエーションは……やばい、と、香也は他人事のように思った。
 これまで、なんとか自制していたものが……決壊する。
「……んっ……んっ……おにーちゃんの……ビクビクしてきた……」
 依然として香也のモノを恍惚として舐めあげていたテンが、いちはやく香也の変化に気づく。
「……んっ……いいよ、おにーちゃん……このまま……出しちゃっても……ボクたちが……お口で受け止めてあげるから……」
 ガクも、いつうもとは違う艶っぽい声で、そんなことをいう……。
「……はぁあっ! んんっ! はぁっ!」
 羽生譲は羽生譲で、香也の指を使いながら、完全に自分だけの世界に没入していたりする……。

 耐えきれなくなった香也が暴発し、テンとガクが左右から香也の亀頭に食らいついて白い粘液を啜りはじめたのと、羽生譲の体から力が抜けてぐったりと倒れ込んだのとは……ほぼ、同時だった。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(48)

第六章 「血と技」(48)

 前夜、就寝したのがかなり遅れたのにもかかわらず、翌朝も茅はいつもと同じ時間に起き、荒野はそれにつき合った。当初はすぐに飽きるだろう、くらいに予想していた茅の体力造りは、今では日課としてしっかり定着している。
 マンションの前でストレッチをしている所で、これまたいつものようにトレーニングウェア姿のテンとガクが合流してくる。
 合流するなり、ガクが鼻をひくつかせてから、胸をそれし、
「……ふっ……昨日は、二回か……」
 などと呟いた。
 何故か、余裕ぶった態度に見えた。
「……お前なあ……朝っぱらの出会い頭に、人がやった回数をいちいち指摘してするなよ……」
「……飯島のおねーちゃんや柏のおねーちゃんは、挨拶代わりに回数自慢しているじゃんかよ……」
 荒野がムッとした顔をしてそういうと、ガクが唇を尖らせた。
「……おれは、あいつらほど恥を捨ててない……」
 荒野は憮然として、そう答えた。
「お前も少しは恥じらいというものを学習しろ」
「……ふふん……」
 ガクは、荒野の顔をまじまじと見て、それから、鼻で笑った。
「ボクたちだって、いつまでも子供じゃないもんね……」
 それまでとは違い、やけに余裕がある……ガクの態度に、荒野は不審を憶えた。
「……昨夜……あれから、何か……あったのか?」
 怪訝そうな顔をして、荒野が改めて問いただす。
 昨夜、あれから……とはいっても、帰ってきた時間がかなり遅かったし……。
「昨夜、っていうか、今朝……ついさっき、なんだけどね……」
 ついさっき……となると、家の中で……何が……。
 という所まで考えて、荒野は、ハッとあることに気づく。
「狩野家の中」で「もう子供ではない」……となると……。
「まさか、お前……香也君でも襲ったのか?」
 楓の例を知っている荒野は、ついついそっちの方の発想をしてしまう。
「……やだなぁ……襲っただなんて……」
 ガクは、はにかんだ顔をして頭を掻く。
「……おにーちゃんは共有財産なんだから、乱暴に扱うわけないじゃないか……。
 ただちょっと、一緒にお風呂に入ってせーえき飲ませて貰っただけで……」
「うん。全然、無理矢理、じゃあないよ。
 おにーちゃん、ちゃんと嫌がってなかったし……」
 テンが、ガクの言葉に続ける。
「……ガクと二人で舐めてたら、びゅーっと勢いよく出てきてね……。
 それで、ガクと二人でね、零さないように慌てて口で塞いで、舐めあげたんだ……」
「変な味でおいしくなかったけど……すっごくおにーちゃんーっ、て、匂いがしてた……」
 無邪気な様子で交互にそういう二人を前にし、荒野は口をぱくつかせるばかりだった。いいたいことは山ほどあったが……どのように伝えたらいいのか……荒野は、他人に教えを垂れるほど、性教育の知識が豊富なわけではない。
 第一、医学的な知識なら、二人とも十分に施されているだろう……。
 二人に不足しているのは……もっと情緒的な、男女関係の機微……に関する、判断力であり……。
 荒野は狼狽して、あたりを見渡し、
「……茅!」
 結局、茅に助けを求めた。
「こいつらになんかいってやれ!
 ほっとくとこいつら、どんどん価値観が歪んでいって……社会生活不適合者になっちまうぞ!」
「……テン、ガク……」
 それまで淡々とストレッチを続けていた茅が、初めて口を開く。
「嫌がっていないだけでは、駄目なの……。
 本当に、好き同士でなければ……そういうことは、してはいけないの……」
「……えー……」
 ガクが、不満そうな声をあげる。
「じゃあ……おにーちゃん……楓おねーちゃんと孫子おねーちゃん……両方と、本当に好き同士なの?」
「……おま……滅多なこというなよ。
 彼があの二人に言い寄られているのは知っているけど、応じては……」
 荒野は、自信なさそうな声で反駁した。
「……いたよ……一昨日の、昼間……。
 三人で、何度も何度も……」
「ガクの鼻は、誤魔化せないから……」
 ガクとテンは、荒野とは対照的に、自信に満ちた態度で、そう反論する。

『……そ、そういうことに……』
 なっていたのか……と、荒野は思った。
 どういう経緯でそうなったのかまでは分からないが……香也の性格からして……強引に、二人に押し切られたのだろう……。
 あるいは……何か、あの二人に強引な手段をとらせるような、後押しするようなきっかけがあったのかも知れないが……。
 どちらかが香也とそうなりかけた現場を、もう片方が押さえたとしたら……。
『後は……なし崩し、だろうな……』
 香也のことがなくとも……あの二人は、事あるごとに、張り合う。
 間に香也を挟んでいたら……それに輪をかけて、意地の張り合いになる……。 荒野はほんの数瞬のうちに、三人の関係が変化した時の状況を予測した。
 そして、ほとんど直感的に導かれた荒野の予測は、正鵠を射ていた。

「……あー……」
 荒野は、視線をあらぬ方向に向けて、二人を諭すのに相応しい語彙を脳裏から検索する。
「……大人には、大人なりの事情というものが、あってだな……」
 その手の話題は、荒野にとってはかなり苦手なジャンルだが……必死になって、二人を説得する論理を組み立てようとしていた。
「大人、っていったって、ボクらとおにーちゃんたち、そんなに違わないじゃん……」
「そうそう。ノリも、もうかなり背が伸びたっていてたし……」
 やはり、付け焼き刃の荒野の説得は、二人には通用しなかった。
「……茅ぁあ……」
 結局……荒野は、情けない声を出して、再び茅に助けを求める。

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彼女はくノ一! 第五話 (131)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(131)

「……こ、こーちゃん……」
 羽生の声は震えていた。羽生の脳裏では、先程から蛍光色ゴチック体の「三角関係」という文字が点滅している。
「……ひょっとして……そ、ソンシちゃんとも……その……やっちゃったのか?」
「三人一緒にね。
 おにーちゃん、何度も何度も、二人の中に出してたよ……」
 ガクが、無邪気に補足する。
「……ほー……何度も何度も……。
 二人一緒に、かぁ……」
 羽生譲はぼーぜんと呟いて、香也の股間に視線を落とす。
「……やるなぁ……こーちゃんのチンコ……」
 そして、そんなことを口走る。
 静かに、動揺しまくっているようだ。
「ソンシちゃん……はじめてだったろ?」
 羽生は孫子とそんなことを話し合うような間柄ではないが、孫子の場合、実家が実家だし、性格が性格だし……めったな男には、靡かないのではないか……と、羽生は思った。
「……う、うん……」
 香也は羽生の視界から前を隠そうと四苦八苦しながら、あいまいに頷く。先程から「収まりがつかない」ほどに大きくなっているので、掌では隠しきれない。
「……多分……」
 香也とて、しっかりと確認した訳ではないのだが……痛がっていたし、血も出ていた……から、多分、そうなんだと思う……。
「……はー……なんだって、そんな……はじめてが、三人で……に、なるんだか……。
 どうせ、こーちゃんから……ではないんだろう?」
 羽生はいぜんとしてぼーぜんしながら、香也に確認する。
 香也は、コクコクと頷いた。
「じゃあ……二人同時に、無理やり、迫られたか……」
 羽生はぼんやりと予測する。羽生は香也とは付き合いが長い分、性格も把握している。どっからどうみても、香也は、自分の欲望を満足させるため、二人同時に……というタイプではなかった。
 それくらいの覇気があれば、楓たちが来る前に、樋口明日樹や羽生自身と、とっくにどうにかなっていただろう。
 今度は、香也はこめかみのあたりにじっくりと汗をかきながら、なんのリアクションも返さなかった。
「……はぁ……」
 羽生譲は、ため息をつく。
 真相は……当たらずとも、遠からず……という所かな……と羽生は思った。
「……先を越されたばかりか……。
 いきなり、3Pかよ……こーちゃん……」
 羽生譲の心境も、複雑だった。
 動揺を隠すため、羽生譲は立ち上がり、香也の肩に抱きつく。
「……どれ?
 おねーさんにバージンキラーなチンコ、ちょっとみせてみろ……」
 テンとガクも「見たい見たい」とはしゃぎながら、羽生に習って香也の手を拘束する。
 三人でがかりで両手と胴体にしがみつかれ、香也は立ったまま、なすすべもなく局部を晒している。香也は湯船の中で立って三人にしがみつかれていたわけだが、香也の局部も立ったままだった。
 なにせ、素っ裸の三人が香也に密着して抱きついている訳で……。
「……おー……立派、立派……」
 背中から香也を羽交い締めにしながら、香也の股間を覗きこんだ羽生はそんな声をあげた。
「前の時より、一回り大きくなってないか? これ?」
 前の時、とは、以前、やはり風呂場で羽生譲が一方的に香也の肉棒をこすりあげ、無理やり射精にいたらしめた時のことを指す。
 あの時は羽生譲もいろいろ事情が合って不安定な精神状態にあったが、現在の羽生は、比較的平静な心理状態にある……と、自覚している。
 ただ……。
「……前の時は……あまりじっくりとみなかったけど……」
 裸同士で香也に抱きつき、香也の局部をまじまじと見つめているわけで……羽生自身も、性的に興奮しはじめている。
「……こうして、しげしげとみてみると……迫力あるなぁ、これ……大きくなると、ちゃんと剥けるし……」
「……すご……んん……こんな匂いになるんだ……」
「触れてないのに……見ているだけなのに……びくびくしてる……。血管が、脈打っている……」
 ガクとテンも、左右から香也を拘束しながら、いきり立った香也のモノをしげしげと見つめている。
 ガクは、香也の腰に抱きついて、香也が逃げるのを防いでいる。ガクの目線の位置に香也のモノがあり、すぐ横から、それをみつめている。
 テンは胸のあたりに抱き着いて、香也の腕ごと、香也の上半身を戒めている。香也のみぞおちあたりに顔をつけ、上向きになった香也の亀頭を、上からみおろしている。テンはガクほど鼻が効くわけではないが、これだけ近いと、香也のモノの匂いを強く感じてしまう。
「……おにーちゃん……」
 ガクが、かすれた声でいった。
「……これ……おねーちゃんの中にいれた時……どう? 気持ち良かった……」
 そういうガクの声は、どこか湿った感じがした。
「……おにーちゃん……」
 テンの声にも、どこか高揚した雰囲気を感じた。
「……おねーちゃんたちと……なんでやっちゃったの?
 おにーちゃん……二人が好きなの? それとも、好きじゃなくてもできるの?」
 香也は……二人の言葉に、答えることができなかった。二人にそんな気はないのはわかっていたが……なんだか、ずるずると関係をもってしまった主体性のなさを責められているような気がして……香也の心は、少し、沈んだ。
 あそこは……立ったままだったが……。
「……こーちゃんは、優しいから……」
 背中からぎゅっと香也のおなかあたりを抱き締めて、体を密着させている羽生譲が、香也のうなじあたりに息を吹きかけるようにして、いう。
「……強引に迫られると……なかなか断りきれないんだろう……」
 うなじにかかる羽生の息は、熱かった。
 先程から背中に感じる羽生の体も……なんか、体温が上昇しているような気が、する……。
 それに……背中に落ちつけられている二つの小さな突起が……硬くなっているような……。
「……じゃあ……今、おにーちゃんに、強引に迫ってみようかな……。
 おにーちゃん、今……逃げられないし……」
 ガクが、なんだかとっても不穏当な発言をしはじめる。
「……駄目だよ、ガク、無理やりは……」
 テンが、ガクを軽く戒める。
 ……だったら、拘束を解いて自由にしてほしい……と、香也は思った。
「そうそう……無理やり、は、駄目だから……」
 羽生譲も、テンの戒めに同調するのだが……その声には、イマイチ力が感じられない。
「でも……せめて……こんなにコチンコチンになったの……楽にしてあげたいんだけど……」
 ガクは、めげずに言い募る。
「楽にするのなら……いい、のかな?
 確か、エッチな汁を出せば、楽になるって聞いたけど……」
 どこまで本気でいっているのか、テンまでが、そんなことを言い出す。
「しゃ……射精すれば、確かに小さくなるけど……」
 羽生譲の声も、なんだかねっとりした響きを出しはじている。
「……いずれにせよ……無理やりに、は、駄目だよ……」
 理性と性欲の葛藤が感じられる口調だった。
「……おにーちゃん!」
 ガクが、いった。
「おにーちゃんのここ……凄い匂いになってきてる。ボク、おにーちゃんのここ……楽にしてあげたい……」
「ボクも!」
 テンも、ガクの言葉に賛同した。
「……上から見てると……匂いがきつくなってくるの分かる……。
 これ……口で、楽にしても……いい?」
 いうが早いか、テンは少し首を延ばし、香也の亀頭をぱっくりと口に含んだ。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(47)

第六章 「血と技」(47)

 全裸の荒野は、半裸の茅を正面から組み敷いた形で、激しく動き続ける。動き続けながら、茅の声を聞いている。
 茅は……行為の最中に、よく、声を出すようになった……と、思う。
 あんまり大きな声を出すので、芝居かと思うことも度々あったが、どうやら、自然にでてくるものらしい……と、今では、思っている。
 普段、自分の表情を表に現すことが少ない茅は、行為の最中にだけは自分が感じていることを素直に現す……と、思いかけ、荒野はそれをうちけした。
 いや……茅と荒野の二人だけの時は……大勢でいる時よりは、茅は、比較的表情をよく出す……と、思い直す。
『……そっか……』
 と、荒野は、納得した。
 自分は……茅のいろいろな顔が見たいから、こうして頑張っているのか……と。
 茅は、ドレスが皺くちゃになるのにもかまわず、ベッドと荒野の間に挟まれて、身もだえしたり自分のドレスを掻き毟ったりしている。
 今日の茅の乱れ方は、今までで一番凄いことになっていた。
 回数を重ねて、感覚が鋭敏になってきた……ということもあるだろうが……普段、感情を抑制している反動が、こんなところにくるのではないか……と、荒野は、心配になってしまう。
 茅も、普段からもっと喜怒哀楽を素直に現せばいいのに……。

 そんなことを考えながら、本能に従って蠢いている間に、茅も荒野も、急速に絶頂に向かっていった。
 二人とも何度も肌を重ねているので、相手の反応からどこまで昇り詰めているのか、ある程度推測できるようなってきている。
 荒野が「終わり」に近づいているのを察知した茅は、荒野の両手を探り、掌を、強く握り締める。
 悲鳴のような嬌声の合間に、自分も行きそうだ、といった意味のことを、何度も告げたあと、背筋をそらせ、硬直し、細かい痙攣をする。
 荒野は、茅の中にあふれ出そうとする自分をすんでのところで抑え、引き抜き、勢いよく茅の上半身を汚す。
 荒野の分身は、勢いよく飛び散って茅の顔にまで届いた。

「……荒野の……匂い……」
 ……しばらく身を硬直させた後、茅がぽつりとそういって、顔に付着した荒野の白濁液を自分の舌でなめ取る。
「……へんな味……。
 荒野の……味……」
 茅は、呟く。
「……そんなもん、口にするなよ……」
 荒野は、そう苦笑いした。
「……荒野……茅の中に出してくれなかった……」
「気軽に中にだしちゃ、いけないものなの……」
「中に、暖かい荒野があふれてくる感触……好きなのに……」
「……そういうのは……もっと落ち着いて……」
 子供を作っても大丈夫な環境を整えてからな……といいかけ、荒野は、あわてて別のいいかたをする。
「……おれたちが、大人になってからな……」
 そんな荒野をみて、茅がくすりと笑った。
 荒野は、茅に、考えていたことを見透かされたように感じ、ばつが悪い思いをする。
「茅……。
 荒野より、大人……。
 おねーさん……」
「……はいはい。おれはガキです……」
 荒野は、苦笑いをさらに大きくした。
「……おとーと……。
 おねーさんをバスルームに連れて行くの。抱っこ。お姫様抱っこ……」
「……はいはい。
 その前に、よごれたお洋服、脱ぎましょうね……」
 荒野は、自分からは動こうとしない茅の服を脱がし、
『……思いっきり、汚しちゃったな、これ……』
 などと思う。
 自分の精液を振りかけたドレスをクリーニングに出すことは抵抗があった。かといって、孫子がわざわざ人を呼んで誂えてくれたものだから、おいそれと捨てる訳にもいけない……。
『結局は……クリーニングに出すんだろうな……』
 と、そんなことを思う。
 願わくば……乾いた後、匂いなどがあまり残らないように……。

 そんなことを考えながら、荒野は茅の体に纏わり付いていた衣服を総てむき、茅の体を両腕で抱えてバスルームに向かう。
 もう遅い時間だったので、今夜はシャワーだけで済ませるつもりだった。
 両腕に抱えた茅の感触は、以前よりもムッチリとしていて、荒野の皮膚と接触する部分は、押し返してくるような感触がある。
 茅の体は……女性らしく、丸みを帯びはじめている……と、荒野は感じた。
「……茅……前より少し、肥えてきてないか?」
 うっかりそんな聞き方をしたら、「むぅ」と頬を膨らませて、肩のあたりをいやというほど抓られた。
「……いや、そういう意味じゃなく……。
 茅、女らしい体になってきたなぁ、と……」
 バスルームに入った荒野は、茅を降ろしながら、先程の言葉をいい直す。
「……そういう荒野も……また少し、背が伸びたの……」
 荒野も茅も……成長期のただ中であり、一般人とは微妙に違う加納の形質を受け継いではいても、まだまだ成長の余地が残されている時期だった。
「……おれたち……」
 荒野は「無事、大人になれるかな?」といいかけ、あわてて言葉を止める。その不自然な空白を、シャワーのコックを捻る、という動作でごまかした。
「……どんな大人に、なるのかな?」
「……荒野はもっとたくましくなって、茅はもっと色っぽくなるの……」
 茅がいきなり「色っぽく」などという似合わない単語を吐いたので、荒野は吹き出しかけ、あわてて顔を背けた。
 そうした荒野の反応を敏感に感じ取った茅は、「むぅ」とむくれながらも、荒野の手首を取り、荒野の掌を自分の胸の上に置き、
「……ほら……。
 胸も、大きくなっている……」
 そう、いった。
 確かに……茅の言葉を通り、茅の乳房は、以前よりは少し豊かになっているのかも知れない。押し付けられた掌を押し戻す感触が以前よりも強く、前よりも中身が詰まっているような感触があった。
 しかし、そうした感触より……茅の乳首とあばらごしに、荒野は茅の心臓の鼓動を感じ……その鼓動の方が、荒野を興奮させる。
 荒野の掌は、茅の生命の根源に近い場所に当てられていた。
「……荒野も、茅も……楓も、才賀も、絵描きも……テンも、ガクも、ノリも……みんなで、ちゃんと大人になるの……」
 茅は、髪が濡れるのにもかまわず、シャワーを浴びながら、荒野の胸に抱きつく。
「そして……茅は、荒野の子を産むの。
 いっぱいいっぱい産んで……二人で育てるの……」

 どちらともなく、口唇を重ねた。

 頭上からシャワーの飛沫を浴びながら、しばらく、包容しあい……。
「……いつになるか、分からないけど……」
 荒野は、腕の中の茅に囁く。
「……絶対に、そうするよ……。
 おれも、茅も……他のみんなも……全員、笑って過ごせる場所を……おれたちがつくるんだ……」
 茅にはそういいながら、内心では荒野も、
『……障害や、不安要素は……今のところ、てんこ盛りだけどな……』
 などと思っている。

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彼女はくノ一! 第五話 (130)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(130)

「……ガクだけ、ずるい……」
 ボソリ、と……今度はテンが呟いた。
「おにいちゃんは、共有財産だってにゅうたんがいってたのに……。
 いい! ボクも、見せる!」
 テンも、やおやに立ち上がり、香也の頭の向きを、強引に自分の方に変える。
 香也の首筋から「ゴキリ」という不吉な音がした。
「ほら! おにいちゃん! ちゃんとボクのもみて!」
 強引に首の向きを変えられた香也は、確かにテンの股間もみた。というか、目の前にあるので、いやがおうでも目に入る。
 テンはガクよりも陰毛が濃くて、陰唇まではみえなかったが……って、それどころではなく、首が……。
「……い……く、首が……」
 ようやく、香也は、そう呻いた。
「……だ、大丈夫だったか、今の……。
 なんかこーちゃんの首、すごい音、していたけど……」
 羽生譲の顔色も、心なしか青ざめている。
「……大丈夫、大丈夫……」
 テンは香也の肩に手をかけて体の向きをかえ、香也の背中に回る。
「……こうして……肩から下を固定して……」
 次に、香也の肩に左足を乗せ、臑で香也の胸部を固定する。
「……次に、おにーちゃんの頭骨を抱えて……」
 香也の背後に回ったテンは、後ろから香也の頭部を両腕で包み込むように抱きすくめる。香也の顎をしっかりと腕で押さえ込む態勢で、香也の頭頂部にテンのふくやみかけの乳房が押し付けられる感触がした。
「……こうする!」
 香也の頭部をしっかりと抱えたテンは、「せいやぁ!」という気合一閃、素早い動作で香也の首を持ち上げ、微妙な捻り方をする。
 擬音でいうと、
「ガガギゴゴグギッ!」
 といった感じの凄まじい音が、香也の脊椎から発生した。
 香也は、口から舌を出して白目をむいている。
 羽生は、目をまんまるにしてしばらく呆然としていた。
「……ぶ、無事か……こーちゃん……」
 しばしの間をおいて、羽生譲がおそるおそる、香也に声をかける。
「……んー……」
 その一言で硬直からとけた香也は、自分の肩に手をかけたり、上腕部をぐるぐる回したりしている。
「……音が凄かったんで、驚いたけど……。
 痛くなかったし、肩が軽くなった……」
「……でしょ、でしょ……」
 そういって、テンが香也の背中にぺたーっと張り付く。
 香也は、背中にテンの乳房と陰毛を感じて、少しどぎまぎした。
 香也の背中に張り付いたテンは、両足まで香也の腰に回して密着し、耳の後ろに息を吹きかけるようにして、囁く。
「……今、脊椎を上から引っ張って、軟骨を延ばして、その場で正常な位置に戻したんだ……。
 おにーちゃん、いつも長時間同じ姿勢で絵をかいてているでしょ? だからねー、脊椎が、微妙に歪みかかかってたのを、戻したの……」

 閑話休題。
 よゐこの皆さんは、危ないから絶対に真似しないでね。

 不意に背後から耳に息を吹きかけられ、香也は、背筋にぞくぞくぞくっとするような感覚を味わった。
「……す、すげーな……テンちゃん……」
 目を丸くしていた羽生譲は、今では目を点にしている。
「……背骨の位置とかは、外から触れば分かりやすいし、それと解剖図を見比べれば、正常な状態とそうでない状態との区別はつきやすいし……。
 ボク、力と記憶力は人並み以上にあるから、これくらいのことは簡単……」
 背後からぎゅうーと香也に抱きついたまま、テンはそんな解説をしながら、指先で香也の脇腹をまさぐる。
 香也は、くすぐったいのと気持ちいいのとがないまぜになったような感じを受け、身をよじる。
 しかし、手足を使って香也に密着しているテンは、当然のことながらその程度では振り払われない。

「……ず、ずるいぞ! テンばっか!」
 今度はガクがいきりたち、
「……ぼ、ボクだって!」
 と、正面から香也に抱きつこうとする。
 しかし、背後から回されたテンの手足が邪魔になって、香也の体に密着できない。
「……ず、ずるいぞ! テンばっか!」
 いいながらガクは、それでも香也の首にぶら下がり、賢明に体を擦り寄せようとする。

 少し離れたところにいる羽生も、テンやガクを止めようとはせず、
「……いやー、もてもてだなぁー、こーちゃん……」
 とかなんとかいいながら、呑気に見物に回っている。
 しかし、その呑気さも、長くはそう続かなかった。

「……ふん……。
 いいもんね……」
 とつじょ、ガクがにんまりと笑い、湯の中にいれた手で、先程から限界ギリギリまで怒張している香也のナニを、力任せつかみあげる。
「……おにーちゃんのこれは、ボクの!」
 ガクが香也の竿を握り締めた途端、香也は「うひゃっ!」という情けない声をあげた。
 ギリギリと締め付けるほど強くは握っていないが、それでも容易に振り払えないくらいには、ガクは香也自身をしっかりと握っている。
「……これ……こうやって、上下にさすると、気持ちいいんでしょ?
 おにいちゃんの、気持ち良くしてあげる……」
 そういいながら、ガクは、香也の竿を上下にさすりはじめた。
 香也をつかんだままガクの手が上下に動くのに連れて、香也の亀頭がガクの手にすれる。
 自慰の時とは違うその感触に、香也はなんともいえない気持ちになった。
 その台詞とガクの肩の動き、それに、香也の表情から、湯の下で行われていることを察した羽生は、流石に放置しておくわけにもいかない、と、思ったのか、
「……ちょっと、やめやめ!
 それ以上は、しゃれになんないって……」
 とかわめきながら、香也に取り付いたテンとガクを引きはがしにかかる。
 自分より小さな子に無理やり射精させられたら……以後、香也はある種のトラウマを抱えるのではないか……と、羽生は懸念した。

 テンとガクの二人は、意外に素直に香也から身を離す。
 二人が離れると、香也ははぁはぁあえぎながら三人から離れ、三人に背をむけてタイル張りの湯船の縁にしがみついた。
 香也にしてみれば、本当ならすたこらさと逃げたいところだが、湯船から出れば完全に勃起した自分のものを三人の目に晒すことになる。今更、とはいえ、子供にじゃれつかれて感じてしまった……証拠を一目に晒すのは、恥ずかしかった。
「……ほれみろ……。
 こーちゃん、すっかりおびえちゃったじゃんかよう……」
 そうした香也の様子をみて、羽生譲が憮然とした口調で、二人にいう。
「……だってぇ……」
「おにーちゃんと、仲良くしたかったから……」
 羽生に諌められ、テンとガクは一応、しょぼーんとなった。
 しかし、その直後、ガクが爆弾を投下する。
「……それに、おにーちゃんだって……。
 楓おねーちゃんと、孫子おねーちゃんと……三人一緒にえっちしているんだから……ボクたちとしてくれても、いいじゃん……」
 ガクがそういった後、加納家の浴室の空気は数十秒ほど凍りついた……。

「……なにぃー!!!」
 静寂の後、浴室内に羽生譲の驚愕の声が谺する。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(46)

第六章 「血と技」(46)

「……んっ……ふっ……」
 荒野の下で、茅がなにやらもがいている。
「……何がしたいの?」
 不審に思った荒野は、茅に声をかけた。
「向き……身体の向き、変えるの……」
 荒野は正常位で茅に挿入したまま、上体を少し持ち上げて隙間を作り、茅の体を横にした。
 横臥した上体で、二、三度挿出を繰り返すと、その度に茅は、「んっ! ふっ! んっ!」と声を上げた。
 最後に、
「……むぅ!」
 と少し怒った声を上げて体を揺すり、荒野に動きを止めるよう、求める。
「……そう、じゃなくて……」
 茅は荒野の上体を腕で引き離し、もぞもぞとさらに身体の向きを変えた。
 荒野との結合を解かずに、苦労して、腹ばいになり、ベッドの上に膝をついて、高々とお尻を持ち上げる。
「……この格好で……突いて……」
 荒野は、茅と繋がった部分に吊られて半立ちになる。
「いいけど……この格好だと、不安だな……」
 荒野はそういって、茅の腰を抱き、少し後ろにずらした。
 自分はベッドの外に足をつき、邪魔にならないように茅のスカートの裾を大きくまくり上げ、背中にかける。
 そうすると、茅の白くて豊かな臀部に、自分自身が突き刺さっているのが、はっきり認められた。
 こんな角度から結合を確認したことがない荒野は、見えたものの淫靡さに、思わず、息を呑む。
「自分から……後ろからを求めるなんて……茅、どんどんいらやしくなる……」
 照れ隠しに、そんなことをいう。
「……ぃやぁ……」
 茅は、いやいやをするように腰を振った。
 しかし、荒野自身を捕まえている部分が同時にきゅっと収縮したので、荒野を離すまい、としているようにも、感じられる。
「荒野だから……こうなるの……」
 茅の内部が蠢き、微妙な振動を荒野自身に伝える。
 荒野はベルトを解き、スラックスを完全に脱いだ。
 この場で茅との結合を解きたくなかったので、下着はそのままだったが、どのみちすぐに洗濯するつもりだったから、このままでも問題はない。
 荒野は、上体を茅の背中に密着させるように倒し、茅の耳元に息を吹きかけるようにして、囁いた。
「……動くよ……」
 そして、実際に動きはじめる。
 最初のうちは単純な挿入出だったが、引き抜く時、荒野の亀頭が茅の上の壁をこすれる時に、茅の反応が激しくなる……という事が分かってからは、荒野は、ことさらに茅の上の壁を亀頭でかき回すような動きに切り替えた。
 そうした時の茅の反応は、今までで一番大きく、「はぁんっ! ふぁんっ!」と大きな鼻声で呻きながら、自由になる上体を大きく、跳ね上げた。
 荒野は、暴れまわる茅の胴体に腕を回して押さえ付けながら、下から突き上げるような感じで腰を使う。
 快感を強すぎるのか、茅が腰を逃がそうとしはじめ、荒野はそれを押さえ付けながら、茅の中を蹂躙するのを止めなかったから、荒野は段々、茅を無理やり犯しているような気分になってきた。
 いつもとは違い、後ろから責められているせいか、茅もいつも以上に興奮いていて、結合部からびたびたととどめなく愛液を流し続け、二人の股を濡らす。
 最初の、ベッドの上で半立ちになっていたのが、茅が腰を逃がそうとして荒野がそれを追いかけたりしているうちに、二人とも、ベッドの上に立て歩きながら蠢くようになり、終いには、立った茅が壁に押さえ付けられ、背後から突かれる形に落ち着いた。
 そうして荒野が上の方に最後まで突き上げると、壁に手を突いた茅は、その度に大きく痙攣した。
 荒野から見える茅の横顔と耳は真っ赤で、茅の興奮が本物であることが確認できた。
 必死に声を殺そうとするが、奥まで突き入れるたびに、茅は、喉の奥から振り絞るような、切実な声をだした。
「……駄目なの、駄目なの!」
 乱れた茅の声は、今まで一番大きくなっている。
「こんなの……感じ過ぎ! ひぃっ!
 駄目ぇ! 駄目ぇ! 駄目ぇぇぇ!」
 荒野が本格的に動きはじめて十五分もすると、茅は、一際大きく声を上げて、細かく痙攣して動かなくなった。
 壁に体重を預けたまま、茅の足は力を失い、その場にずるずると崩れ落ちた。
 いきり立ったままの荒野自身も、結合部が収縮しながら下に降りてしまったため、起立したままその場に止まる。

「……おーい……大丈夫かぁ……」
 局部をびしょ濡れにし、お尻を上に突き出した形で倒れている茅に、荒野は声をかける。
 茅の顔は汗まみれで、うっすらと満足そうな笑みを浮かべていた。
 荒野は、ほつれて頬にかかった茅の髪を、指で丁寧に払う。
「……すごい……こんなの……今までで、一番……」
 茅は、目を閉じながら、譫言のように小さく呟いている。
 そして髪を整えている荒野の手首を握り、弱々しい力で、自分の方に引き寄せようとする。
「……荒野も……まだ……」
 茅は薄目を開けて、まだ力を失っていない荒野の股間を見据えた。
 確かに、まだ荒野は果てていない……。
「……それは、いいけど……。
 茅の方こそ、大丈夫かぁ……」
 そういいながら、荒野は手早く服を脱ぎ、全裸になる。
 これ以上、行為を続けるとなると、衣服は明らかに邪魔だった。
「……いいの……来て……」
 茅は体を起こしながら、弱々しく、荒野を手招きする。
 服を脱いだ荒野がベッドに近付くと、まだ湯気をたてている荒野の硬直に顔を近づけ、躊躇なく、それを咥えた。
 そして、自分の愛液にまみれているそれを、じゅるじゅると音を立ててなめあげはじめる。
「……お……おい……」
 荒野が、なんといっていいのか分からず、力の籠もっていない声で、茅に語りかける。
「んっ……荒野が……いけないの……」
 荒野のモノをしゃぶりながら、時折、そこから口を離し、茅が、切れ切れにいう。
「こんなに気持ちいいから……。
 茅……どんどん……いやらしくなるの……」
 一通り、荒野のモノを舌で清めると、茅は大股を開いて再び荒野を誘った。茅のそこは先程の行為で濡れぼそち、真っ赤に充血している。
「……荒野……来て……」
 今度は、正面から向き合うような形で、繋がった。
 先程の行為の続き、でもあったので、最初から大きく動かしていく。
 荒野の体がスライドするのに応じて、すでにかなり敏感になっている茅の体が跳ね上がり、喉から悲鳴に似たかすり声を上げる。
 終いには、茅は、両手両足を使って荒野の体にしがみついていた。

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彼女はくノ一! 第五話 (129)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(129)

 羽生譲はひさしぶりに描くことに夢中になった。一度没入しはじめると周囲のことが目にはいらなくなるのが羽生の習いで、この時も深夜から明け方にかけて長時間にわたり、モデルと紙の上だけに意識を集中させる。また、そうすることが、全然苦ではなかった。
 二人が目を覚ましたのは明け方といってもいい時刻で、まずガクが目を覚まして半身を起こし、続いて、傍らのガクの動きに気づいたテンも目を覚ました。
 二人は、しばらくの間、目をこすりながらあたりを見回していたが、自分たちの服装を確認して、なにか納得のいった顔をする。
 どうやら、夕べのことを、思い出したようだ。

「……どう。よく眠れた?」
 羽生がそう声をかける頃には、二人はかなりすっきりとした表情をして、炬燵に潜り込んでくる。
「……うん」
「あのまま……車で寝ちゃったんだ……」
 二人は、炬燵に手を突っ込みながら、そんな言葉を返した。
「ま。病院かえってきて、いくらもしないうちに出てったろ? 土曜日も忙しかったようだし……二人とも、疲れがたまってたんんじゃないか?」
「……そういうにゅうたんも、目の下に隈ができている……」
「……え? そっかあ……」
 羽生は、自分の目の下を指で軽くこすった。
「あ。もう、こんな時間なんだ……」
 そして、柱時計で時刻を確認し、「……んん~……」と大きく伸びをする。
「……さてと、完徹はさすがに堪えるし……ざっとシャワーでも浴びて、ちょっとだけ寝ようかな……」
「……あ。お風呂、ボクらも入りたい……」
「そうだな……じゃあ、その服、ハンガーにかけておいで。
 お風呂の方、みてくるから……」

 その朝、香也はいつも起きる時間より二時間ほど早く目を覚ました。ここ二日ばかり寝てばかりいたので、体内のリズムが狂っているらしい。
 何度か寝返りをうったりしてみるが、一向に眠くならない。体調の方も、症状が軽いうちから念を入れて養生をしていたせいか、完全に復調しているように思えた。
「……んー……」
 そうなると、今度は自分の汗で重くなった、布団の中が、あまり居心地よく思えなくなる。加えて、昨日の昼間、楓と孫子に体を拭いて貰ったのを最後に、昨夜は風呂にも入っていない。
 自分の体全体が、なんとなく垢じみているように思えた。
 ……シャワーでも、浴びよう……。
 寝るのをあきらめた香也は、そう思い立って身を起こす。
 湯船にお湯が残っていれば、追い炊きしてお湯にも浸かりたい……。

「……おんや?」
 脱衣所に入った羽生譲は、浴室に人の気配を感じ取り、一人、首を傾げる。こんな深夜に……。
 そう思って視線を落とすと、香也の服が置いてあった。
『……こーちゃんか……』
 たしか、ゆうべはご飯食べて薬飲んで、そのまますぐ布団にはいったから……。
 羽生は、昨夜の香也の行動を頭の中でトレースする。
 ……なるほど。
 早くに目がさめてひとっ風呂、浴びたくなった、と……。
「……なに?」
「どうしたの、にゅうたん?」
 パジャマに着替えたテンとガクが羽生譲の背中に声をかけてくる。
「……しっ!」
 羽生譲は口唇をとがらせて、その前で人差し指を立てた。
「……今、こーちゃんが、お風呂に入っている……。
 これより、隠密行動に入るぞ……」
 羽生譲が床に置いてある香也の服を指さすと、テンとガクは状況を察し、コクコクと頷いて見せた。
 そして三人は、いそいそと服を脱ぎはじめる。

「……んー……」
 その頃、香也は広い湯船で手足を延ばし、細い目をさらに細めていた。大きな浴槽のいいところは、お湯の量が多いため、冷めににくいこと。
 それに、手足を長々と伸ばせること、だ。
 香也が湯加減を確認した時、かなりぬるめの湯加減をだったとはいえ、入れないほど冷めきってもいなかった。そこで香也はかかり湯をしてそのまま湯船に入り、同時にガス釜を点火して、追い炊きをする。
 ぬるま湯が、ちょうどいい湯加減になって来た時……。
「「「お風呂イベント、発生!」」」
 そう叫び声を上げ、唐突に羽生譲、テン、ガクの三人が、全裸で乱入して来た。
 香也は、「ぐほっ!」とか「ぶほっ!」とかいいながら、顔の下半分を湯の中に沈める。
「……な、な、な……」
 それから、あたふたしながら、すっかり逃げ腰になった香也は、半端な中腰になって湯船の中を逃げ惑い、壁際に張り付く。
 完全に立ち上がらないのは、立ちあがると股間が湯の上にでるからだった。
 香也がパニックに襲われている間に、羽生譲、テン、ガクの細長い一つのとちっこいの二つ、計三つの裸体は、体にざっと湯をかけ、湯船に入り、じりじりと香也を包囲してくる。
「……まーまー、こーちゃん……。
 体調悪いんだから、しっかり湯船につかって、体、暖めて……」
 にへら、っと笑いながら、羽生譲が、香也の両肩に手をかけて、押し下げる。
「「……おにーちゃーん!」」
 とステレオで叫びながら、テンとガクが左右から香也の肩にぶら下がった。
 態勢を崩した香也が湯船の中でそのまま尻餅をつくと、左右からテンとガクが、正面から羽生譲が、裸体を密着させてくる。
 この体勢は……やばい。
「……おー、元気元気……」
 案の定、香也の胸にもたれ掛かって来た羽生譲は、香也の下半身の変化に逸速く気づいた。
「恥ずかしがることないぞー……。けんこーな男の子なら当然のことだー……」
 香也の胸板に頬を張り付けながら、羽生譲は、わさわさと香也の太ももあたりを指先でまさぐった。
「……え? あ!」
「本当だ! おにいちゃんのココ、こちんこちんに硬くなっている……」
 羽生とは違い、テンとガクは香也の股間に遠慮なく触れてきた。物珍しさも手伝って、竿を握ったり睾丸をまさぐったりとやりたい放題である。しかも、香也の両腕に抱きついたまま、片手を伸ばしてくるので、香也としては二人の魔の手から逃れる術がない。
「……ちょ、ちょっと……駄目……そういうの、本当、やばいから……やめて……」
 二人が触ってくるのはあくまで好奇心本位であり、性的な興奮を与えるための愛撫ではないのだが、香也にしてみればいずれにせよ同じ効果を与える。
 三人に羽交い締めにされながらも、香也が身をよじりはじめたので、年長の羽生譲が察して、
「……はいはい、二人とも、あんまりやり過ぎないように……」
 と、テンとガクをいなしてくれたので、ようやく二人は香也の股間部を弄ぶのをやめてくれた。
「……こーちゃんも、こーちゃんのここも、デリケートな年頃なんだから……あんまり……いじめないように……」
 羽生のその諌め方も、十分にデリケートではないのではないか……と、香也は思った。
「……そ、それよりさ……」
 香也は、露骨に天井の方に視線を逸らしつつ、話題を自分から逸らそうと試みる。
「……ガクちゃん……手か足か、怪我したとかいってなかった?
 お風呂入って大丈夫なの?」
「……え?」
 香也の肩に抱き着いていたガクが、不意に立ち上がる。そうすると薄い陰毛ごしにみえる割れ目が、香也の目線とほぼ同じ高さになる。
 香也はあわてて目を逸らした。
「……うん。
 どっちかっていうか、腕と足、両方なんだけど……傷、浅かったし、お医者さんが丁寧に傷塞いでくれたし……。
 おにいちゃん、何目を逸らしてるの?」
 ガクは、露骨にあらぬ方を向いている香也の目前に、二の腕を差し出す。
「……ほら、ちゃんとふさがっているでしょ?
 接着剤で一つ一つ丁寧につなげてくれたんだって……」
 香也は、目前に差し出されたガクの腕をみる。
 肘から手首にかけて、亀裂のような筋が走っていた。よくよく見ると、その筋は透明な樹脂状のもの、らしい。
「……これで、このまま傷口が自然にふさがるまでこうしておくっていうんだけど……。
 それに、ほら……こっちなんか、もう、傷口が盛り上がって、接着剤、押し上げているし……」
 ガクがそういって、ひょい、と片足を上げて自分の臑を香也の前にかざす。
 油断して、そっちの方に目をやると……。
 片足を上げ、ぱっくりとピンクの中身を覗かせたガクの股間を、直視するような格好になってしまった。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(45)

第六章 「血と技」(45)

 リムジンが狩野家前に到着したのは、かなり遅い時間になっていた。そのせいか、テンとガクは車の中で寝ており、出迎えた羽生譲が楓と孫子を手招きする。
テンとガクを背負った楓と孫子に別れを告げて、荒野と茅はマンションに帰った。

「……おねーさん、なの……」
 マンションのエレベータに乗った途端、茅がぽつりといった。
「茅の方が……荒野よりも、おねーさんなの……」
 いきなり何をいいだすのか、と、荒野は、茅の顔をまじまじと見つめる。
「だから……荒野が生まれた時、茅はもういた……。
 茅、荒野よりも数カ月、おねーさんなの……」
 ……そういうことか、と、荒野が納得した時、エレベータが到着した。
 荒野が外に出て、茅もそれに従う。
「荒野の方が……年下なの……」
 しつこく、茅が続ける。
「はいはい……」
 荒野は適当にいなしながら、玄関の鍵を開ける。
「……むぅ……」
 荒野が一向に感銘を受けた様子がないので、茅は、久しぶりにむくれた。
「で……茅がおねーさんだと、今までと何が違うの?」
 しかたなく、荒野も靴を脱ぎながら、茅に調子を合わせる。
「年上の方が、偉いの……」
 茅は、胸をはる。
「おとーとは、おねーさんのいうことを聞くの……」
 ……段々、荒野にも、茅が何をいいたいのか、掴めてきた……。
「……つまり、茅は、おれになにかやって欲しいことがある、と……」
 茅は、こくこくと頷く。
「……脱がせて……」
 そういって、靴を履いたままの片足をあげる。
「……はいはい……」
 荒野は素直に茅の前で身をかがめ、ドレスに合うように孫子が見繕った靴を脱がせる。
 茅は、身をかがめた荒野の肩に両手を置いた。
「こういう踵が高いの、慣れていないから、疲れただろ?
 はい。こっちの足……」
 荒野が両足分の靴を脱がせると、茅は、荒野の首に両腕を回す。
「……おいおい……今度は、なんだよ……」
「このまま、ベッドまで、運ぶの……」
 茅は、スカートの裾がはだけるのにも構わず、そのまま荒野の胴体に両足を回した。
「おねーさんのいうことを、聞くの……」
「……随分、甘えん坊のおねーさんだな……」
 そういいながらも、荒野は、首に茅の体をぶら下げながら、ベッドが置いてある部屋に向かう。
 ドレスの薄くて柔らかい布ごしに、密着してくる茅の弾力を感じた。
 そういえば、この週末はなにかと忙しなくて、二人きりになる時間がほとんど取れなかった……。
「ひょっとして、茅……欲しいのか?」
 荒野が、直截的に尋ねると、茅は荒野の耳たぶに歯を立てた。
「荒野だって……硬くなっているの……」
 そういいってから、腰を動かして、自分の股間を荒野の硬直している部分にこすりつける。スカートがまくれ上がっているので、薄い茅の下着と荒野のタキシードの布地ごしに、局部をこすり合わせているような格好になった。
 気のせいか、こすられた茅の部分も、熱を持っているように感じた。
「……なんか……茅。
 先週あたりから、えっちっぽくなってきていないか?」
 そういいながら、寝室として使用している部屋の扉を開ける。
 荒野とて、悪い気はしないのだが……だからこそ、自制すべきところは自制しよう……という思いもあった。
 ベッドの前まで到着すると、茅は、
「荒野……茅とえっちするの、嫌いなの?」
 と、尋ねてきた。
「嫌いではないけど……」
 荒野は、言葉を濁す。
「……適当に、歯止めをかけておかないと……溺れそうで、怖い……」
「それなら、茅と同じなの……」
 そういい、茅は、荒野の口唇を強引に奪う。
 いきなり茅が動いたのでバランスが崩れ、二人でもつれ合ってベッドの上に倒れ込む。
 口づけしながら揉み合ううちに、茅が荒野の上にまたがっていた。
 髪の毛がほつれ、頬を上気させた茅の顔を、荒野は見上げる。
 不断、表情が読みにくい茅が、こうして分かりやすい表情をしているのが、強く印象に残った。
「……荒野の……ここ……」
 上から荒野の顔を見下ろしながら、茅が手探りで荒野の股間をまさぐる。
「窮屈そう……」
 いいながら、茅は、荒野のジッパーを降ろし、怒張したモノを取り出す。
「……おねーさんで、こんなにして……いけない子……」
「……どこで覚えてくるんだ……そんな台詞……」
 あやうく吹き出しかけ、荒野はあわてて表情を引き締める。
「……ネット……」
「はいはい……」
 案の定の返答に荒野が苦笑いを浮かべると、茅は「むう」とむくれた。
「……それで……」
 荒野は、茅の腰のあたりに腕を回し、素早く態勢をかえる。
 次の瞬間には、茅と荒野は、ベッドの上で添い寝している格好になった。
「おねーさんは……どうして欲しいのかな?」
「脱がせて……下だけ……」
 茅は、潤んだ瞳で、荒野を見返す。
「下だけって……」
 ドレスは、ワンピースだ。
「……これだけ、脱がせて……」
 茅は、自分のスカートを大きくめくり、下半身を露にする。
 荒野が下着に手をかけると、茅は腰を浮かせて下着を脱がせるのに協力してくれる。
「……それから?」
 荒野が、重ねて尋ねる。
「茅の、ここに……荒野のそこ、うずめて……。
 一気に、貫いて……」
 荒野を感じたい、絆が欲しいの……と、茅は続けた。
 荒野は、いわれた通り、性急、かつ、乱暴な動作で茅を貫く。茅は湿っていたが、前戯もなしに入れたためか、中はいつもよりきつく、狭く感じた。
 いわれた通り、一気に根元までいれると、茅はのけぞって、「……かはっ!」と、気道から空気を漏らした。
「……大丈夫か? 茅……」
 心配になった荒野が、声をかける。
「いいの……このまま、いつもより乱暴に……動いて……」
 荒野の首にしがみつきながら、茅は、震える声でそういった。
「……荒野の感触……中にしみつけたいの……」
 気のせいか……欲情、以外の感情も、かいま見えたような気がした。
「……茅……」
 どうしたんだ……と、荒野は聞こうとしたが、茅は、意外なほど真剣な声で、
「……茅を……荒野のものにして!」
 と、叫んで、荒野の言葉を遮った。
「人殺しの道具と、同じじゃないっていって!」
 そういわれて……荒野はようやく合点がいった。
 いろいろと憶測をたくましくしてた出自について、今日、明らかになり……変わりに、今度は、別の不安が頭をもたげるようになった……ということ、らしい……。
「……茅は……馬鹿だなあ……。
 おれが、茅を……道具扱いするわけは、ないじゃあないか……」
 今日の話は……昨日、ガス弾を使用した者が、何物かに兵器として育てられた、茅の同類だ……という推測を裏づけるものだった。
 荒野の場合、その事実は単なる情報に過ぎないのだが……茅の場合は、それだけでは済まない。
 最近、茅は、育ち続ける自分の能力に疑問を持ち、おびえている雰囲気も感じられた。
 加えて……禍々しい動きをみせる、自分の鏡像……の、出現である。
 動揺……するな……というほうが、無理だろう。

『……ひょっとして……』
 テンやガクの方も、同じように脅えているのではないか……と、荒野は思った。

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彼女はくノ一! 第五話 (128)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(128)

 行きとは違い、才賀孫子が先行の車に乗ったので、帰りは、テンとガクの二人になった。
「昨日と今日の……どう思う?」
 車中で二人きりになると、テンはガクに話しかける。運転席とはガラスで仕切られているので、会話はこの場にいる二人にしか聞かれない……と、思う。
「どうって……何が?」
 ガクは、首を傾げる。
「何が……って、……いろいろあるでしょ?
 他にもボクたちみたいな子たちがいた、とか、それが今ではボクたちを目の敵にしている、とか……」
「いろいろ……感じたことは、あるけど……それを話し合ってもしかたがないじゃん……。
 だって……全部、昔のことが原因で、今、こうなっていて……。
 時間を溯って今を改善できないのなら、今の時点で自分にできることをする……今回に限り、かのうこうやは正しいと思うよ……」
 問い詰めたテンがガクに諭された形になった。
「まずは……捕まえて、引きずり出して……更正が可能なら、そうする……。
 ボクは、ひどい目にあったし、やつらのお陰で大勢の人に迷惑をかけちゃったから、その前に何発か殴るかもしれないけど……」
 ガクは、短慮ではあるかもしれないが、無思慮、というわけではない。
「それは、それでいいんだけど……」
 テンはため息をついた。
「……ガクは……本当にかのうこうやがいう通り、うまく運ぶと思っているの?」
 テンは、ガクほど楽観的にはなれない。
 テンが調べた限り……人間社会は、雑多な要素で構成されている。単純な利害関係のほかに、感情的な要素もあるし……それに、構成員が個々人が善良にみえても、集団になると他者に冷酷になれる……という性質が人間にはあるようだ……と、雑多なデータを漁ったテンは、この時点で結論づけている。
 そして、テンたちは……一般人に対する一族……というマイノリティの中のさらに微小な新興勢力である……と、テンは認識している。
 荒野や一族のものたちが仮想敵とした「姿なき復讐者」について、その思想や行動を肯定するつもりはないが……場合によっては、一族や荒野たちから離反して、彼らと行動を共にする……というのも、ありなのではないか……。
 と、テンはガクに説明した。
「……それって……彼らを捕まえて保護しようっていうかのうこうやの案と、どう違うの?」
「ボクたちの独立性が、保てる」
 ガクの質問を予測していたように、テンが答える。
「……もちろん、昨日みたいなことを繰り返させるわけにはいかない……敵をふやすだけだから。
 でも……ボクたちは……出生からいえば、かのうこうやより、彼らに近い存在だ……」
「……テン……それ、おかしいよ……」
 ガクが、珍しくテンに意義を唱えた。
「じっちゃん……一族の人だったけど、そんなの関係なく、仲良くやってたじゃないか。
 おにいちゃんだって、真理さんだって、にゅうたんだって、先生だって……みんな、一般人だけど……それでも、うまくやっていたじゃないか……。
 生まれがどうとかではなく……今現在、一緒にいたいかどうかの方が、大切なんじゃないか?」
 テンは、まともにガクの視線を受け止める。
「テンは……難しく、考え過ぎだよ……。
 ボクたちも、一般人も、一族も……多少の違いはあるけど、同じ人間だ。
 同じ人間の中で、ことさら違う部分に意識を向けて、カテゴリーを作っちゃう……という考え方は……ボク、好きになれないな……」
「……だ、だって……」
 テンは、口ごもりながら、ガクに反論する。
「……ボク……こっちに来てから、いろいろ調べたんだけど……一般人の社会って……矛盾と不合理と不公正と……とにかく、無茶苦茶なんだ……」
「それは、ボクだって知っているけどさあ……」
 ガクは、頭を掻く。
「矛盾と不合理と不公正……に満ち満ちた社会システムで、ここまでうまくやってきたんだっていう実績の方は、どうするの?
 今、人口……六十億以上、だっけ?
 確かに人間の社会システムは不合理な部分が、多い。それに、みんながみんな……テンや佐久間みたいに、頭がよかったら……もっとよい社会を築き、維持できるのかも知れない。
 それでも……現に、違うじゃん。
 欠点だらけの一般人は六十億以上もいて、ボクらは数えるほど。一族の関係者、隅から隅まで数にいれても……おそらく、一億には届かないんじゃないかな?
 欠点が多くて、嘘つきで、無能な一般人が数に任せてこの世界を形作り、一族やボクらはその隙間にひっそりと巣くっている。
 それで……」
「……それで……。
 一般人の社会内の矛盾を利用して、ようやく居場所を確保している一族は……本来なら、一般人自身がやらなければならない汚れ仕事を請け負うことで……ようやく、生存を黙認してもらっている……」
 テンの声が震えていたので、ガクははっとして顔を上げる。
 テンは、涙を流していた。
「……それで……今度はボクらが……。
 一族内の内紛や矛盾を引き受けることで……生存することを、許してもらうの?
 そんなの……優れている方が、割りを食っているなんて……絶対、おかしいよ!
 ボクらを作った人たちだって……自分たちの子孫を守ろうとして……訳の分からないやつらに殺されたんだぞ!
 ボクらだって、いつ、そうなるか!」
「……テンは……優しいな……。
 おそらく、優しすぎるんだ……」
 ガクは、テンの肩を抱き寄せた。
「……でも……ボクがいるから……。
 この先、なにがあろうとも……テンとノリは、ボクが守るよ……。
 ボクらに手をかけようとするやつらは……全部、敵だ……」

「……おや?」
 リムジンが目的地である狩野家前に着き、ドアが開くと、テンとガクはもつれ合うようにしてシートに横になり、寝息を立てていた。
「……これは、倒錯的な……。
 くノ一ちゃん、ソンシちゃん、頼む」
 出迎えた羽生譲は、先に着いた楓たちを手招きし、とりあえず、二人の体を居間にいれた。
「……このまま……布団に……というわけにもいかんか……」
 二人は、玄関先で靴こそ脱がせたもの、ドレスとタキシード姿のままだった。
 楓と孫子は、明日も学校があるので、早めに寝るようにいいつけておく。香也は、風邪薬を飲ませてもっと早くに寝かせつけている。楓と孫子は、そのまま風呂場に向かい、羽生は、とりあえず、毛布を持ってきて二人にかぶせた。
「……考えて見れば……病院出てから、すぐに出てったんだもんだ……。
 いろいろあったようだし……疲れが残っていて、当然か……」

 二人が起きたら……きっと、いろいろな話しをしてくれるに違いない……と、羽生は思う。
 二人の寝顔をあどけなく……「無垢」という言葉を体現しているように、羽生にはみえた。
「……そうだ……。
 いい、チャンスだから……」
 羽生は居間の隅に常備しているスケッチブックを取り出し、炬燵に入りながら、鉛筆を走らせはじめる。
 怠惰を理由に、羽生はここしばらく、自分自身の絵を描いていなかった。
 しかし、絵を描かなかった本当の理由は……じつは怠惰にすぎない、ということを、羽生は知っている。
 身近に香也なのような……本当に無心なタイプがいると……自分は、邪心が多すぎるような……引け目を、どうしても感じてしまう。
 だから、必要に迫られなければ……絵筆を取らなくなる。
『……だけど……こういうのなら……』
 自然に、描けるな……と、羽生譲は思った。
 そんなことを思いながら……いつまでも、鉛筆を走らせ続ける。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(44)

第六章 「血と技」(44)

 続いて、姉崎と秦野も、ともに「情報的な支援」を約束してくれた。この二つの集団は、ともに海外に多くの拠点を持ち、国内よりも国外を主な活躍の場としている。謎の襲撃者……をいつまでも放置しておくのも目障りだ、という点こそ、他の六主家と同じだったが、特定の土地に本拠を置いていない、という分散構造を組織的に採用しているため、他の六主家よりは、この手の無差別攻撃に強い。
 言葉を変れば、襲撃者の脅威も、それだけ軽減されることになり、切実な対応を必要としていない。
 したがって、協力も、他の六主家よりは消極的なものに止まるわけだが……荒野にしてみれば、それでも十分だった。

『……なんだか……』
 いつ間にks……随分、変なことになってしまったなぁ……と、荒野は思う。
 ここに来る前は、自分自身のことさえ考えていればよかった。
 茅と暮らし始めてからは、二人の将来について悩むようになり、今では、学校の連中や一族全体のことを考えている、自分がいる……。
『……おれも……』
 多くのものを……背負おうとしている。

 例えば、涼治に、「その襲撃者も含めて、守ろうとしているのだな」といった意味のことを問われた時、自然に肯定する言葉が口をついて出ていた。
 ちょいたした偶然で、そいつらと茅たちの立場が入れ替わっいてもおかしくはない。
 だから、本気で殲滅しようとは思わない……と。
 実際に手加減できる相手かどうかは、この際、度外視する。
 現在の荒野の心情が、自分でも意外に思うほどすらすらと口からでてきた。
 そのことが、荒野自身、不思議だった。

 重苦しい雰囲気ではじまった会食は、思ったよりもなごやかな雰囲気で終わり、荒野たちは来た時と同じように、リムジンに分乗して送られることになった。
 茅、楓、孫子、荒野の順でリムジンに乗り込んですばらくすると、楓が、意外に真剣な表情で、「荒野は極力実戦に参加しないこと」、それに、「すみやかに、一族のバックアップを受けなくともやって行けるような体制を整えること」と進言して来た。
 そもそも、楓が荒野に向かって進言する、ということ自体、初めてのことだったので、荒野は楓に、さらに詳細な意図を尋ねる。
 尋ねられた楓は、理路整然とした口調で、「荒野に万が一のことがあったら、自分も、茅たちも、一族が本気で助けてくれるとは思えない」、と、語った。
 荒野は、完全に虚をつかれた形だった。
 たしかに……茅たちが、一族にとって重要視されている……という前提が崩れた今……荒野の存在、という要素がなくなったら……一族が、それでも本気でバックアップしてくれる……という保証や理由、根拠は……どこにもないのだった……。
 荒野は、楓に指摘されるまで、そのことに気づかなかった……。
 多分……一族の中心部にいて、一族の組織を自由に使えることを無意識に「前提」にしている、甘さ、が、荒野の内部で根深く巣くっているのだろう……。
『……たしかに……』
 仮に……現在進行している地元との共生とか、それに襲撃者たちの問題を荒野たちがうまく解決してしまったら……今度は、荒野たちが、一族から「脅威」として認識され……スポイルされる可能性も、なくはないのだった。
 秦野は……ガクやテンのことを、「新種」という呼び方をした。
 その呼称の裏には……六主家と同等の勢力になりうる可能性を秘めている、というニュアンスが、感じられる……。
 六主家の中で一番旧い、とされる秦野にとって、ガクや茅は……新たな異能種族の萌芽に見えるのかもしれない……。
 荒野が今取り組んでいるゲームは……一般人社会、六主家、それに襲撃者までを相手取ったサバイバルゲームなのだ……と、改めて思い直す。
 力比べで勝敗を競うのが目的ではないし……また、茅たちは、ほんのささいな判断ミスでその存在を抹殺されるような局面も……この先、出てこないとも、限らない……。
 そのためには……一族への依存度を、今後低くしていく方が……いい……。

 楓に説明をさせ、一通り考えた後、荒野は楓に改めて尋ねる。
「楓……。
 それ、自分で考えたのか?」
「……え?
 ええ。そうですけど……」
 そう答えた楓は、荒野がなんでそんな分かり切ったことを聞くのかわからない、といった顔をしている……。
 楓にとっては自然な発想なのかもしれないが……生まれた時から一族の中心にいた自分では、思いつかないこと、でもあった……。

『楓も……いつの間にか……』
 茅も、楓も、自分も、孫子も……出会った頃とは、随分と変わっている……。
 それを単純に「成長」といいきってしまっていいのかどうか、微妙なところだが……わずか数カ月、という短期間に、自分たちが変わりつつある……ということを、荒野は実感する。
「……やればできるじゃないか……。
 おれも、その推測はあたっていると思うよ……」
 荒野がほほ笑むと、楓も照れたような笑いを浮かべる。
 考えてみると……荒野が楓を、面と向かって称賛したのは、これがはじめてなのではないか?
「正直……不安要素は、多いから……どこまで粘れるかは分からないけど……こうなれば、今の土地でとことん粘ってみたいと思っている……」
 荒野は、茅、楓、孫子の顔をゆっくりと見渡し……。
「そのために、協力をしてくれると、ありがたい……」
 三人に向かって、頭を下げる。
 そうすることに、躊躇は感じなかった。
「頭を下げる必要はありませんわ……。
 わたくしたち自身のためでもありますもの……」
 孫子が、いう。
「茅は……荒野といつも一緒なの」
 茅が、いう。
「わたしは……今の生活を、守りたいから……」
 楓が、いう。

「……また、明日から学校だな……」
 荒野は目を閉じてシートに体重を預けながら、そういった。
「いろいろあった週末だったし……これからも、おそらくいろいろあるんだろうが……」
 この週末にあれだけのことがあったから、それまでの生活と寸分違わず、同じ……とは、いかないだろうけど……それでも、日常というものは強靭だ。
 寝て、起きれば、また、以前とはほんの少し違った「日常」がはじまる。繰り返される。
 以前の「日常」とはまた少し違った「日常」ではあろうが……その繰り返しが、荒野たちの現在の生活である。

 その生活を守る意志を、四人は車中で確認し合った。

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彼女はくノ一! 第五話 (127)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(127)

 重いこともそうでないことも含めて、最初のうちに話すべきことを話し合ってしまうと、その後は他愛のない、にこやかな歓談になった。
 孫子とシルヴィ、それに秦野の女たちはいつの間にかファッションについて熱く語っているし、茅は時折給仕を呼び止めては、運ばれて来た料理についてあれこれ質問している。時々、ガクやテンもそれに口を挟む。

 荒野は、竜斎や静寂、それに中臣あたりから、現在進行形の「一般人との公然たる共生」について順番に、かなり詳細な部分まで、根掘り葉掘りといった感じで質問攻めになっていた。

 古株の一族にとって、荒野が現在行っているのは、成功する確率こそかなり乏しいものの、強く興味をそそられる試み……ということになるらしい。
 一族は、過去の経験から一方的に荒野の方法を断罪する、という硬直思考とは無縁のようで、かといって、逆に共生を目指す荒野の方法に過剰な期待を抱いている訳でもない。
「可能性が残されていると荒野が考えるのなら、せいぜいやってみるがいい」とでもいいたげな冷淡さを感じないでもなかった。が、一方で、いろいろと憶測がでている襲撃者への対策については、「一カ所で待ち伏せ策」の合理性を認めており、「しばらく好きにやらせておいて、様子をみてみてもいいか」という空気が支配的なように見受けられた。
 こうしてみると……やはり一族の精神的基調というのはリアリストのそれで、過去の恩讐や伝統に過度に捕らわれる事なく、その時点その時点で有効と思える手段を躊躇なく採用する気風があるのだな、と、楓は確信する。
 荒野が堂々と正体を明かして一カ所の止まろうとしていることにせよ、それを利用して、姿なき襲撃者をおびき出そうとしていることにせよ、従来の一族のセオリーからは大きく逸脱する筈だが……デメリットを冷静に認め、「荒野が責任を取る」ということを明確にした上で、六主家はそれぞれに、荒野を支援しようとしている……ように、楓には、見えた。
 そうした柔軟な対応は……裏を返せば、荒野のような立場のものでさえ、取り返しのつかない失敗や判断ミスを行えば即座にバックアップを断たれる、という厳しさと表裏一体になっている訳だが……そうした六主家の古株たちと、臆する事なく互角に話し合いや交渉を行っている荒野も相当なものだし、荒野の言い分を聞いて柔軟に反応している六主家の重鎮たちも、なかなかに凄い……と、楓は判断する。

 そんな感じで重々しくはじまった晩餐は、後半はそれなりにフランクな雰囲気に移行して進行し、用意された皿もすべて出尽くしてお開きとなった。
 出された料理(懐石風のイタリアン、とか、イタリアンの懐石風、のどちらかだと聞いた)は、一皿一皿の分量が少ない趣向をこらしており、単純にうまい、というだけではなく、一皿を食べ終えた後、次の皿が楽しみみになるようなメニューだった。楓は決してがっついているつもりはなかったが、気がつくつと、出された皿をすべてきれいに食べ終え、デザートのシャーベットまで平らげていた。
 その頃には、おおかたの話し出尽くしており、何だかんだで、荒野は自分が提示した方針を六主家の重鎮に承諾させ、有形無形のバックアップを約束させる言質を取っていた。
 隠し事を極力せず、手持ちの情報をあらかじめ開示してから、自分の思うところを提示する……という荒野の交渉方法は、今回に限り、有効な結果を引き出すことができた……ということになる。

 楓たちは来たときと同じく、二台のリムジンに分乗して、他の面々に見送られた。

「……さて、と……」
 車中で、荒野、茅、楓、孫子の四人だけになると、荒野はいった。
「……これで足場は、なんとか整えた……。
 後は、おれたち次第だな……」
「加納様……」
 楓は、先程考えたことを、切り出す。
「一族に頼らなくともやってけるだけの態勢も、至急整えるべきです。
 それができるまでは……加納様は、極力、戦闘行為を謹んでくださるよう、お願いします。
 今の時点で、加納様に万が一のことがあったら……わたしたちは一族に見放され……バラバラになります……」
 それまで、自分の意見をいおうとしなかった楓がいきなりそんなことを言い出したので、荒野は一瞬面食らった表情をしたが、少し間を置いて真顔になり、楓に切り返した。
「おれになにかあると、一族に見放される……と、そう思う、根拠は?」
「加納様は……一族にとって、価値のある人材です。
 わたしや茅様、ガクやテンは、必ずしもそうではありません」
 端的に、楓は答える。
「当初の予想と異なり……茅様たちは、過去の、現在は凍結中の計画の残滓であることが、今夜、判明しました。
 そのようなものを守るために……一族の方々が、過剰なリスクを負うとは思いません」
 楓の返答に、荒野よりも茅の方が、先に頷く。
「一族は、情で動くほど単純ではない……楓のいうことは、正しいと思うの」
「それで、楓……その懸念に対する、対策は?」
 そういう荒野は……面白そうに、笑っていた。
 楓がどんな返答をするのか……本気で興味を抱いたのかもしれない。
「地元に根付く……一族のバックアップがなくともやっていけるだけの基盤を、作ります」
 荒野も孫子も……今いる土地で失敗しても、帰る場所がある。
 でも……楓には……後がない、のであった。
「……今までの基本方針とも合致するな……」
 荒野は、楓の言葉に頷く。
「それと……おれに実戦をさせたくないのなら……お前の方の戦力を増強して、不安がないようにしろ。
 もっともこいつは……」
 敵さん次第だがな……と、荒野は肩をすくめる。
 荒野にその気がなくとも……相手の出方次第だ……というわけだった。
 敵が、どういうタイミングで誰を標的にするのか分からない以上……そういいたくなるのも、分かる。
「逆に、楓に聞きたいけど……今回のような敵に対して、標的を固定させるような方法……なにか思いつかないか?」
「強さ……脅威になる存在が、ここにいる……と、アピールする……」
 楓は、反射的に荒野に返答していた。
「敵は……自分たちの能力に、絶対の自信を持っている。弱いものから攻めるよりは、強いものから潰しにくる……」
「……それ、お前が考えたのか?」
 荒野の表情が、少し険しいものになった。
「え? いえ……」
 荒野に問い返されて、楓は、少し自信がなくなってくる。
「でも、学校でも……本気で生徒たちを人質にするつもりなら、加納様と生徒たちを分離する方が確実ですし……商店街でも、手製の催涙ガスなんてものではなく、本物の毒ガスを使ってもよかったのに、そうしていない……。
 だから、敵の狙いは、本当に被害を出すこと、ではなくて……結果として被害がでるのもかまわない、とは思っているでしょうけど……それ以上に、加納様を、動揺させたいのではないかな、と……」
「……おれを動揺させることが……敵にとって、どういうメリットがある?」
 楓がいったん言葉を切ると、荒野が質問を重ねる。
「加納様が……本気になります」
 楓は、きっぱりといった。
「たぶん……敵は、本気になった一族のものがどれほどのものか、知りたいんだと思います。
 知った上で……なんだ、自分たちより格下じゃないか……と、安心したいのだと思います」
「楓……。
 それ、自分で考えたのか?」
「……え?
 ええ。そうですけど……」
「……やればできるじゃないか……。
 おれも、その推測はあたっていると思うよ……」
 荒野は楓に向けて、満足げにほほ笑んだ。
「……おれたちが、昨日の現象の仕掛け程度で潰れるようだったら……敵は、おれたちを素通りして、別の一族を襲いはじめただろう……」

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(43)

第六章 「血と技」(43)

 テンとガクの承諾を得た……ことを確認した荒野は、今度は、涼治に向き直った。
「じじい……そういうことで、いいな?」
 今いったような構想を、一族の重鎮がこれだけ揃っている現場で、承諾させる……ことができれば、この先、荒野たちは、かなり動きやすくなる。
「長老」である涼治は、必ずしも六主家全体に対して高圧的な権力をもっているわけではないが……少なくとも、名目上、「尊重」はされている。無茶な命令ならいざ知らず、一族全体に利益がある提案を跳ねるのなら、それなりの理由がなければならない。
 荒野は、自分が提示した方法の合理性をすでに説明した。それを否定するのなら、もっと合理的な方法を提示しなければならない。
 そこまで準備を整えた上で、荒野は、涼治の言質を取ろうとしていた。

「茅たちや、身の回りの一般人を守るだけではなく……」
 相変わらず人の良い微笑を浮かべた涼治は、荒野に問い返した。
「荒野……お前は……その襲撃者たちをも、守ろうとしているのだな?」
 不要なモノ、邪魔なモノは、実力で排除する……というのが、一族全般の、一般的な思考である。
 自分たちを目の敵にする存在を保護しよう、という荒野の方針は、その意味では、一族の規範から逸脱している。
「そうでないと……笑えないんだ……」
 荒野は、頷いた。
「たまたま……茅たちは、今、おれの傍にいる。
 だけど……ちょいとした偶然で、その襲撃者たちと立場が入れ替わっていたとしても、おかしくはないんだ。
 そんなやつらを……本気で、殲滅しようとは、思えないよ……。
 仮に、他に選択肢がなくて、やつらを本気で潰しちまったとしたら……おれは、おそらく、一生笑えなくなる……」
「荒野が笑えないと……茅も、笑えないの」
 茅が、荒野の言葉に言い添える。

 涼治は……目を瞑って、ひどく長い時間、なにやら考え込んでいた。
 いや。実際にはさほど長い時間ではなかったのかも知れないが……荒野にしてみれば、ひどく長く感じられた。
「よかろう……。
 好きなように、やってみなさい……」
 そう答えてから、涼治は、長々とため息をつく。
「ここにいる皆も……ご協力いただければ、ありがたい……」
 そして、他の六主家の重鎮たちに、軽く頭を下げた。
「命令」ではなく、もっと各自の自主性に訴える「お願い」だが……こうした場で涼治が、他の六主家に対し、はっきりと意向を示した……ということだけでも、荒野にしてみれば……ありがたかった。

「協力、っていってもなあ……うちら野呂は、独立独歩が建前だし……」
 そういう野呂竜斎は、相変わらず料理には手をつけず、ワイングラスばかりを傾けている。
「ま……若い連中の中には、お前ん所の動きに興味示しているの多いからよ……。
 上からどうこうしろってことはないが、動きたいやつは自分でそっちに出向くんじゃねーのか……。
 全身タイツは、無理だとは思うがな……」
 荒野は「……なんだよ……全身タイツって……」と、思わないでもなかったが、とりあえず、頷いた。
 どのみち自発的に集まってくる人員は……特に、一族の技を習得しているような人材は、歓迎する所である。

「荒野君、荒野君……」
 今度は、二宮荒神が語りかけてくる。
「うちの若いのも……荒野君に、興味を持っているのが多くてね……。
 昨日の校庭の件で、荒野君人気、鰻登り。
 ……そうだよね、中臣君?」
「……長……」
 二宮中臣は、拗ねたような表情で、顔を伏せた。
「事務は全部わたくしに任せてくださるのに……。
 下々の事情には、非常に良く、通じていらっしゃるようで……」
 中臣は、「非常に良く」の部分を強く発音する。
 半分、「仕事はしない癖に、そういう所にばかり気が回る……」という、荒神の自分のあしらい方への、不満表明でもある。
 が……少なくとも、荒神の言葉を否定はしなかった……。
「……だって、事務仕事なんてのは、弱っちい下っ端の仕事だよ……」
 荒神は、中臣の顔をまともに見返して、しれっとした表情で答える。
「ま、その下っ端の中にもそれなりに向上心を持っているのはいるからさ。
 荒野君、そっちの仕事を手伝う代わりに、ちょこちょこっと、昨日やったみたいに、時々稽古をつけてやってくれないか?」
 ようは、「自分で相手をするのが面倒くさいから、荒野に相手にさせよう」ということらしい。
「……いい、けど……」
 荒野としては、これもまた頷くより他ない。
 今後のことを考えれば……使える人手、多ければ多いほど、いい……。
『どのみち……有事の際以外は、こっちではやることないんだから……』
 そういった余剰人員は、平時には、ボランティア活動の方にでも回そう……と、荒野は思った。
 これだけの人数が集まるとなると……昼間ちらりと話しがでていた、NPOうんぬんとかいうのも、夢ではなくなってくる。

「……ほんなら、わてら佐久間も、なんぞやらへんとあまへんな……」
 佐久間静寂も、にこやかに申し出てくれる。
「せやかて……佐久間は、余分に割けるほど、ようけ人がおわすわけやおまへんし……。
 そや。先ほどの技の伝授に向かう人員に、佐久間の通信システムとマニュアル一式をおつけしまひょ……」
 佐久間のシステム……について説明を求めると、テキストベースの独自OS……みたいなもの、らしい。
 コマンドを全てタイプしなければならないので、佐久間の記憶力を持たない一般人には扱えない代物だが、操作する人間に負担をかける分、同じスペックのマシンでも高機能に作動させることができる……との、ことだった。
 おどろくことに、佐久間は、このシステムをインターネットの普及以前から完成させており、有線、無線など、その当時その当時の在り物インフラを介して使用していた……という。
 それだけの歴史のあるシステムだから、現在では大方のバグも取れ、かなり「枯れた」、信頼性の高いシステムに仕上がっている、とも、いていた。
「……そちらのお嬢さん方なら、軽く扱えますやろ……」
 との、ことだった。

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彼女はくノ一! 第五話 (126)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(126)

『ヒーロー・ショーって……』
 何? と、耳が拾った単語について、楓が疑問に思っていると、
「その……ヒーローがどうとか……少々、話しの流れが見えにくいのですが……」
 二宮中臣が、ズバリ、楓が疑問に思ったことを、荒野に尋ねてくれる。
「……そうか……中臣さんは、知らなくて当然だな……。
 今、おれたちの通っている学校には、発明狂とかマスコミ志望の生徒とか、個性豊かなのが多くてな……。
 そいつらの発案で、おれたち、地元社会に貢献することで、自分たちの居場所を作ろうとする、準備をはじめた所で……思いがけず、佐久間現象が、襲ってきたんだ……」
 ここまでは、楓も承知している。
「発明狂」とは徳川篤朗で、「マスコミ志望の生徒」は玉木珠美や有働勇作のことだろう。
 しかし、二宮中臣にとっては初耳だったらしく、ぽかんと三十秒ほど口をあけてぼんやりした後、ごそごそとなにやら隣に座る荒神に耳打ちをされ、気を取り直して表情を引き締めた。
「……わ、わか……」
 しかし、それでも中臣の声は、震えていた。
「……す、すると……なにですか?
 ひょっとして……一般人に、一族のことを……」
「うん。説明した。
 最初のうちは、うるさくかぎまわってきそうな数人に話しているくらいだったが、昨日の一件でどうにも隠しきれなくなってね……。
 おれとしては、もう少しあそこで頑張りたいし、だから、今日の昼間も、学校に人を集めて、必要な範囲内で説明会をやってきた所なんだ……」
 中臣は、両目を大きく見開く。
 荒野はなんでもないことのように、さらっと言ってのけるが……自分の正体を公然と一般人に明かす、というのは、はやり、従来の一族の在り方には反する……。
 中臣のように、長年中枢で働いてきた人間には、なおさら受け入れがたい事実だろう……と、楓は推測した。
 しかも……それをやってのけたのが、加納の後取りと目されている荒野であり……。
「……わかっている。
 でも、他に選択肢がなかったんだ……」
 荒野は、真顔で中臣に応じた。
「竜齊さんのいうこともわかるし、中臣さんの危惧も理解している。
 だけど……あそこには、おれが、守りたい人たちがいる。
 そういう感情をなくしてしまったら……おれは多分、現象やその背後にいるやつらと、同類になっちまう……。
 おれは、まだ……竜齊さんほどは絶望していないし、中臣さんほど打算的にはなれない……。
 甘いとは、分かっているんだけど……本当に駄目になるまで、好きなようにやらせて貰えないだろうか?」
 さらに、軽薄挙動の末、というわけではなく、現在の状況を考えに考えた末、最上の策、として選択したのだとしたら……。
 中臣は、難しい顔をして、しばらく思案した後、ようやく顔をあげた。
「つまり……若は、自分たちを囮にして、網を張ると……」
 多分……中臣にとって、荒野は……軽々しく囮にしていいような人材ではないのだろう……と、楓は、その表情推移をみて、推測する。
 現在、加納の姓を名乗っているとはいえ……荒野の母は、荒神の姉……つまり、荒野には、半分、二宮本家の血も、流れている……。
 荒野は、いわば六主家主流のサラブレッドのような存在であり……血統に加えて、実績と実力も兼ね備えた、一族の次世代の指導者として申し分のない存在、なのである。
 その荒野が、自分自身の将来も掛け金に乗せ、かなり無謀な賭をしようとしている……というのが、現状だった。
「血統」とか「伝統」に拘る常識人ほど……抵抗が、あるだろう。
 今まで、荒野の身分があまり取り沙汰されなかったのは……中臣のような常識人がたまたま身の周りにいなかったので、騒ぐ人がいなかった……というだけのことである。
「……そんなに、うまく……」
「いくかどうかは……正直、やってみなくては、わからない。向こうが何を考えているのか、推測するばかりではっきりとしたことはわかってないからね。
 でも、万が一、そんなことでやつらの興味をこっちに引きつけることが出来たら……おれたち迎撃する側にとっては、かなり都合がいい」
 しかし、荒野は、顔をひきつらせている中臣とは対照的に、平然としていた。
 これは、ポーズなどではなくて……荒野自身は、自分の身分や素性を、さほど重要視していない……からだ。
 これは、普段からそうなので……楓には、そうした荒野の無防備さを、かえって自然に感じたが……。
『しかし、これは……』
 一方で、実は、とても危ない状況でもあるのではないか……と、楓は思う。
『これから、加納様に、万が一のことがあったら……』
 自分たちは……確実に、バラバラになる……。
 と、楓は思う。
 求心力がなくなる、ということの他に……加納とか六主家とかとの、パイプが、極端にか細くなる。
 仮に、荒野が負傷などをして、数ヶ月とか長期に渡って動けなくなったら……自分や茅、テン、ノリ、ガクたちの身を……六主家は、果たして本気で案じてくれるのだろうか?
 茅たちは、以前、荒野が推測したように、一族が開発した秘蔵の子供……ではなく、中断した開発計画から、たまたま生き残った余剰品にすぎず……だとすれば、さっき涼治が語ったような「敵」が、荒野が不在になった際に狙ってきたと仮定して……六主家は、どこまで本気で自分たちを守ってくれるだろうか……。
『……やはり……』
 これから、荒野は、なるべく前線には立たせない。
 また……一族のバックアップを受けられなくなっても、なんとかやっていける体勢を、早めに作る。
『地元に、根を下ろす……基盤を作ることは……』
 必要だ、と、楓は結論した。
 帰ったら、徳川、玉木、それに羽生譲……あたりにも、きちんと相談してみよう……と、楓は思う。学生、という身分でできることは限られているのだろうが……徳川や玉木、有働たちは、そんな制約などものとせず、自分のやりたいことをやっている。
 だったら……楓にも、なにか、出来る筈……だった。

 それまで「上からの命令を待つ」という受動的な立場に甘んじていた楓は……「自分の意志で動く」という主体的な存在へと、変容しはじめていた。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(42)

第六章 「血と技」(42)

 荒野は、感じ入った。
 竜斎の言葉に、ではない。
 他でもない、普段、あれほどやりたい放題にしている竜斎が、そのような「比較的まともな意見」を年少の自分にしみじみと語った……という事実に対して、ひどく感銘を受けた。
 野呂……は、六主家の中でも個々人の力量を評価し、よくいえば自由競争的な思考を是とし、悪くいえば、本人の実力次第でどんな欲望でも叶えることを肯定する、行きすぎた実力主義ともいうべき風潮を持った集団である。
 とはいえ、やはり実際に仕事をするとなると、最低限の折り合いをつける社会性は必要となってくるのだが……それでも一般人の規範に比べれば、「自分の欲望を追求する」という行為に対する寛容さを持っている。で、なければ、「老害」とか「歩くセクハラ」とかいわれる竜齊が、野呂の長をやっていけるわけがないのであった。
 その竜斎がわざわざいった、ということが、言葉に、重みを与えている。
 実感……それも、経験からきた言葉、なのだろう……。
「……忠言、肝に銘じておきます……」
 荒野としては、殊勝にそう頷くしかないのであった。
「若……」
 二宮中臣が、困惑顔で話しかけてくる。
「その……ヒーローがどうとか……少々、話しの流れが見えにくいのですが……」
「……そうか……中臣さんは、知らなくて当然だな……」
 二宮は、長である荒神が楓たちと同じ家に住み込んだり、学校の教師をしていたりするのだが……荒神の性格からして、そこで知り得た情報を、わざわざ二宮に送る……などというマメなことをしているわけがないのであった。
 だとすれば……中臣に届いているのは、涼治が配置している監視網から届いてくる、表面的断片的な情報のみ、ということになる。
「今、おれたちの通っている学校には、発明狂とかマスコミ志望の生徒とか、個性豊かなのが多くてな……。
 そいつらの発案で、おれたち、地元社会に貢献することで、自分たちの居場所を作ろうとする、準備をはじめた所で……思いがけず、佐久間現象が、襲ってきたんだ……」
 二宮中臣は最初、荒野がいっていることが理解できない、という顔をした。
 しかし、隣に座る荒神から補足説明を耳打ちされたりするうちに、がくん、と、中臣の顎が落ちる。
 俗にいう、「開いた口がふさがらない」というやつで……荒野は、普段、びっとしている中臣がこれほど間の抜けた表情を見せるのを、初めて見た。
「……わ、わか……」
 中臣の声は、震えていた。
「……す、すると……なにですか?
 ひょっとして……一般人に、一族のことを……」
「うん。説明した。
 最初のうちは、うるさくかぎまわってきそうな数人に話しているくらいだったが、昨日の一件でどうにも隠しきれなくなってね……。
 おれとしては、もう少しあそこで頑張りたいし、だから、今日の昼間も、学校に人を集めて、必要な範囲内で説明会をやってきた所なんだ……」
 中臣の横で、舎人が、「あーあ……いっちゃった」という顔をして、首を振っている。
「……せつめい……会……」
 中臣の頬の肉が、ひきつっている。
「すると、何十人もの人間に……」
「……んー……五十人はいたかなぁ……」
「正確には、ピーク時で六十八人なの……」
 荒野が暢気な口調で大まかな人数を伝え、茅が正確な情報を補足する。
「……若!」
 根が真面目な中臣は、案の上、暴発した。
「自分が何をやったのか、わかっていらっしゃるのですか!」
「……わかっている。
 でも、他に選択肢がなかったんだ……」
 荒野は、真顔で中臣に応じた。
「竜齊さんのいうこともわかるし、中臣さんの危惧も理解している。
 だけど……あそこには、おれが、守りたい人たちがいる。
 そういう感情をなくしてしまったら……おれは多分、現象やその背後にいるやつらと、同類になっちまう……。
 おれは、まだ……竜齊さんほどは絶望していないし、中臣さんほど打算的にはなれない……。
 甘いとは、分かっているんだけど……本当に駄目になるまで、好きなようにやらせて貰えないだろうか?
 もちろん、関係のない一族の情報は極力漏らさないようにするし……それに、闇雲にやつらを探すより……一カ所に網を張って、そこにおびき出す方が、簡単だと思う。
 おれたちの居場所を固定して、その上で挑発を繰り返せば……やつらの注意も、それなりに引きつけられるのではないな? 漠然と当てのない捜索をしたり、闇討ちをされるのを待っているよりは、いくらかマシだと思うけど……」
 中臣は、顎に指をつき、しばらく思案した後、不承不承、という感じで、荒野の意図を確認してきた。
「つまり……若は、自分たちを囮にして、網を張ると……」
「うん。
 聞いた話しじゃあ、やつらの意図は、一族全体を潰すこと。
 しかも今回、現象を使って威力偵察をしてくるくらいだから……茅たちには、強い興味を持っている筈だ。
 その茅、ガク、テン、ノリから……ネットを通じて、堂々と挑戦状と解釈できる映像を流したら……くらいついてくるんじゃないかな?」
「……そんなに、うまく……」
「いくかどうかは……正直、やってみなくては、わからない。向こうが何を考えているのか、推測するばかりではっきりとしたことはわかってないからね。
 でも、万が一、そんなことでやつらの興味をこっちに引きつけることが出来たら……おれたち迎撃する側にとっては、かなり都合がいい。
 警戒する範囲を大幅に狭めることになるんだから……。
 いつ、どこに攻撃を受けるかわからない、というのと……いつかは分からないけど、この近所の特定の人を狙ってくる、というのとでは……同じ警戒態勢でも、かなりやりやすくなると思うけど……」
「……それって、つまり……」
 テンが会話に割り込んでくる。
「その、謎の襲撃者が、ボクたちを標的にしやすいように誘導する……やつらを釣るための餌になれ、ってことだよね……」
「お前らは……肉体的なスペックのみでいうのなら、一族の誰よりも頑強だ……」
 荒野は、にやりと笑う。
「それに、お前らだけでうまくやつらをやりこめれば……お前らが、一族を越えたことを、証明することになる……。
 じっちゃんの言葉を本当にすることは……お前らにとっても本望だろう?」
「それって……ボクらにとって、すっごくリスクが大きいよね……」
 そう答えるテンは、かなり真剣な顔つきをしている。
「大きいな……」
 荒野も、真面目な顔をして頷いた。
「でも……成功すれば、お前たちは、正真正銘の正義の味方だ……」
「ボク……ガクほど単純じゃないから、そういわれてもあんまり嬉しくない……」
 テンは、わざとらしくむくれてみせる。
「でも……じっちゃんを嘘つきには、したくないな。
 確かに、ボクらが一族を越える者、であることを証明する、いい機会ではあると思うし……。
 いいよ。
 その餌、なってやろうじゃないか。ノリにも、後で説得してみる……。
 ガクはどうする?」
「やるよ」
 ガクは、テンほど悩まなかった。
「ボク……昨日の件の原因を作ったそいつらのことは……本気で、怒っているんだから……。
 引きずり出して、謝らせてやる……」

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彼女はくノ一! 第五話 (125)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(125)

「……ええっと……つまり……」
 ガクが返答に詰まったので、楓が代わりに口を挟む。
「秦野さんたちは……観光に来ただけで……事を構えるつもりは、なかった、と……」
「当然です……」
「ろくな武装の用意もなしにお相手するなど……」
「失礼とは思いましたが……」
「こちらのお嬢さんがご所望でしたし……」
「わたしたちも、噂の新種に興味がありましたもので……」
「軽率だとは思いながらも……」
「ついつい、誘いに乗ってしまった次第でして……」
 楓は……なんと返答していいのか分からなくなって、困惑した。
 助けを求めるように荒野の方に視線を向けるが、荒野は荒野で野呂の長となにやら話し込んでいる。
「……雑種ちゃん、雑種ちゃん……」
 そんな楓に助け舟を出したのは、荒神であった。
「これで秦野は……佐久間と同じくらい……異質な存在だから。
 ぼくも、時々困惑するのだが……彼らは、どうも、彼らの間だけで通用する独自のコミュニケーション方法を持っていて……思考形態も、常人とはかなりことなる……。
 外見上の差異が乏しいことを除けば、一見して普通の外見をしているので、ついつい普通に接してしまうんだが……彼らは、人間の姿をした集合知性体みたいなものだ……。
 目の前の個人と、ではなく、その背後にいる秦野という集団と話すつもりでいくと、割合にうまくいく……」
 荒神のアドバイスを、楓はかみしめ、忙しく頭を働かせる。
 秦野全体で、一つの知性……それは、確かに、異質な在り方だろう……。
 そんな人たちとまともに話しをする、となると……。
「……つまり……あなたがた、秦野にとって……戦闘行為は……他者との、コミュニケーションの一手段……な、わけですね?」
 楓は、今までに聞いた秦野の噂話を思い返しながら、考え考え、言葉を絞り出す。
 ……全体で思考をする、というのなら……秦野にとって、個体の死は、なんら重要なことではなく……多分、普通の人間に例えれば、一個体が細胞の一片くらいの価値観でしかなく……場合によっては死傷者を出すような、損耗の激しい戦闘も……彼らにとっては、ドツキ漫才程度の感覚、なのだろう……。
「その通りです……」
「直接間接的な戦闘行為は、言語によるものと並んで、我ら秦野と他の人類との対話を助ける重要な手段です……」
「故に、我らは、求められれば、全力でお相手致します。
 それが、我らの礼です……」
『なるほど……』
 と、楓は思った。
『……確かに、秦野は……』
 異質であり……敵には回したくない相手だ、と。
 荒野は、六主家の中でも、二宮と並んで秦野を警戒している。この二つについて荒野は「敵に回したら、勝てない」と、以前から明言していた。
 そういいたくなる理由が……楓にも、理解できた。
 個々人で見る限り……秦野は、決して精強、という訳ではない……。
 しかし……「秦野全体」としてみると……事実上、不敗であろう。
 それこそ、世界中に散らばる秦野の位置を補足し、全世界規模でいっせいに殲滅するくらいしか……秦野に「勝つ」方法はない。そして、六主家の中で一番数が多い、という秦野に、正面から大規模な正面攻撃を行える勢力は……六主家はいうに及ばず、事実上、地球上には存在しない……。

「……シスターになるのかパートナーになるのか、よく分からないけど……」
 シルヴィ・姉崎が向こうで男の秦野に管を巻いていた。
「……レイディをホームに閉じ込めているなんて、今時、時代錯誤もいい所よ。秦野は遅れてると思うわ……」
「そうはいっても、我らは古来よりそのような分業を行って来た。慣習でもありますし……」
「性差による向き不向きはあるわけですから、それなりに合理的ではあるわけですし……」
「それに、家を守り子を育んでくれる人々がいればこそ、我ら男衆も安心して働ける訳でして……」
「不合理だったり理不尽だったりするものならともかく、理にかなっている伝統を今更変えるのも、かえって不合理かと……」
「……そういうことを、いってんじゃないの!」
 ぶつくさいう男たちに、シルヴィが一喝する。
「秦野は、たまにはレイディたちに息抜きの機会を与える! ずっと同じ土地に縛り付けられているんじゃあ、いくら合理的だからっていっても、そりゃ、息も詰まるってもんです。たまには旅行にぐらい出して上げなさいっていってるの! それくらいの余裕、あるでしょ? 仮にも六主家の一角なんだから!」
 聞いていた楓は、シルヴィの見幕が、なんだかえらく俗な方に話題が流れているような気がしたが、秦野の男たちは気まずそうに顔を見合わせたりしている。
 どうやら、反論できないらしい。
「そういや、秦野さんたちのその服……誰の趣味なの?」
 続いてシルヴぃは、秦野の女たちに話しかけた。
「……おかしいのですか? これ?」
「この土地では、こういうのが普通で目立たない、と聞いたのですが……」
「事実、昨日、駅前にいた女性の多くは、こうした傾向の服装をしていたように見受けられましたが……」
 今度は秦野の女たちが顔を見合わせた、口々にそんなことを言い合う。
 秦野の女たちは、昨日、商店街でしていたのと同じ服装、つまり、ゴスロリ・ドレス姿だった。
「……いいえ。よくお似合いですわよ……」
 今度は、才賀孫子がにこやかに話しかけた。
「とてもいい趣味をしていらっしゃると思います……」
 楓がちらりと横目で確認すると、テンは目立たないように顔を背けてこめかみを揉んでおり、ガクは運ばれてくる料理を片っ端からたいらげている。
「楓おねーちゃん……食べないの! おいしいよ、これ!」
 楓の視線に気づいたガクが、能天気な声で、楓にそう声をかけてきた。
「あっ! はい! いただきます!」
 楓はあわててスプーンをとって、冷めかけたスープをすくった。
 あんな話を聞いた後では、食欲はあまり沸かなかったが……。
「……あっ……おいしい……」
 一口、口にして、楓は思わず感嘆の声を上げる。
「でしょ!」
 ガクが、自分の料理が褒められたように、破顔する。
「こんなおいしいもの、しょぼーんとした顔をして食べてたら、作ってくれた人に悪いよ!
 ちゃんと、味わって食べよう!」
 ガクの、邪気のない笑顔を……楓は、いい笑顔だ……と、思った。
「……そ、そうだね……」
 テンも、ガクの言葉に反応する。
「いろいろ、難しいこと、考えることが多すぎるくらいだけど……まずは、食べなけりゃ……先生も昨日、食欲がなくっても、明日のために食えっていってたし……」
「腹が減っては戦ができぬ……」
 孫子も、料理に向かいはじめる。
「……補給のない軍隊、飢えた兵隊が勝ったためしは、古来、存在しませんわ……」
 涼治によって、過去の重い事実を披露され、一度は沈み込んだテーブルに少し活気が戻り、華やいだ雰囲気になりはじめていた。
 向こうでは荒野が、六主家の重鎮たちに向かって、ヒーロー・ショーがどうとか話している。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(41)

第六章 「血と技」(41)

 全力で迎撃態勢を整え……敵の襲撃を未然に防ぎ、実動部隊を取り押さえて無力化し、更生させる……という荒野がその場で打ち出した方針は、楓が不審そうな顔をしている以外は、概ね受けいられたようだ。
 とはいえ、六主家の主だった者は、荒野の提案に賛意を表している……というよりは、おそらく……荒野の一党がどこまでやるのか、やれるのかを……この機会に、見ておこう……という理由で黙っている。
 荒野と、それに仮想敵……実戦力を図るための情報が少ない、という点は、双方とも同じであり……その二つの勢力がぶつかって、正確な戦力評価の機会を与えてくれるのなら……喜んで黙認してくれるだろう……と、ここまでは、まずは荒野の読みどおりだ。
 荒野たちが目的を達成できなかったとしても……荒野たちとまともにぶつかり合えば、敵にも相応のダメージを与えることになる筈で……。
 他の六主家にしてみれば、荒野たちが失敗しても、弱体化した敵を、ゆっくりと、料理していけば、いい。
 荒野たちの行動を黙認しても……なんら、デメリットは生じないのだった。
 むしろ……彼らの側らみれば……荒野は、進んで貧乏籖を引きにいっているようにみえる筈……なのだった。

 陰惨な印象を受ける「遠い過去」の話しがひと段落し、昨日の事件の検証に荒野が話題をうつす。すると、その場にいた全員が、硬くなった表情をゆるめたのを、荒野は確認した。
 事件のあらましを知っていた人々には、あまり触れて欲しくはない暗部であり、初耳の者にとっても重苦しい話題だった。そこから話しの先がそれたことで、明らかに全員が安堵しているよう見えた。

 荒野は、佐久間現象をから聞いたことと、そこから推測したことを、一つ一つ確認していく。
 野呂や二宮の若い者に一人一人声をかけ、どこかのノーマンズランドにあるはずの秦野のコロニーに出向いていって、「海外旅行に誘う」という名目で日本にまでご足労願う。
 同時に、佐久間の公式ルートを使って、二宮本家から、人員の派遣を要請する……。
 予想していた通り、表だって動いていたのは現象のみであり、その背後にいる連中は、まったく姿をみせていなかった。
『……しかし、まあ……』
 ご苦労なことだ……と、荒野は、佐久間現象の働きたいして、そういう印象を持つ。
 こうして検証してみると……佐久間現象は、実に精力的に動いている。
 二宮から人を引っ張ってくるために、佐久間の公式回線を使った時は、父親の暗証コードまで使ったそうだ。
 その話しを静寂から聞いた時、荒野は、
『……十年以上前に死んだ男専用の暗証コードが未だに使える、というのは、セキュリティ的に……どうなんだろうか……』
 と、思いかけ、それから、現象の父親が本家筋の人間であった……ということを思い出す。
 血筋や家系にどの程度重きを置いているかは、六主家でもまちまちなのであるが、静寂の今までの話しぶりから類推するなら、佐久間は、どうやら、その種のことを比較的重視する精神的な風土を、持っているようだった。
『……だとすれば……』
 普通の佐久間の者なら、仮になにかの間違いで、本家筋の認証コードなんてものを手にいれても……恐れ多くて使おうとは思わないし……また、誰かが軽はずみに使用する、などという事態も、想定はしないのであろう……。
 権威とは、そういうもので……現象は、そうした佐久間の気風と、自分の出自とを、うまく利用したことになる。
『……本当に……』
 使えるものは手当たり次第、なんでも利用して回ったのだな……と、荒野としては感心するより他ない。とはいえ、その感心の仕方は「呆れかえった」とか「開いた口がふさがらない」類のもので……行動力にも感心するが……それ以上に、本来、まるで戦力を持たない筈の現象が……小手先のセコいペテンと口八丁手八丁だけで、寄せ集めとはいえ、結果として数十人の人間を集めたのは……心情的には、全然評価したくはないのだが、十分に評価に値するのだった。
『……智力の佐久間、の本領か……』
 少なくとも、荒野自身が「同じ事をやれ」といわれたら、躊躇なく尻込みしたことだろう。現象のやり方は……あまりにも不確実な要素が多く、リスクが大きすぎる。博打も、いいところだった。無謀、というよりは……現象には、もっと切実な破滅願望があるのではないか……と、荒野は思った。

 現象をけしかけた連中にしても……「佐久間現象」という人材は、さぞかし、利用し甲斐のある人間であったに違いない……。

 荒野がそんなことを考えている間に、いつの間にかガクが、秦野の女たちに問いつめられている。
 どうやら、商店街での件は、ガクの方から秦野に、「挑戦」したらしい。
 もっとも、ガクが動かなくても、秦野と商店街にいた荒野の一党……と、佐久間現象の側から見なされている人間。ガク、テン、楓、孫子。それに、荒野自身……の誰かが悶着を起こすようにし向けるだけなので……仮に、ガクの方からアプローチすることがなくとも、別の人間が別の騒動を起こす、ように、し向けられたのだろう。
 秦野の女たちが集団でこんな場所に来ている……という事実が判明しただけで、荒野たちは過剰に警戒心を強める筈で……そこをつつくのは、容易なように思えた。

「で、加納の後継ぎさんよ……」
 野呂竜斎がワイングラスを傾けながら、荒野に話しかける。
「……無駄な殺し合いは避けるべきだ、復讐やら報復の連鎖は断ち切るべきだ……。
 ま、ご高説はもっとだわな。いうとおりに、世の中が清潔になりすぎちまったら、おれたちゃ、おまんまの食い上げだけどな……。
 だがよ……そいつは……実際にやろうと思えば、かなり難儀な事だぜ……。
 荒野……お前さん、当てはあるのか?」
「あるといえば、ある。ないといえば、ない」
 荒野は先ほどの静寂の言い回しを引用して、答えた。
「強いていうなら……さっきもいったように、この一件をシリアスなノンフィクションから、コミカルなフィクションに変換しちゃうんだ。誰もが、真剣に思い悩むのが馬鹿らしい見せ物に……」
「さっきいってた、ヒーロー・ショーってやつか?
 うちの若いのが……お前さんの仲間の変なのに、エキセトラに勧誘されたらしいが……あれは、本気だったのか……」
「……なんのことだ……」
 昨日、回線越しに野呂の若者と徳川篤朗が接触した一件について、話しを聞いていなかった荒野は首を傾げた。
「……荒野よ……。
 一般人とつるむこと自体が悪いとはいわねーがよ……。信じすぎると……いつか、足元を掬われるぜ……」
 野呂竜斎は、げっぷをした。
「……一般人との共存を考え、実際に試みた一族の者は……お前が、最初でもないだ……。
しかし、だ。個人対個人、というレベルではともかく、集団とか地域とかで、長期的な共存が成功した例は……今まで皆無だった、ってことを、肝に銘じておくんだな……。
 人間、なんてのはだな……そうそう、ご立派な代物じゃあねぇんだ……。
 おきれいでご大層な理想ばかりじゃあ、世の中は動きやしねぇんだぜ……」
 最後に竜斎は、「ま、若いうちは、いろいろ試してみるのもいいだろうがよ」とつけ加える。

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彼女はくノ一! 第五話 (124)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(124)

 楓は……荒野のいったことを頭の中で反芻し……荒野が言う通りのことを実現するのが、いかに困難か……過去の経験かに鑑みて……しみじみと実感した。

 三人とは、他愛のない理由で何度か模擬戦じみたことをやりあっているが……その際、楓が、なんとか三人を押さえ込めたのは……三人の中に、「本気で戦う」という覚悟や実感がなかったため、楓とは、気迫が違った……という要因が、大きい。
 どんなに潜在的な能力が大きくても……心の底から必死にならなくては……威力は、半減する。もちろん、それ以外に経験の多寡、という要素もあったが……それ以上に、三人は全てが遊びの延長、という感じで……実戦に際する必死さや真摯さが、足りない……。
 逆にいうと……そうしたメンタルな要素さえ、改善されれば……楓が対抗できるか、どうか……とたんに、あやしくなる……。

 そして、今までの話を総合すると……想定される敵は……三人以上の素質と、それに、十分な戦意を持っている相手、らしい……。
 バックアップする組織の規模や詳細、それに、実動部隊の人数も、今の時点では、明らかになっていない……。
 今の時点で判明している、敵についての情報を尋ねようと楓が口を開きかけた時、ガクが荒野に、「楓に稽古をつけて欲しい」といってきた。
「そういうことで、いいな?
 楓……」
 荒野は即座に頷いて、楓に確認してくる。
「……え? あっ……はっ! はいっ!
 わたしで、よければ……」
「……こりゃ、いいや!」
 いきなり話をふられた楓は、椅子に座ったまま、反射的に返事をしてしまう。楓は、よほどのことがないかぎり、上の者のいうことには服従する。

「中臣君!
 このぼくに、可愛い孫弟子ができたそうだよ!」
 少し向こうの席で、荒神が両手を叩いてはしゃいでいたが……楓は、あまり現実感がなかった。。

「……そうなると、専用の訓練所も必要か……。
 おい! 才賀! ……」
 荒野は訓練所とか、消耗品とかの手配について、次々と周囲の人たちと話し合いながら、決めて行く。どうやら、思いついたことを片っ端からしゃべっているらしい。
 ……いや、話ながら、考えをまとめている……らしい。
 と、楓は思い直す。
「……もちろん、この場にいる方々も、ご協力をいただけるんでしょうね?」
 ひとしきり思いついたことを話し終えると、荒野はそういって、他の出席者、六主家の重鎮たちを見回す。
「ご協力……は、いいけどよう……」
 真っ先に荒野に返答したのは、丸っこい顔と体つきのした老人、野呂竜斎である。
「荒野……先のことを固めるのもいいが……昨日の子細について、もう少し聞かなくてもいいのか?」
 この老人は、配膳される料理にはあまり手をつけず、ワイングラスばかりをくいくい傾けている。それでいて、酔って乱れた様子はみえない。
「……うちの若い者も……随分と、世話になっちまったようだが……」
 そういえば……学校を襲った中に、野呂らしい若者もいた。
「……加納と二宮本家の直系、それぞれを形質をバランスよく発現させ、その若さで、すでに海外では幾多の実績をあげている……。
 それでいて、国内にいる者にとっては、噂ばかりが先行して、その実態があまり知られていない……。
 荒野君は、若い世代の出世頭だからねぇ……。
 同じくらいの連中が興味を示すのも、わかる気がするよ……」
 荒神が、からかうような口調で、いう。
「……うちんところは、あまり下の者の動向をチェックしておらんからな……。加納ん所から事後に連絡をもらって、あわてて調べてみたら……。
 どうやら、いま話してた佐久間の小伜が、一人一人口説いてかき集めていたらしい……」
 そういってから、竜斎は、
「……まったく、最近の若いやつらは、勝てる相手とそうでない相手を区別する鼻もきかんのか……。
 どうせ襲うのら、確実に勝てる相手だけにしとけばいいのに……。
 佐久間の小伜も小伜だ。まっさきに、わしに声をかければ、もう少しこう、別のやりようがあったのに……」
 とか、ぶつくさ小声でいいはじめる。
「佐久間現象の口車にのったこと」より、「荒野一人に手ひどくやられたこと」の方を、責めるような口ぶりだった。
「……その、多人数で学校を襲撃した件ですが……」
 事実上、二宮を統括している中臣が、竜斎に続いて荒野に報告した。
「……うちの若い者も数人、混ざっていました……。
 連絡を受けてから調べ、そして事実関係が判明した……というあたりは、野呂の衆と同様です。
 監督不行き届きで、若にはご迷惑をおかけいたしました……」
 中臣はそういいって、荒野に頭を下げる。
 そんな中臣に、荒野は、
「……もう過ぎたことだから……」
 と答え、続けて、
「……で、舎人さんは、仕事で来たっていってたけど……。
 それと、現象を調べた時、二宮と佐久間の公式な連絡ルートに割り込んだ、というようなことも、いってたけど……」
 と、問い返す。
 追求するつもりはないが、手口については、確認しておきたかった。
 六主家相手に同じ手口が、通用するとは思えなかったが……手口を検証することで、相手の考えていることやポリシーみたいなものを、いくらかでも理解できるかもしれない。
「……現象から、そこまで聞かはりましたか……」
 佐久間静寂が、頷く。
「……そちらの方も、わてら佐久間の手落ち、いうことになりますなぁ。
 現象の父親が持っていた暗証コードを、現象が勝手に使用したようですわ。
 わてら佐久間が他の六主家のみなはんに連絡する時は、今では回線ごしでっしゃろ? 行き来する情報量が多すぎて、全てをチェックしきれないという所を、突かれた形どすなぁ……」
 こちらも、事後にログをチェックして、初めて死人が通信していることに気づいた……ということ、らしい。
 その暗証コードが無効になっていたら、別の手口を用意したのだろうな……と、楓は思った。
「……秦野さんの方は……」
 荒野は、今度は秦野の女たちに水を向けた。
「……わたくしたちは……」
「佐久間を名乗るお客さまが、はるばる集落まで来てくださって……」
「民間機をチャーターするから、日本まで観光に来ないか、って誘われて……」
「わたくしたち、滅多に外に出ることはないでしょ?」
「だから、つい、お誘いに応じてしまって……」
「「「……ねー……」」」
 と、秦野の女たちは声を揃えて頷き合う。
 楓が荒野をみると……額に、手のひらをあてて、目を閉じていた。
「……確認します。
 佐久間現象から観光旅行をプレゼントされたので、ほいほいついていった……、と、いうことなんですね……」
 それでも、荒野はけなげに先を続けた。
「あっ……あの……」
 楓は、片手をあげる。
「じゃ、じゃあ……テンやガクと、戦ったのは……」
「戦い?」
「模擬戦や演習を申し込まれたら、受けるのが六主家の礼儀なのでは?」
「それに……申し込んで来たのは、そこのお嬢さんなのですが……」
 三人の秦野の女は……びしっと、揃ってガクを指さした。
 その場にいた全員の視線が、ガクに集中する。
「……えっ! あっ……ええと……」
 ガクは、狼狽えまくった表情で、わたわたと弁明をしはじめた。
「だっ、だって!
 ……秦野のおねーさんたち、見るからにただ者じゃない気配してたったし、好戦的な、興奮した匂いしてたし!
 こう、アドレナリン、どっぱどっぱ、って感じで……」
「わたくしたち秦野の女は、滅多に集落からでることがありません……」
「集落を維持し、子を産み、育て、居を守ることが秦野の女の役割です……」
「一生、集落の中しか知らずに死んでいく女が、大半です……」
「それを……僥倖で、はるばる日本まで招待されて……」
「見るもの聞くもの、全て物珍しく……」
「そんな状況で、興奮するな、という方が……」
「「「……無理なのではありませんか!」」」
 三重奏で指弾されて、ガクは息を呑む。
 完全に、返答に詰まっていた。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(40)

第六章 「血と技」(40)

「……まいったなぁ……」
 荒野は……ぼやいた。
 今まで伏せられた情報を開示され、大まかな状況を呑み込んだ荒野は……。
「……親の因果は子に報い……なんて、今時、流行らないよ……。
 おれ、今までそういう泥沼の現場に、仕事として何度か係わってきたんだけどさ……そういう世代を越えて受け継がれる骨絡みの恨みって、結局、何もうまないんだよね……。
 親父たちの世代でいろいろあったのは理解できたけど……それ、茅やガク、テン、ノリ……つまり、おれたちの世代までた引き継がれなければならない……って、義理は、どこにもないわけでしょう?」
 そう、ぼやくしかない。

 それまで荒野は……本来なら自分にはあまり縁がない土地に入り込み、そこでの骨絡みの抗争に、仕事として首を突っ込んできた。
 これまでは……よそ者の、「他者」として……。
 しかし……今回の案件は、直接、自分のルーツに係わってくる……。
 まったく、「……まいったなあ……」というのが、率直な感想だった。
 嘆いてばかりいても埒があかないので、荒野は表情を引き締める。
 集まった一族の重鎮たちもそうだが……茅やテン、ガクも、ここで荒野がどのような決断を下すのか、観察しているのを、荒野は感じていた。
 荒神に揶揄されてそれをいなしたり、涼治に内通者がいる可能性を指摘したりしながら、荒野は思考をいそがしく回転させる。
 どうしたら……みんなが、自分が……納得できる解決策を、提示できるか……。
 そして、大まかな方針を決定した。
「おれに、茅を笑わせて見ろ……って、そういったのは、じじいだろ?
 大人の方はそっちに任せるけど……子供の方は、とっ捕まえて……迷惑をかけられた分、いやというほど尻でも叩いてやるさ。
 そして……更生するまでそばにおいて、まともな社会生活に、無理やり、適合させる。
 そうでもしなけりゃ……落ち着いて、平和な学園生活を、送れやしない……。
 テン、ガク……それに茅!
 そういうことで……いいな?」

 今回の案件は……笑えない。
 まったくもって、笑えない。

 過去は過去として……どうして、その時、まだ赤ん坊だった自分たちの世代にまで……そのツケが、回ってくるのか?
 襲撃を受けた当時、研究所にいた人々は……確かに、災難だったろうけど……だからといって、生き残った人々が、多大な巻き添えを作りながら復讐を行ってもいい、という理由には、ならない。
 ましてや……子供たちを復讐の道具として作り、使うなんて……まったく、笑えやしない。

『どっちに向いても……』
 茅や、テン、ガク、ノリ。
 ……茅を育てた、仁明。三人が、じっちゃんと呼んでいる男。
 佐久間現象とその両親。
 おそらく、その裏にいるであろう、一族を目の敵にする集団……。
『……被害者だらけ、じゃないか……』
 こんな……笑えない茶番は……一日でも早く終わらせるべきだ……と、荒野は思う。

「……え?」
「う、うん……」
 荒野にいきなり問いかけられたテンとガクは、顔を見合わせて、曖昧にうなずく。
「……えーと……。
 今、いったことが、よく伝わっていなかったかな?
 静寂さんの説明にあるようなやつらが、今後の相手だと、仮定して……昨日のようなふざけた真似は、もう二度とやらせない。
 向こうがなにか仕掛けてきても、何が何でも、未然防ぐ。
 かといって、相手を殺して禍根を絶つ、とかではなく……。
 ひっ捕まえて、いやというほど尻を叩いて……二度とあんなふざけた真似をできなくなるように、性根をたたき直す……。
 そう、いいたかったんだが……。

 お前ら……反対か?」
「反対か、賛成か、っていったら……」
「決して、反対、ではないんだけど……」
 テンとガクは、やはり困惑した様子で顔を見合わせながら……曖昧に言葉を濁す。
「その……実際に、そんなこと……できるの?」
「できなくても、やるんだ。
 捜査とか早期警戒とか、組織力がものをいう場面は、じじいたちに任せておけばいい。
 おらたちの役割は……」
 荒野は……漠然とイメージしていたアイデアを言語かしようとして……不意に、吹き出しそうになった。
「……殺伐とした、殺し合いや潰し合い……。
 血なまぐさい、報復の連鎖を……」
 荒野の脳裏に、最近見聞きしたさまざまなシーンが蘇る。
 楓と孫子の喧嘩。テン、ガク、ノリが来た時の、いくつかの騒動。自分と佐久間現象とのどつきあい。見世物のヒーローショーにしちゃえば、という玉木のアイデア……。
「……コミカルなヒーロー・ショーに、しちまえばいい。
 玉木も、なんかそんなようなこといってたし……。
 茅もお前らも、そういう勧善懲悪なの好きだろ?」
 荒野自身は……この世界が、善悪で割り切れるほど単純なものではない……ということを、知り抜いている。
 だから、子供向けのフィクションとしては、そういうのもアリだな……とは思うが……。
 そういった作り事を素直に楽しむには、荒野は、様々なことを経験しすぎていた……。
「テン!
 徳川とは、いろいろ新兵器を考えているんだろ!」
「……えっ!
 ……あ……あー……うん。
 今回は、試作品のプロテクターくらいしか間に合わなかったけど……トクツーさん、アイデアの活火山、みたいな人だから、ほっとくといくらでも開発してくれるし……」
「その調子でどんどんやれ!」
「……加納……」
 それまで黙って聞いていた孫子が、荒野に話しかける。
「作ってもらったライフルの調子が予想外によかったので……わたくし、徳川の工場に出資して、あの内部か近所に、射撃場を作らせようと思ってますの……」
「実に結構だ。
 炸薬など、弾薬を生産するのに入手しにくい材料は……」
「わかってますわ。
 才賀から調達できるように、手配します。
 必要な物資を十分に確保しておく。
 これは、基本中の基本ですわ……」
「楓も、消耗品の投擲武器を、徳川に量産させておけ。
 ライフルに比べれば単純な構造だから、頼みさえすれば、すぐに手配がつくだろう。いや、それ以上に……徳川が、お前用になんか変なものを作ってくれるかもしれないな……。
 必要な資金は、おれが出してもいいし、一族につけておいてもいい……」
「……ねーねー。かのうこうや……」
 今度は、ガクが荒野に話しかけてくる。
「昨日の……で、ボク、すっごく反省している。
 ボクは……もっといろいろなことを、学ばなくてはいけないんだ……。
 手初めに、ボクは、もっと強くなりたい。
 それで、楓もおねーちゃんに……稽古をつけてくれるように、いってくれないかな?」
 荒野は、すぐに頷く。
「そういうことで、いいな?
 楓……」
「……え? あっ……はっ! はいっ!
 わたしで、よければ……」
「……こりゃ、いいや!」
 楓が背筋を延ばして返事をすると、荒神が両手を叩いて笑い声をあげた。
「中臣君!
 このぼくに、可愛い孫弟子ができたそうだよ!」
「……そうなると、専用の訓練所も必要か……。
 おい! 才賀!
 射撃場作るんなら、外から見えない、少し広めの……」
「……いいですわね。
 どうせ、用地を確保するのは一緒ですから。
 おそらく、近隣の倉庫のような建物を買収することになりますけど……どのみち、あればわたくしも使用しますから、射撃場と兼用ということにして……」
「……それで、ボクと、茅さんは……佐久間の技、か……」
 テンがなにやら考え込む表情になった。
「確かに……現在のボクらの戦力を増強するために、できることはなんでもやろうって方針は分かったけど……。
 かのうこうや……。
 相手は、ボクらの改良版なんでしょ?
 いくら鍛えても……基本性能は、向こうのが、上なんじゃあ……」
「……生まれもった素質だけが、全てじゃない。
 現に、お前らは、三人で、楓と孫子に勝てなかったろ?」
 テンは、ガクよりは、やはり冷静だな……と、荒野は思った。
「……熟練した技は、そのくらいのハンデくらい、容易に跳ね返すことができる……。
 実際……一対一でやり合ったとしても、ここにいる古株とお前らじゃあ……お前らの方に、分がないぞ……」
 戦闘準備と……それに、マッチメイクの問題、もある。
『駄目モトで……』
 玉木たちが以前話していた「ご当地ヒーローで、隠れた敵を挑発」というのも……試してみる価値はあるかな……と、荒野は思いはじめている。

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彼女はくノ一! 第五話 (123)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(123)

 涼治の説明が一区切りつくと、今度は佐久間静寂と荒野の会話で、佐久間現象の出自についてふれられた。現象は、その時に生き残った妊婦が産んだ子供で……その妊婦の夫は、佐久間側の計画責任者であり……佐久間の長の血筋……静寂の、兄だ……という。
 その妊婦は、救出された後、どさぐさ紛れに奔出し……単身で現象を産み、育てた。
 幼い現象へ、佐久間の技を仕込み、一族への呪詛を吹き込みながら……。
「……現象の方も……何度か、矯正を試みたんですがなぁ……。
 ……正直、往生しましたわ。
 何人も病院送りにされた後、ようよう観念して、念を入れて記憶を封じ、身体の方も人並み以下の能力しか発揮できんようにして、養子を探していた一般人のご家庭に里子にだしました……」
 そして、静寂は続けて……現象を手引きたのも、その時の生き残りが育てた者がいる、と指摘する。
「……あのまま、その封印を解かれなかった方が、あの子のためにはなんぼか良かったんとちゃうか?
 それを……わざわざ出向いていって封印を解き、あの子を焚きつけたんがいましてなぁ……」
「その……現象の封印を解いたやつらに、心当たりは……」
「あるといえばある。ないといえばない。
 証拠はあらへんけど、動機と方法を持っている者には心当たりはおます、いうところですか……。
 加納のボンも……なにがしか、思うところがあるんとちゅあいまっか?」
「……ありますね……確かに……。
 あるといえば。
 先程のお話しに出てきた中で、生き残った大人は……大体、佐久間の研究者や、妊婦だったわけですね?」
「奇遇どすなあ。
 わても同じ人たちのことを、思い浮かべましたわ……。
 確かに襲撃によって、研究資料の大半は失われましたけど……生き残った佐久間の頭の中に丸まる残っておったわけですな……。
 彼女らには、自分らをひどい目に合わせた一族に対する恨みつらみがある。研究を再開するために必要な、情報や知識、ノウハウもある。
 そんなおなごはんが、対一族用の人材をどこぞで育成しておいったら、えらいことになりますぁ……」
 軽い口調だったが……その仮定を採用すれば……いろいろなことが、説明つくのだった。
 ガス弾を使用した者が、一族を遥かに上回る身体能力を持っていたこと、一族のルールを無視し、一般人の視線から逃れようとはせず、それどころか、あえて大きな被害がでる方法を採用していること……それに、佐久間現象さえ、使い捨ての道具としてみなしていること……。
 事態は、想像以上に深刻だ……と、楓は思った。
 一族以上の身体能力と佐久間の技を合わせ持ち……どんな汚い真似でも躊躇せずに行い……一族の存在そのものに対して、ひどく恨んを抱いている集団……。
『……荒野が佐久間の技を教えてくれるように頼んだ時……』
 静寂が快諾したのも……こうして仮想敵の正体を知ってしまえば、良く理解できる……。
 仮想敵に対抗できる人材は……一族の中でも、荒野の抱える、姫たち……くらいなものだろう……。
 後は……多大な犠牲がでることを覚悟した上で……大勢で取り押さえるか……。
 しかし、その方法も……相手の消息を確実に補足し、入念に準備しなければ……実行、できない……
「……まいったなぁ……」
 だが、荒野の声は……あまり、重いものではなかった。
「……親の因果は子に報い……なんて、今時流行らないよ……。
 おれ、今までそういう泥沼の現場に、仕事として何度か係わってきたんだけどさ……そういう世代を越えて受け継がれる骨絡みの恨みって、結局、何もうまないんだよね……。
 親父たちの世代でいろいろあったのは理解できたけど……それ、茅やガク、テン、ノリ……おれたちの世代までた引き継がれなければならない……って、義理は、どこにもないわけでしょう?」
 荒野は、わざと軽い口調で話している……と、楓には感じられた。
 それから、荒野は表情を引き締めて、続ける。
「……でも……それでも、実害がある以上、放置しておくわけにもいかない……。
 第一、放置しておいたら、おれたちの生活が脅かされる……。
 まったく、はた迷惑な話しだよ……」
「……頑張りたまえ、荒野君……。
 君のところでくい止められなければ……ぼくの方にお鉢が回ってくる……。
 ぼくには、女子供を殺して悦に入る趣味はないからね……」
 荒神が、明らかにこの事態を面白がっている表情で、いった。
 卓越した戦闘能力を持つ荒神の、主な仕事は……一族のの規範から逸脱したり、掟を破ったりした者の抹殺である……という噂を、楓も聞いたことがある。
 代々の二宮の長が「最終兵器」として存在しているから、一族の者も滅多に暴走することができない……。
 荒神という桁外れの能力を持つ抑止力が存在するから……一族も、最低限の規律を保っていられるのだ、と……。
 その噂は……おそらく、本当のことなのだろう……。普段、荒神の実力を肌で感じる機会の多い楓にしてみれば……すんなりと納得できる風評だった。
 そして……荒神ならば、さきほど佐久間静寂が仮定した仮想敵であっても……問答無用で蹴散らしてしまえるように、思えた……。
 しかし、その時は……。
「……荒神がでると、ペンペン草一本残らないじゃないか……。
 それに、万が一、うち漏らしがでたら……また、新しい禍根を残すことになる……そうしたら、堂々巡りだ……」
 荒野がいうとおり……仮想敵を一掃するのが目的なら……荒神を投入し、敵の関係者を片っ端から殺戮して回るのが、一番手っ取り早い……。
 だが、それは新しい敵を作る……という可能性も、孕んだもので……。
「……そういう報復の連鎖、は、大人たちだけでやってくれ。
 おれは……その、生き残った大人たちも、そんな大人たちに復習の道具として生み出された子供たちも……等しく、被害者であると思っている。
 そして、被害者を、加害者にしてはいけない……とも……。
 なあ、じじい……その人たちの捜索は、ちゃんとやっているんだろうな……」
「無論だ。昨日の件があってから、人員も増強した」
「量よりも質に問題があるんじゃねーか?
 例えば、内通者がいて、こっちの情報がただ漏れになっている、とか……」
「その辺の補修も、進行中だ。研究施設を襲った連中も……まだ、全容が掴めていないからな……」
「そう……だな……。
 一番の原因を作ったそいつらに……取り込まれて、利用されている……いや、お互いに利用し合っている……という、可能性は、あるな……」
「敵の敵は味方。あるいは、敵は内部にこそ、あり……。
 わしらの世界では、珍しくもないことだ……。
 可能性は否定できんし、その線も前提とした上で、内偵も進行させておく……」
「そっちの方は……じじいのが年期入っているから、任せる。
 こっちは……相手が姿を現した時に、相手をすればいいんだな?」
「相手を……できるのかね?」
「できなくても、やるさ」
 荒野は肩をすくめた。
「おれに、茅を笑わせて見ろ……って、そういったのは、じじいだろ?
 大人の方はそっちに任せるけど……子供の方は、とっ捕まえて……迷惑をかけられた分、いやというほど尻でも叩いてやるさ。
 そして……更生するまでそばにおいて、まともな社会生活に、無理やり、適合させる。
 そうでもしなけりゃ……落ち着いて、平和な学園生活を、送れやしない……。
 テン、ガク……それに茅!
 そういうことで……いいな?」
 荒野は、とんでもなく難易度が高い方針を、さらっと述べてみせた。

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(39)

第六章 「血と技」(39)

 茅たちは、その襲撃をなんとか切り抜けた生き残りだった……と、涼治は語る。
 ガクやテンたちを育てた男も、当時研究所の警護にあたっていた者で……。
 計画の、加納側の監督者だったという仁明は、その時、何をしていた、と、荒野は涼治に詰め寄った。
「……お前が、産まれそうだったんだ……。
 難産だった。
 母体か子供か、どちらか、あるいは両方が危ないといわれていた。
 ヘリで本土に向かう途中……襲撃の報と、それに、母親が死んで、お前が産まれた、という知らせが……前後して、ヘリに届いた。
 さまざまな葛藤があったのだろうが……仁明は、結局、ヘリを島に戻させ……数時間後、瓦礫の山に降り立った……。
 そこで、瓦礫に埋もれて泣き声を上げていた赤ん坊に……お前を産んだ女の名を、与えた……」
 それが……茅だった……と、いう。

 荒野の脳裏で今まで疑問に思っていた事柄がぐるぐると回る。

 何故……茅は、一族としての技能を一切教えられなかったのか?
 茅を育てた仁明が……茅を、「一族の一員」として、育てることを望まなかったからだ。
 何故、ガク、テン、ノリを育てた男は……三人に対し、一族の技を教えながら「一族を越えてみろ」と言い聞かせていたのか?
 その男は……一族全体に、激しい失望感を抱いていたからだ。

 後半生、世間に背を向け、人里離れた場所で、特殊な子供たちを育てた二人の男は……表面的に見れば、まるで正反対の教育方針を採用していた訳だが……動機の根本の部分は、ひどく似通っているように思えた……。

「……じじいは……親父……仁明の居場所を、知っていたのか?」
「わしは……知らなかったよ。聞こうとも、思わなかった。
 茅を抱え、どこかに潜んだことは知っていたが……あえて、探さなかった……」
 荒野の問いに、涼治は、答える。
「知っていたのは……物資の補充をしていた、秦野衆くらいなものだろう……」

「……我々は……」
「現役時代の仁明氏に……」
「かなりの貸しを作っていましたから……」
 見分けのつかない秦野の男たちは、一つのセンテンスさえ、三人で分担して話す。
「数年間、生活必需品を……」
「運び込むことで、その貸しが返せるものなら……」
「今までの対価としては、安いものです……」
 荒野は重ねて、秦野衆に現在の仁明の消息を尋ねたが、即座に、「茅と別れた後の消息は、知らない」と返された。

「仁明の消息なら……」
 それまで黙って聞き耳を立てていた荒神が、赤い舌を踊らせる。
「今、ぼくが、人を使って探らせているよ……。
 なにか分かったら、真っ先に荒野君に知らせると約束しよう……」
 その約束が実行されるのは、少し先の話になる。

 涼治の説明が一段落すると、荒野はその場にいた大人たち全員に、
「……佐久間現象の背後にいた首謀者について、何か参考になる情報を知らないか?」
 と問いかけた。
 横目で確認してみれば……テン、ガク、茅……それに、楓や孫子までが、涼治の話しを聞いて、動揺した様子を見せている。
 無理もない……と、思うし、荒野自身も、思うところはあるのだが……所詮、過去は過去、だ。
 今は、過去のことよりも、もっと差し迫った問題がある。
「……その前に、現象のこと、聞きたくあらしまへんか?」
 その時、不意に荒野に声をかけてきたのは、今夜の主賓である佐久間静寂である。
「……今の話しにできた、研究所を自爆させた男と、その妻……ともに、佐久間の研究員であらはったわけどすが……。
 その時、身重だった、生き残ったおなごはんな……。
 そのおなごはんの中にいたのが、現象どす……」
 その夫婦の夫の方が、先代の佐久間の長の息子にあたり……。
「……ちょうど、加納はんとこの、仁明はんと同じ立場……。
 当時の、佐久間側の監督者、ということになりますなぁ……」
 現象を身ごもったまま、夫の自爆、という行為で、なんとか生き残った女は……事態収拾の混乱期に、失踪し……そのまま数年間、一族の者たちの前から姿を消した。
「……母親の方が佐久間の技を仕込まれておりやしたので……母子二人でも、一般人をようけ操って、どうとでも暮らして行けたのでっしゃろ……」
 一族の……いや、佐久間の手の者が、数年後、二人を発見した時……母親の方は強迫観念に取り付けれ、すっかり精神を病んでいた。そんな母親に育てられた現象は、子供特有の単純な価値観に驕慢な性格を備え、さらに、佐久間の技を母親に仕込まれた……ひどく、危険な存在になっていた。
「……もう、五年ほど前になりますかな。
 某所で、見境なく佐久間の技を使って悪さをしているボンがおる、いう噂が広がりましてな。で、網を張って捕まえてみたら……それが、現象だったわけどす……」
 現象が取り押さえられる同時と、安アパートで同居していた母親の身柄も押さえられた。しかし、母親の方は、完全に精神を閉ざして外界の変化に一切の反応を示さず、肉体的な衰弱も著しく、現在に至るも、病院のベッドで寝たきりの生活を続けているという。
「そんで、当時の跡取りの夫婦がそんなんなってしもうたさかい、わてみたいな若輩者が佐久間の長、やらしてもろうとるわけですわな……」
 静寂は、自爆した佐久間の監督者の、妹……という関係だという。
 この一件でひどく気落ちした当時の佐久間の長は、まだ若年だった静寂に無理矢理家督を継がせ、早々に引退した。

 現象は……研究の成果である、頑強な身体、それに、母親に佐久間の技と、自分は佐久間本家直系の男子である……という、強迫観念に近い増長心……さらに、父親を自爆に追い込み、心を病むほどに母親を追い詰めた、一族全体に対する恨みを根深く心に宿した、ひどく、暗い目をした少年として、佐久間の前に現れた。
 大人の佐久間より術に長け、六主家の大人以上の身体能力と、深く暗い情念を身につけた現象は……。
「……現象の方も……何度か、矯正を試みたんどす。ですが、なぁ……。
 ……正直、往生しましたわ。
 何人も病院送りにされた後、ようよう観念して、念を入れて記憶を封じ、身体の方も人並み以下の能力しか発揮でけんようにして……養子を探していた一般人のご家庭に、里子にだしましたわ。
 あのまま、その封印を解かれず、一般人として暮らしとった方が、あの子のためにはなんぼか良かったんとちゃいますかな?
 それを……わざわざ出向いていって封印を解き、あの子を焚きつけたんがいましてなぁ……」
「その……現象の封印を解いたやつらに、心当たりは……」
「あるといえばある。ないといえばない。
 証拠はあらへんけど、動機と方法を持っている者には、心当たりはおます、いうところですなぁ……。
 加納のボンも……なにがしか、思うところがあるんとちゃいまっか?」
「……あり、ますね……確かに……。
 先程の話しに出てきた中で、生き残った大人は……ほとんど、佐久間の研究者や、妊婦だったわけですね?」
「奇遇どすなあ。
 わても同じ人たちのことを、思い浮かべましたわ……。
 確かに襲撃によって、研究資料の大半は失われましたけど……生き残った佐久間の頭の中に、丸まる残っておったわけどすな……。
 彼女らには、自分らをひどい目に合わせた一族に対する恨みつらみがある。研究を再開するために必要な、情報や知識、蓄積された実験データやこんまいノウハウも、ぎょうさん持ってなはる。
 そんなおなごはんが、対一族用の人材を、こっそり、どこぞで育成しておったら……そりゃ、えらいことになりすわなぁ……」

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